内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

非道徳的行為とはどのような行為か ― ジルベール・シモンドンを読む(147)

2016-11-05 02:13:27 | 哲学

 己自身のうちに完全に閉じ籠もり、他の諸行為との潜在的関係性を完全に断ち切ってしまった行為は、そもそも行為ではありえないが、多かれ少なかれ自己閉鎖的な行為は、その閉鎖性の分だけ非道徳となる。

L’acte non moral est l’acte perdu en lui-même, qui s’ensevelit et ensevelit une partie du devenir du sujet : il est ce qui accomplit une perte d’être selon le devenir. Il introduit dans l’être une faille qui l’empêchera d’être simultané par rapport à lui-même (p. 334).

非道徳的行為とは、己自身のうちで失われた行為である。己自身を埋葬し、主体の生成の一部を葬る行為である。それは、生成する存在の一喪失をもたらす。存在の中に存在が己自身に対して同時的であることを妨げる断層を生じさせる。

 それぞれの行為は、それがある個体的主体によって実行されるという意味では、独立しており、他の諸行為と非連続的である。しかし、と同時に、それら諸行為と相互的同時性をもった網状組織を形成する力を有しているという意味では、それらと連続的である。ある行為が、存在の生成にとって生産的なこの非連続の連続性を単なる不毛な非連続性に収縮させてしまうとき、存在が存在自身の生成過程で実行する自己多相化がそこで途切れてしまう。それによって存在のうちに亀裂が入る行為、それが非道徳的行為である。