週末フランス全土を襲った大寒波も西から徐々に撤退開始、東端のストラスブールでも今日の日中は気温が二度まで上がり、雪も解け始めた。週末から灰色の雲に厚く覆われたままだった空も少しずつ薄皮を剥がすように明るくなってくる。
午後二時過ぎ、ジョギングに出かける。森の中はまだ雪に覆われたままだろうからと、かつて足繁く通っていた市営プールの脇を抜けて、マルヌ・ライン運河沿いの遊歩道・自転車道を走ることにした。運河沿いに北北西方向に百メートルほど走ったところで、眼前に広がる光景に仰天した。運河が完全に氷結したままなのである。今まで見たことがない。スマートフォンを持たずに出たのが惜しまれる(今日の記事に貼り付けた写真はオランジュリー公園脇で昨日撮影)。
ここ数日運河方面には来ていなかったから確かなことはわからないが、大寒波に襲われた週末に一気に凍結したのだろう。まるで延々と続くスケートコースのようだ。氷がどれくらいの厚みかはわからない。すでに気温は零度を上回りはじめているのだから、薄氷だったらもうところどころ水面が見えただろうが、四キロほど走って見たかぎりではまだ氷に覆われたままだ。
いつもは優雅な姿で水上を行き交う白鳥たちは、大きな水かきのついた短足で氷上を途方に暮れたようにトボトボ歩いている。その他の水鳥たちも氷上に集まってはまた三々五々飛び立っていく。いつものように水中の獲物たちが捕れないのだから、彼らも困っているのだろうか。
運河沿いの遊歩道は、雪がすっかり解けてなくっているところ、雪が解けはじめてシャーベット状になっているところ、まだ厚く雪に覆われているところなど様々だ。
運河沿いに四キロほど走ったところで右折、運河の東側に大きく広がる平地の中の一本道を走る。こちらも路面状態は様々。水たまりがあちこちにできているコンクリート路面では、それら水たまりを避けるべくジグザグに走る。
稀なる景色を楽しみながら一時間半で十三キロ走る。