内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

一年前の今日の「京アニ放火事件」で亡くなられた方々・ご遺族・深い傷を負われた方たちのことを想いながら

2020-07-18 01:21:05 | 雑感

 今日の記事は、カテゴリー上は「雑感」となっていますが、内容からするとふさわしくありません。万葉集の三大部立「雑歌」「相聞」「挽歌」に敢えて倣っていえば、「挽歌」に相当する内容です。
 記事のタイトルからおわかりのように、昨年のこの日に起こった「京アニ放火事件」のことが今日の記事の話題です。
 昨年のこの日、ネットのニュースで、炎上する京アニ第1スタジオの映像を見て、呆然と佇ちつくしました。
 その後、犯人がどのような人物であるかが徐々にわかるにつれて、亡くなられた方々のことがなおのこと痛ましく、なんでこんな馬鹿げた事件が起こってしまったのかと、犠牲者の方々とそご遺族の方々と深い傷を負われた方々のことを思うと、今でも涙が止まりません。
 多額の税金をつぎ込んだ最先端医療のおかげで一命をとりとめ、今その動機を語りうるまでに回復した犯人の供述についての記事を読むたびに、たった一人の人間の歪んだ感情がこんなにも多大な犠牲を生んでしまったことに慄きを感じざるを得ません。
 京都アニメーションが生み出す素晴らしい作品だけでなく、時間をかけて人を育てていくその卓越したビジネスモデルを私は心から称賛していました。
 昨年九月、新学期開始直後、私が担当する日本語だけで行なう授業で、追悼の想いを込めて、二回に分けて『聲の形』を学生たちに鑑賞させながら、この作品がどのような経緯を経てアニメーション映画として作成されたかを説明し、作品の内容そのものについて彼らに考えさせると同時に、一つの優れた作品が実現されるには、どれだけたくさんの人たちが妥協せずに協力することが必要だったかを強調しました。
 今日は、追悼として、『聲の形』を観ます。少なくとも、すでに十数回は観ている作品ですが、私にとって、これは不朽の名作です。