内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

諸行為が形成する相互的な同時性という網状組織 ― ジルベール・シモンドンを読む(146)

2016-11-04 05:06:59 | 哲学

 昨日の記事で見た行為の遡及力の規定に従えば、すべての行為は潜在的に遡及力をもっているのだから、諸行為の連関は、過去から未来への一方向的・線形的な継起的連鎖ではない。

Les actes construisent une simultanéité réciproque, un réseau qui ne se laisse pas réduire par l’unidimensionnalité du successif. Un acte est moral dans la mesure où il a en vertu de sa réalité centrale le pouvoir de devenir ultérieurement simultané par rapport à un autre acte (p. 334).

諸行為は、相互的な同時性、継起的なものの一次元性によって還元されることのない網状組織を形成する。一つの行為が道徳的であるのは、その中心的な現実によって、他の一つの行為に対して、後になって同時的になる力をもっているかぎりにおいてである。

 これを現在の行為の方から見れば、過去のある行為(それは自分自身の行為とは限らない)との間に新たに連続性と同時性を生み出す力をもった行為が道徳的行為だということになる。