今年三月ストラスブールで日本語で発表し、六月にパリで仏語で発表した原稿の仏語最終稿の仕上げを今日一日で済ませた。すでに何度も読み直している原稿だったが、六月の発表のために付加・修正した箇所と新たに加えた引用箇所の仏訳に少し時間がかかった。
最後に結論で用いた表現の三つの出典、Jean-Luc Nancy, Être singulier pluriel (Galilée, 1996), Gilbert Simondon, L’individuation à la lumière des notions de forme et d’information (Jérôme Millon, 2005), Henri Maldiney, Penser l’homme et la folie (Jérôme Millon, 1997) を明記し、それらの出典から特に示唆的な箇所をそれぞれ一か所ずつ脚注に引用して作業を終えた。
これで一旦原稿は私の手を離れる。論文集編集担当者二名の再読と校正が済んで、私の手元に初校が届くのは来年早くて前半中だろう。二人とも忙しいから、来年中の出版は難しいかもしれない。
この原稿仕上げの作業の合間に、原稿の内容とは直接関係のない書籍をあれこれ拾い読みした。今日はそれらの本の書名だけ挙げておく。それらのうちの何冊かはいずれ拙ブログで取り上げることもあるだろう。
景戒『日本霊異記』(岩波古典文学大系、1967年)
源信『往生要集』(岩波日本思想大系、1970年)
鴨長明『新版 発心集 上・下』(角川ソフィア文庫、2014年、電子書籍版)
折口信夫『古代研究 V 国文学篇1』(角川ソフィア文庫、2017年、電子書籍版)
鈴木貞美『鴨長明 — 自由のこころ』(ちくま新書、2016年、筑摩eブックス)
竹内整一『花びらは散る 花は散らない 無常の日本思想』(角川選書、2014年、電子書籍版)
竹内整一『ありてなければ 「無常」の日本精神史』(角川ソフィア文庫、2015年、電子書籍版)
PCの画面上に表示されたこれらの本の文章をただ気の赴くままにふらふらと眼で飛び渡っているだけで楽しい。複数のテキストを同時に表示するために、多いときは三台のPCと一台のタブレットを机上で同時に稼働させている。しかし、この浮遊的読書もまったくの気まぐれというわけでもなく、実はこれらすべての本は私の脳内で「心」というキーワードによって相互に繋がっている。