内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「淡雪のほどろほどろに降り敷けば」、今日は自宅で「振替休日」

2017-12-04 21:04:29 | 雑感

 昨日日曜日は、年に一度の日本語能力試験が学内で実施されました。この準備作業も日本学科長の大切な職務の一つです。数ヶ月前から学内の会場確保や大学の安全管理部署や学外の協力機関との連絡等、数ヶ月、結構神経を使う仕事です。試験当日は、試験監督として非常勤も含めて学科の教員を総動員し、さらに院生にもバイトとして協力してもらいます。
 日本語能力試験は、受験者が多い国では年二回七月と十二月に実施されますが、大抵の国ではどちらか年一回です。二〇一四年十二月からストラスブール大学での実施が始まり、今回が四回目でした。十二月第一日曜日と実施日は決まっており、毎年かなり寒いのですが、昨日は午後から雪になり、試験が終わった午後四時半過ぎには、もうすっかり暗くなったキャンパスはうっすらと雪に覆われていました。
 すべて無事に終了し、最終的な片付けを終え、最後まで残っていたスタッフと別れ、会場前に停めておいた自転車に積もった雪を払い落とし、路面に凍結部がないかどうか注意しながら夜道を慎重に走行し、無事に帰宅しました。
 そんなわけで昨日は朝から「休日出勤」だったわけです。今朝は、八時前に大学構内の安全管理担当部署に昨日の試験のために特別に借り受けた鍵を返しに行きました。キャンパス中央の緑地はすっかり雪に覆われていました。久しぶりにカメラを持って出かけ、キャンパスの雪景色を写真に撮りました。
 帰宅後、いくつか仕事のメールを処理した後は、自己判断で「振替休日」にしました。差し迫った仕事もないわけではありませんが、「知るか、一日くらい休息して何が悪い」と開き直って、書斎窓前の雪景色をぼーっと眺め、好きな音楽を流し続け、日中は万葉集を読んで過ごし、午後はプールにも行きました。
 私には、うっすらと地面に降り積もった雪を見て思い出されるようなかつて住んだ懐かしい都はありません。それでも、大伴旅人のこの流れるような調子の秀歌の響きは、今日一日私が見た景色とどこかで共鳴しています。

淡雪の ほどろほどろに 降り敷けば 奈良の都し 思ほゆるかも (巻第八・一六三九)