今年の十月末から十一月前半にかけてストラスブール市内の各所で撮った紅葉の写真と去年の同時期に撮った写真とを比べてみるとよくわかるのだが、市内の今年の紅葉は、色がくすんでいて、見る者に何か冴えない印象を与える。
今年の四月から九月にかけての天候不順、特に六月は記録的な降水量で、日照時間もそれだけ少なかったこと、ところが九月半ばに真夏のような暑さが一週間ほど続いたことなどが関係しているのだろうか。もともと、日本で見られるような色鮮やかな紅葉はこちらでは期待できないのだが、それにしても写真に撮りたいという気持ちにさせるような色合いを今年はほとんど見ることができなかった。
今は十一月も下旬、市内のどこを歩いていても、それまで紅葉していた樹々の葉も大半は枯れて地面に落ちてしまっているのを目にするばかり。日没ももう五時前。やはり少し感傷的な気分に陥りそうになる。
しかし、この季節、自宅の書斎前の樹々の葉が落ち尽くすと、昨日のような小春日和には、東南東向きの大きな窓から、室内に午前の日の光が眩しく溢れるように流れ込む。それが気持ちを少し明るくしてくれる。
朝、プールから帰って来てから、窓を大きく開け放ち、書斎の板張りの床を隅々まで拭き清める。そして、ストリーミング配信の中からお気に入りのクラッシク音楽を選ぶ。それを小さな音量で流しながら、仕事に取り掛かる。