昨夜は激しい雨が降ったようだけど、今朝は雨も上がって薄日も射していた。
降った雨が再び雲となって、谷間から尾根伝いに空に昇っていく。
緑の森は潤いを増し、木々は生気を取り戻して、花や実が輝いている。
赤い実をたわわに付けていた桑の実は、濃い紫色に変わって、甘い香りを放っている。
手を触れると、ポロッと落ちるくらいに熟した実を口に含むと、ほんのりとした甘さと野の香りが口中に広がっていく。
渓谷沿いのくるみも、小さな実をいっぱいつけていた。
山の木の実が豊かに育てば、動物たちも里へ下りて来ることもないので、秋の実りを期待したい。
自生している笹ゆりの蕾も、ほんのりとピンクに色づき、間もなく可憐な姿を見せてくれることだろう。
ほど良い一雨は、森の表情を美しく装って人を癒してくれるが、時には山や谷を動かすような、恐ろしい力も持っている。
人は、自然の営みに一喜一憂しながら、身を任せるしかない。