内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夢の中で流した涙

2020-07-11 13:51:27 | 雑感

 今日は、昨晩見た夢のお話をいたします。
 皆さんは、夢の中で泣いたことはありますか。私は、記憶にあるかぎり、過去にそういうことはありませんでした。ところが、昨晩の夢の中で、しばらく涙が止まらないという場面がありました。目覚めて涙で顔が濡れているということはなかったので、まったく夢の中でだけ流した涙でした(どこを流れたのだろう)。
 その夢の状況設定は、ほとんど現実の私の生活と接点がなく、いったいなんであんな夢をみたのだろうかと今も不思議です。
 場所は大阪。私は大阪に知り合いはほとんどおらず、前任校の語学研修プログラムの引率として2009年から6年間連続で7月に和泉市に三週間ほど滞在したことはありますが、その間、大阪のあちこちを歩いたわけでもなく、地理にはまったく不案内です。実際、夢の中で目的地への行き方がわからなくて途方に暮れる場面がありましたが、これは本筋から外れますので詳細は省略します。
 これはある家族の物語です。両親と子供三人の五人家族。両親の年齢は四十代半ば、職業はわかりません。長男が高校生、次男が中学生、第三子長女が小学生。学年ははっきりしません。皆、名前もわかりません。公団マンションのようなところに住んでいます。私はその家族の親しい知り合いで、よく相談に乗ることがあるという立場でした。舞台はその家族の住居です。
 相談内容は、数ヶ月前から、謎の脅迫電話を受けていて、気味が悪いのだが、思い当たる節がないということでした。脅迫電話といっても、金銭を要求するわけではなく、ただ「あなたたち家族の秘密を知っている」とだけ毎回繰り返すのだそうです。それ以上聞こうとしても、いつもすぐに電話を切られてしまったそうです。
 ある日(ここらへんが夢らしく唐突なのですが)、その秘密が何なのかが明らかになります。その秘密とは、長男はその両親の実子ではなく、まったく別の二親から生まれた子だったということです。そして、その生みの親は、親権を主張し、その長男を自分たちが引き取りたいと言ってきたのです。
 両親にとってはまったく身に覚えのない、まさに寝耳に水のような話でした。子どもたち三人も、これまでずっと兄弟妹として仲良く育ってきたので、まったくわけがわかりません。
 この家族の動転を身近で見守り、ときに相談に乗るというのが私の役回りでしたが、何か特に家族の力になるようなことができたわけではありませんでした。
 そして、とうとう、長男をその生みの親に引き渡す日が来たのです(ここもまったく唐突で、小説でもテレビドラマでも映画でもありえない展開なのですが)。
 あまりショックを与えたくないという配慮から、小学生の長女だけは家で留守番。両親、長男、次男、そして私の五人で、引き渡しの現場へ向かいました。
 引き渡し場面の詳細は覚えていないのですが、今も印象に残っているのは、長身でちょっと太っていて、見るからに温容な顔立ちをした長男が、「また会えるから」と繰り返しながら遠ざかっていった場面です。
 その遠ざかる長男を見送る場面で、突然涙がこみ上げてきて、止まらなくなりました。それがどれだけ続いたのか、わかりません。とにかく、悲しくて悲しくてしかたがありませんでした。
 その別れの後、私は家族と別れて、どこかへ帰ろうとするのですが、そもそもその帰ろうとしている場所がよくわらず、大阪の街を彷徨っているところで目が醒めました。
 つまり、どこに帰ろうとしているのかわからない現実に帰ってきたのです。