今日から後期が始まった。私の授業は火水木に学部の授業が一コマずつ、それに修士一年の演習一つが三月から加わるが、月から金までほぼ毎日授業があった前期に比べれば楽になる。
先週が前期最後の週で試験週間だった。私の担当している授業の試験もすべて先週行われた。試験の後には当然のこととして答案の採点が待っている。
採点が好きだという教師が世の中に存在するのかどうか知らないが、私は嫌いとまでは言わないにしても、好きではない。仕事だから仕方がないという以上の気持ちは持てずにこなしている。
前任校では、どうせやらなきゃいけないのだから、見て見ぬ振りをして成績提出期限ぎりぎりになっていやいや採点するより、さっさと済ませてしまおうと、試験が終わったその日の内に採点を始め、翌週には学生たちに結果を知らせていた。
この方針は、ストラスブールに赴任してからも、学科長になるまでは守っていた。学生たちからも好評だった。だが、学科長時代はやはり雑務が多く、思うように試験答案に向き合う時間が取れず、採点が後回しになりがちになってしまった。昨年は、すでに学科長の任は降りていたのに、悪癖だけが残ってしまい、試験から一ヶ月以上たってようやく採点を開始したこともあった。
これではいかんと、今年度は態度を改めた。試験の翌週あるいは翌々週には採点を終え、学生たちにすぐに成績を知らせるようにした。学生たちは早く成績が知りたいものだから、早く知らせば知らせるほど喜ぶ。たとえ残念な結果でも、早く知ったほうが気分の立て直しも早くできる。
先週の試験のうち、三年生の二つの試験の答案はもう終えた。その一つ「近代日本の歴史と社会」は先週金曜日に試験があったのだが、先週末と今日の三日間で採点を片付けた。答案は三十六枚だから量的にはたいしたことはないが、全部記述式だから読むのには結構時間がかかる。それに答案一枚一枚にコメントを書き込んでいくからなおのこと時間がかかる。それは後回しにしても同じことだから、週末を潰すことにはなっても、片付けてしまえば気持ちもすっきりするからとちょっと頑張った。それで明日の授業で答案を返却し、結果について講評を述べ、各問について復習する。