内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

蝉時雨 ― 夏休み日記(8)

2015-08-09 06:46:11 | 雑感

 七月三十一日から八月七日まで八日間続いた猛暑日の間、蝉の声を聞かなかった。七年間地中で過ごし、僅か一週間ばかり地上で鳴いて死んでゆくの常とする蝉たちにもこの炎熱は過酷過ぎたようだ。鳴くこともかなわず、地表にその小さな躯を横たえている蝉を何匹か庭で見かけた。
 昨日からその暑さも東京ではいささか和らいだ。待ちかねていたかのごとく、とたんに蝉たちが鳴き始めた。日曜日の今日は、朝方は気温も二十五度まで下がり、五本木小学校屋内プールまで歩いて行く十分足らず道のりは涼しくさえ感じられた。無謀にも三日間続けて炎天下で泳ぎ、全身の日焼けが急激すぎたので、一昨日からは歩いて行ける屋内プールに通っている。体を直射日光に晒さずに、日焼けの火照りを水で冷やしながら泳いでいる格好だ。
 八日間連続の猛暑日の間は、日中家では窓だけでなくカーテンも閉め、直射日光が差し込まないようにして、冷房を効かせていたから、外の物音はほとんど聞こえなかった。昨日からは、すべての窓という窓を開け放ち、風通しをよくしている。風がレースのカーテンを次々にふくらませては家中を通り抜けていく。日曜日の午後、辺りは鎮まりかえり、蝉時雨がここかしこから聞こえて来る。