内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

万葉集全歌読了に向けての心の旅のはじまり

2017-11-22 09:34:59 | 雑感

 やっと体調はほぼ完調に戻った。ただ、まだ夜寝ているときに咳き込むことがある。十一月初旬パリから帰ってきて数日後に初期症状が現われてから完全回復まで約二週間かかったことになる。
 その間、十一日間も水泳を休んだ。こんなに長く泳がなかったことは、ここ数年、日本滞在中を除けばなかったことで、ちょっとショックである。昨日から再開した。泳ぎはじめる前、体がすっかりなまってしまっていないかと恐れたが、そうでもなかったので少し気分が上向いた。
 その二週間ほどの間、下降しがちな気分を安定させるために、さらにはそれを徐々に上向きにするために、何か比較的容易でしかも楽しく毎日規則的にできることは何かないかと探した。それで古代文学史の講義の準備も兼ねて、万葉集全歌読了を目標に掲げ、毎日十数首から数十首ずつ読み始めた。
 遠い昔、最初の学部学生時代、万葉学者になりたくて数年間熱心に勉強した。夢叶わず、挫折した。それでも当時、『万葉集』を一通りは通読し、数百首についてはいくつもの注釈書を読み、二百首余りは完全に暗誦できるようになった。
 今も、万葉歌を誦むと、当時のことが想い出され、懐かしくも心が痛む。
 全歌を読む(誦む)といっても、巻一の第一首から順にというのではなく、もっと気楽に、そのときの気分に合わせて頁を開いたり、あるいは、この一月に買い集めた万葉関係の電子書籍を紐解きながら、そこに引用されている歌の釈義を注釈書で確認したりしながら、読了した歌の番号と参照した文献をエクセルで作った表に巻順に入力している。
 だから、それが何? とも言われそうな、詮なき所業である。でも、こんな単純な作業で表が徐々に埋められていくのを見て、心が少し慰められているのも事実だ。
 これから一年くらい、毎日、この「旅」を続けていこうと思っている。