内的自己対話-川の畔のささめごと

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生成の相の下に見られた永遠の現在における行為の遡及力 ― ジルベール・シモンドンを読む(145)

2016-11-03 01:02:24 | 哲学

 シモンドンのいう行為の遡及力とはどのような力なのか。

Chaque acte reprend le passé et le rencontre à nouveau ; chaque acte moral résiste au devenir et ne se laisse pas ensevelir comme passé ; sa force proactive est ce par quoi il fera pour toujours partie du système du présent, pouvant être réévoqué dans sa réalité, prolongé, repris par un acte, ultérieur selon la date, mais contemporain du premier selon la réalité dynamique du devenir de l’être (p. 334).

それぞれの行為は、過去を取り上げ直し、新たにそれに出会う。それぞれの道徳的行為は、生成に抵抗し、過去として葬り去られまいとする。その行為の前進力は、それによって行為がつねに現在のシステムの一部をなしているようにするものである。その前進力のおかげで、その行為は、日付の上では後になる(別の)一つの行為によって、おのれの現実の中で再喚起され、延長され、取り上げ直されうる。この(時間的には後に来る)行為は、しかし、存在の生成の動的現実からすれば、最初の行為と同時的である。

 存在は生成であると見るかぎり、つまり、すべての行為を生成の相の下に見るかぎり、過去のある時点で完全に完結してしまった行為はありえない。その過去の行為は、何らかの仕方で現在の行為によって再喚起され、取り上げ直され、延長されうるものとして常に現在している。生成の相の下に見られた永遠の現在において為される行為はすべて、多かれ少なかれ、過去への遡及力を有している。