内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

電子書籍、その利点と改善すべき点についての私的感想

2017-10-27 23:59:59 | 雑感

 ここ三週間ほどで日本語の電子書籍を数十冊購入した。主に講義の資料として使うためである。個人的な愉しみとしての読書のためには、私はやはり紙の書籍の方を好む。
 数社の出版社から購入したが、表示方法・レイアウト・フォント・操作性等にそれぞれ違いがあって、一長一短といったところ。それに全体として、確かに紙の書籍にはない便利な機能があるものの、まだまだ改良の余地ありと思わせる点も少なくない。
 すべての電子書籍に共通する利点としては、とても単純なことだが、購入して即使えること。紙の書籍のように、配達を待ったり、どこかに買いに行く必要もない。これは大いに時間の節約になる。それに大抵の場合、紙の書籍よりも安い。
 これも単純なことだが、文字のサイズを拡大・縮小できるのはやはり便利。特に、講義でプロジェクターを使って表示する際に、スクリーンと教室の大きさに合わせて文字の大きさを調整できるのは、見る側の学生たちにとって適切なサイズを選べるのでありがたい。
 異なった端末でどこでも開けるのもありがたい。書籍はクラウド上にストックしてあるから、PCやタブレットを持参しなくても、行った場所に端末があればそれで読める。
 他の利点を以下に二つ挙げるが、これには改善すべき点も含まれている。
 本文内の検索が容易にできること。しかし、ある語について検索をかけ、複数箇所がヒットした場合、それらの箇所を連続して簡単に移動できるようになっている書籍は、これまで購入した書籍の中には一つもない。一々検索ボタンをクリックしないと別の箇所に移動できないのは、いかにも不便である。早急な改善を望む。
 ブックマークやマーカーを使って、必要箇所だけをすぐに表示できること。ただ、この場合も、検索と同じで、印をつけた箇所だけを連続して移動できない。その都度、ブックマークあるいはマーカー箇所への移動のためのウインドウを開かなくてはならない。
 出版社各位には、上掲の二点について、表示システムの早急な改良を是非お願いしたい。
 一言小言を言うと、出版社の中には、どうみても電子書籍に積極的に取り組んでいるとは思えない低機能な書籍を平気で出版しているところもある。ひどいのになると、ただの写真版のようなのがあり、拡大してもページレイアウトはそのまま、つまり、たたズームできるだけで、ズームを続けると上下が切れてしまう。これには呆れた。これではただのPDF版と変わらないではないか。解像度が低く、字体が美しくないのもある。これらの出版社に対しては、それなりの定価で販売するからには、もう少し真面目にやれと言いたい(誰でも知っている有名な出版社ですよ、いずれも)。
 私自身はもともとは電子書籍には関心が薄く、これまでほとんど利用してこなかったが、こうして仕事上の必要から使うようになって、使いようによっては非常に便利であることがわかったのは収穫であったし、これからはより積極的に使うだろう。