【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業4章 迷いの始まり 17 日本からの教育ミッション
■ 【小説】 竹根好助の経営コンサルタント起業
私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。
【これまであらすじ】
竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。
1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。
◆4章 迷いの始まり 17 日本からの教育ミッション
その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。
1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。
◆4章 迷いの始まり 17 日本からの教育ミッション
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※ 直前号をお読みくださるとストーリーが続きます。
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日本から、三十人もの先生のミッションがサンフランシスコに到着するというので、飛んでいった。事前に竹根がアポイントを取った学校を訪問し、ロサンゼルス、アトランタ(ジョージア州)、タラハシー(フロリダ州)、ニューヨークと廻ってきた。
ニューヨークから、日本に帰国するという最後の晩、ミッション側が主催するパーティに竹根は招待された。アメリカ式の立食パーティである。竹根もホームパーティに何度も招かれたことがあるので、そこでのホスト役の大変さを知っている。竹根は主催者のホストの手伝いをするものと、はじめは動き回っていた。ところが、今日は竹根がメインゲストで、感謝のためのパーティでもあるというホストの話で、入れ替わり立ち替わり先生方が竹根のところに来て感謝の気持ちを伝えた。
ある先生は、「竹根さんが、ミッション旅行中の毎日、移動時間を利用して日本に関するニュースを教えてくれましたよね。アメリカにいると日本の情報がほとんど入らないのですね。だから、ホテルでテレビを見ていても日本で今何が起こっているのか全然わからないのです。本当によかったですよ」と涙ぐんで言う。
そのほかにもいろいろなことで竹根に礼を言っていった。
「こちらに来る前に、竹根さんが用意してくれた『アメリカにおける教育現場の現状と問題点およびその将来展望』という資料を送っていただきました。あれは予習のためにも大変役に立ちましたが、帰国してからの報告書作成の時にも利用させていただきます。たくさんの人に資料を送ってくださって大変だったと思います。相本さんにもよろしくお伝えください」
「自由夕食の時に、何を食べてよいのかわからなかった時に、竹根さんがレストランに連れってくれて、メニュー選択のアドバイスをしてくれましたが、おかげでおいしい食事ができました」
「フロリダのワールド・オブ・ディズニーに行った時に、どのようなアトラクションがよいとか、何時に次のアトラクションが始まるとか、高齢者でも乗れる乗り物を紹介してくれ、おかげで童心に戻れました」
「竹根さんは、下戸だというのに、おいしいワインを選んでくれたり、そのワインの特徴を説明してくれて、少しワインのことがわかりました」
竹根のにわか仕込みの知識と情報が役に立ったようである。
<続く>
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日本から、三十人もの先生のミッションがサンフランシスコに到着するというので、飛んでいった。事前に竹根がアポイントを取った学校を訪問し、ロサンゼルス、アトランタ(ジョージア州)、タラハシー(フロリダ州)、ニューヨークと廻ってきた。
ニューヨークから、日本に帰国するという最後の晩、ミッション側が主催するパーティに竹根は招待された。アメリカ式の立食パーティである。竹根もホームパーティに何度も招かれたことがあるので、そこでのホスト役の大変さを知っている。竹根は主催者のホストの手伝いをするものと、はじめは動き回っていた。ところが、今日は竹根がメインゲストで、感謝のためのパーティでもあるというホストの話で、入れ替わり立ち替わり先生方が竹根のところに来て感謝の気持ちを伝えた。
ある先生は、「竹根さんが、ミッション旅行中の毎日、移動時間を利用して日本に関するニュースを教えてくれましたよね。アメリカにいると日本の情報がほとんど入らないのですね。だから、ホテルでテレビを見ていても日本で今何が起こっているのか全然わからないのです。本当によかったですよ」と涙ぐんで言う。
そのほかにもいろいろなことで竹根に礼を言っていった。
「こちらに来る前に、竹根さんが用意してくれた『アメリカにおける教育現場の現状と問題点およびその将来展望』という資料を送っていただきました。あれは予習のためにも大変役に立ちましたが、帰国してからの報告書作成の時にも利用させていただきます。たくさんの人に資料を送ってくださって大変だったと思います。相本さんにもよろしくお伝えください」
「自由夕食の時に、何を食べてよいのかわからなかった時に、竹根さんがレストランに連れってくれて、メニュー選択のアドバイスをしてくれましたが、おかげでおいしい食事ができました」
「フロリダのワールド・オブ・ディズニーに行った時に、どのようなアトラクションがよいとか、何時に次のアトラクションが始まるとか、高齢者でも乗れる乗り物を紹介してくれ、おかげで童心に戻れました」
「竹根さんは、下戸だというのに、おいしいワインを選んでくれたり、そのワインの特徴を説明してくれて、少しワインのことがわかりました」
竹根のにわか仕込みの知識と情報が役に立ったようである。
<続く>
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