中高生のための内田樹（さま）その５

「相対」」と「絶対」という現代文での重要語をわかりやすく書かれた文章があったので、ここで知ってもらいたい。

相対・・・他に対立するものが存在し、それとの関係や比較で成立するもの。
絶対・・・他に対立するものがなく、批判の余地なく正しいと認められるもの。“唯一”の観念を含む


相対と絶対
　父親は子どもをラットレースにおいて勝利させようとし、母親は「ライオン」に喰い殺されないように、子どもをできるだけ大きな群れの中のできるだけ悪目立ちしない個体にしようとする、ということである。
　父親は子どもを「相対的強者」にすることを望み、母親は子どもが「絶対的弱者」であることを直感的に知っているので、「勝つこと」ではなく「生き残ること」だけを望むのである。
　この二つの育児戦略の相補的・相互規定的なダイナミズムの中で子どもは育てられる。






上記の文の「相対」「絶対」の部分をしつこく説明すると、ラット（ネズミ）の群れの中で、他のラットとの関係で、また、比較して速く走らせて勝たせようとしているのが父親の考えで、ライオンを前にしたラットはどんなに他のラットより速くても批判の余地なく勝てないし、食われてしまうし、へたに早くて群れから出たら絶好の餌食になってしまうので目立たせたくないと思っているのが母親とここでは述べているわけだ。。


ここで他の重要語も解説しておこうか。

「ダイナミズム」は「活力、力強さ」

「直感」は物事を感覚的にとらえることで瞬間的に理屈でなくととらえること。
「直観」は推理や経験と関係なく、直接物事の本質をとらえることで哲学用語。

絶対の「たい」は体ではないので念のため。覚え方としては「絶対」と「相対」の対義語をセットで覚えることと「絶体絶命」は体も絶するし命も絶するんだというように覚えよう。

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