昨年の今頃に比べればコロナ禍も沈静化しているとはいえ、まだどうなるかわかりませんし、二月二十四日に始まったウクライナ戦争はいつまで続くのかいまだ見通しさえ立っていませんが、なにはともあれ、今年が皆様にとりましてより良き一年でありますことを心より祈念いたします。
旧年中は拙ブログの記事をご笑覧くださり、誠にありがとうございました。二〇一三年(癸巳)六月に始めましたこのブログは本年二〇二三年(癸卯)で足掛け十一年目になります。六月一日で満十年続けたことになり、個人的には記念すべき年であります。今年も毎日投稿する所存でございますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
昨年十二月半ば、フランスは大寒波に襲われ、雪もたくさん降り、渡仏二十八年目にして最も寒い冬になるかと身構えましたが、年末から年始にかけて、一転、唖然とするほどの記録的暖かさで、昨日など十七度まで気温が上がり、今日も十六度まであがりました。
明け方からよく晴れ、寒くもなく、一昨年昨年の元日に続いて今日もライン川上の初日の出を写真に撮りに自転車でいってまいりました。ちっとも寒くないどころか、手袋をせずに二十分ほど走ってもまったく平気でした。
日の出の時刻、ちょうど日が昇るあたりのシュヴァルツヴァルト上空には雲がかかっていましたが、雲間を昇りゆく朝日を何枚か写真に収めました。今日の記事に添付した写真はそのときの一枚です。
この八月の誕生日で目出度く前期高齢者のお仲間に入れていただく歳になり、大きな願いも夢も希望もありませんが、まずは健康第一ですかね。一昨年始めたジョギングを無理せず楽しみとして続けていきます(ちなみに、昨年は年間目標の3650キロを十二月三十日に達成し、大晦日の昨日は走らず、昼から飲んだくれておりました)。今朝も、ライン川まで写真を撮りに行った後、一旦家に戻ってカメラを置き、再びジョギングに出かけました。走り初めです。十キロ軽快に走ることができました。
大学における教育およびその他の職務に関しては、これといった目標はなく、ただ与えられた仕事をきっちりとこなしていくだけです。
研究活動としては、共著の分担執筆と記念論文集への寄稿がそれぞれ一つずつ予定されています。研究発表が三月と六月にそれぞれ一回予定されています。
読書計画については、日本の古典文学に関しては特に計画を立てずに、折に触れて好きな作品を読んでいきたいと思っています。
二十世紀フランス哲学に関しては、もう何度目かになるのですが、メルロ=ポンティの『眼と精神』を精読します。これは半ば職業上の必要からです。というのも、この八月の五日間の夏期集中講義で本書を取り上げることにしたからです。ただ、仏語のできる学生はまず来ないので、原書講読としてではなく、自然概念への哲学的アプローチの一つとして、学生たちと一緒に徹底的に精読したいと思っています。五日間集中して一作品読み上げることができれば、学生たちも一つの達成感が得られるのではないかと期待してもいます。
過去に読んだときの書き込みや下線で一杯のポッシュ版をさっそく今日から読みはじました。
日本語訳としては、みすず書房の滝浦静雄・木田元訳が長年親しまれてきましたが、演習のテキストとしては、富松保文訳・注の『メルロ=ポンティ『眼と精神』を読む』(武蔵野美術大学出版局、2015年)を選ぶことにしました。親切な注や解説が付いていて、より初心者向けだからです。
参考文献として、ピエール・アドの Le voile d’Isis, Essai sur l’histoire de l’idée de Nature, Gallimard, 2004 の日本語訳『イシスのヴェール 自然概念をめぐるエッセー』(小黒和子訳、法政大学出版局、2020年)を挙げておきました。2004年に原書が刊行されるとすぐに購入して熱心に読みました。本書もこれを機会にまたじっくりと読み直します。