早朝は霧に包まれていたが、程なく薄日が差し始めた。
このあたりの山フジは今が盛りで、甘い香りがあちこちから漂ってくる。
少しもたついていた田んぼの補植は、午前中ですべて終えることが出来た。
田植えの直後は濃い緑色をしていた苗が、弱々しい姿で垂れ下がり、やや黄緑に変色していた。
これは植え痛みといわれ、田植えで根が切られて一時的に発育が止まった状態になる。
1週間ほどで新しい根が発生して、苗は緑色を増して元気を取り戻す。
そのためには温度と日照が欠かせないが、ここ数日は気温も低く日照時間も短いのが気がかりだ。
小さくてか細い苗は活着した後、2ヶ月掛けて分けつが進み、20本ほどの茎が集まった逞しい稲株になる。
水管理や草取り、害虫の駆除など人の手は欠かせないが、稲にとっては補助的なことで、成否のすべてはお天気しだいである。