文学でも映画でも、今ほど情報がネット上に溢れかえっていると、まったく先入観なしに、まったく前評判とか他人の評価とかを聞かずに、作品に「真っさらな」気持ちで向かい合うことは、なかなかに難しいことになってしまいましたね。
昨日、新海誠の『秒速5センチメートル』(2007)をYoutubeで観ました。制作順からすれば、『君の名は。』(2016)、『言の葉の庭』(2013)からさらに遡って観たことになります。今さらですけれど、すっかり気に入ってしまいました、彼の作品。
私個人としては、『君の名は。』を別にすれば、どちらもまったく先入見なしに鑑賞することができて、それぞれに新鮮な体験で、心も動かされました。得難い経験でした。
昨晩、『秒速5センチメートル』を観終わって、ちょっと席を外して戻ってきたら、別の映画が始まっていました。消そうかとリモコンを手にしたのですが、ついつい惹き込まれて、最後まで観てしまいました。
その映画が昨年公開された『聲の形』(山田尚子監督。原作・大今良時)だったのです。
まいりました。ほんとうに、すごい、この映画(原作は未見ですが、きっとすごいのでしょう)。私が無知だっただけなのでしょうけれど、ここまで日本のアニメは思想的に「深化」(ただの技術的な進化じゃなくて)しているのですね。
こちらの学生たちが日本のアニメの熱烈なファンになってしまうのも、これも今更のことですが、得心がいった次第です。