内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ポインセチアの贈り物

2017-12-24 06:53:09 | 雑感

 普段から整理整頓が行き届いた家の中で暮らしている。これはもう度し難い性格というか、そうせずにはいられないからである。特に多大な努力を払ってそうしているわけではない。自分が普段生活する場所を自分にとって最も心地よい空間にしようと常日頃心がけていれば自ずとそうなる、というだけのことである。
 とはいえ、今のように忙しいと、つい手を抜きたくなる。しかし、その結果散らかった部屋を見ると自分で苛立ってしまうので、結局、清掃整理整頓する。そんなに時間がかかるわけではないが、なんでこんなことしてるのかねぇ、それよりも他に先にやることがあるだろうに、と、自分で自分にうんざりすることもある。
 このマニアックなまでの整理整頓ぶりは、健全なる良識をもった人々にとっては驚くべきことのようである。我が家の扉を開けるといきなり目に飛び込んで来るのが、私が家にいる時ほとんどの時間をそこで過ごしている書斎兼食卓兼応接間なのであるが、その完璧なまでの整理整頓ぶりに感嘆の声を挙げる人は一人や二人ではない。
 だが、この家には何かが決定的に欠けている。何か。ただ整っているだけで、暖かい生活感がまるで感じられないのである。あたかもそれを排除しようと躍起になっているかのようにさえ見える。
 では、何がその暖かみをもたらしてくれるのだろう。誰かと一緒に暮せば自ずとそうなるとはかぎらないだろう。それは相手による。犬猫は好きだが、家を空けるときに困るので、飼えない。
 昨晩から、書斎の机の脇にはポインセチアの鉢植えが一つ置かれている。その勢い良く伸び広がっている鮮やかな赤い苞葉を見ているだけで心が暖かくなってくる。物言わず、動きもしないが、生命を感じる。
 今日から二週間、一時帰国のため、留守にする。もうすぐ家を出なくては。留守中淋しい想いをさせるね、でも、どうか、その赤い苞葉の鮮やかさを保ったまま待っていておくれ。
 この鉢植えを贈ってくれた人に、心から、感謝します。