一昨日、ストラスブールではあまり雪が降らないと書いたばかりだが、今日はかなり降った。午前中から小雪がちらつきはじめ、室内から眺めているかぎりはそれほどの降りとも思われなかったのだが、夕方大学に出向く必要があって外に出て驚いた。歩道には十センチほど降り積もっている。これはとても自転車では無理だ。路面電車は普通に運行しているようなので、それを利用することにする。
雪国のように雪が降り積もり、冬中あたりは雪景色というのは、室内から眺めているだけでよいのなら、きれいだなと酒杯でも傾けながら呑気に鑑賞していればよいが、実際に生活するのは何かと大変なのだろうなと、すでに暮れゆく街中を静かに走る路面電車内に佇みながらぼんやりと思う。
今回のようにたまに降る程度だと、それだからこそか、なんとなくちょっとお祭り気分が街に感じられる。ノエルも近いし、大学も今週末から休みに入るから、なおのことそんな気分が醸成されやすいのだろう。
交通量が多い通りは、車がはね除けた雪が歩道と車道の間にたちまち泥景色をつくり出し、それは醜い。でも、この泥雪がすっかり融けてなくなれば、道路にこびりついていた汚れもすっかり洗い流されてきれいになる。
さすがに今日は走らなかったが、大学への行き帰り、あえて遠回りをして雪道を少し歩いた。まだ足跡のついていない雪上をキュッキュッと踏みしめながら歩くときの感触が好きだ。子供のころは東京でも毎年けっこう雪が降った。そのころのなにか浮き立つような気分をなつかしく思い出す。