■■【アメリカ経済の読み方】アメリカのGDPが上昇 時系列的に見ると理解が深まる
最近の経済ニュースのエッセンスを、独断と偏見でもってまとめてみました。
◆ アメリカのGDPが上昇 2012/12/22
アメリカの月から9月のGDP(国内総生産)の確定値が発表されました。先月の速報値を0.4ポイント上方修正され、実質で3.1%(年率に換算)のプラスと、高い成長になりました。
これは、2011年10月から12月の第4四半期に4.1%を記録して以来の高い成長です。
GDPの約7割を占める個人消費が1.4%のプラスから1.6%に、輸出も1.1%から1.9%の伸びに上方修正されました。
一方、このところ改善傾向がはっきりしてきた住宅投資については、いくぶん下方修正されましたものの、プラス13.5%と高い伸びを維持しています。
しかし、楽観は許されません。いまだに、減税の打ち切りや予算の強制カットによる財政の引き締めで、景気の落ち込みが懸念されるいわゆる「財政の崖」の回避が実現していません。
政府と野党・共和党との間にある溝が埋まっていません。
巷では、最後には結着がつくと見込んでいますが、先行きに対する不透明感は払拭できていません。
◆ アメリカは財政の崖問題を解決できるのか? 2012/12/14
FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は「財政の崖」の問題について、「すでに雇用や企業の投資などに影響を及ぼしている」などと繰り返し述べ、強い懸念を示しました。
アメリカの中央銀行に当たるFRBは、量的緩和強化で景気回復後押しする方向で動き出しました。
年末で終了する短期の国債を売って長期の国債に買い替えことで金利の低下を促す金融緩和策に見切りを付けました。その代わりに、今年9月に導入した、量的緩和を強化して、景気回復を後押しすることを決めました。
また、依然として雇用情勢は厳しく、少なくとも2015年の半ばまで継続するとしてきました事実上のゼロ金利政策を、失業率が6.5%以上の間は継続すると景気の回復を確認するまで継続すると言うこと初めて示しました。透明性を高める試みとみられています。
FRBは、量的緩和として住宅ローンを担保にした証券を月に400億ドル規模で買い取っています。これに加えて来月から長期の国債の買い取りを加え、資金を市場に供給します。
◆ アメリカ経済は回復基調になるのか? 2012/12/09
「財政の崖」で景気が落ち込むことが懸念されているアメリカですが、11月の失業率は、前月より0.2ポイント改善して7.7%に下がったと発表がありました。これは市場予想を上回った数字です。
しかも3か月連続で7%台となり、2008年12月以来の低い水準でもあります。 小売り業や医療・福祉、レジャーなどの分野が増加を続け、雇用の伸びを支えています。
一方、アメリカの雇用情勢は僅かに改善する傾向ではありますが、0.2ポイントの改善と、そのテンポは弱いです。製造業や建設業などは減少しています。
いぜんとして先行き不当目な、企業の中には減税の終了と連邦予算の強制削減が重なる「財政の崖」は、人々の購買意欲を低下させています。
経済指標にまだまだバラツキもあり、アメリカの経済は回復基調に入っていると判断できる状態ではないと考えます。
【お金と経済のいろいろ】 財政の壁
2013年から、減税が切れ「実質的増税」と「強制的な歳出削減」のダブルパンチで崖から落下するような急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があること
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