傍線部に注目しよう
24 思ひだししこと、かしらを強く打ちしかど、死な ざり き。
25 我一人で申さ む には来 な むずる ことなしとおぼしめさ んず らん。
26 あはれ、男、いかなるやうにやなりけむ。
27 いかがす べから むと、よろず思ひ乱れ給ふ べから ず。
28「何事にか侍らむ。ただいまは見るまじ」とて入りぬ。
【直前・実戦】
24 思い出したこと、頭を強く打ったが死ななかった。(「き」のエッセンスが込められているので丸暗記推奨)
・連用形+し+体言・・・「し」は過去の助動詞「き」の連体形
・已然形+ど・・・「しか」は過去の助動詞「き」の已然形
・終止形の「き」は過去。
※「き」は経験過去。物語では「会話文」に使用される例多し。
※「ず」の活用表は暗記。ザリ活用は下に助動詞がくることが多い。
ず ・ ず ・ず・ ぬ ・ ね
ざら・ざり・ ・ざる・ざれ・ざれ (【ずずず】【ぬね】【ざ+ラ変】の3ブロックに分けて覚える)
25 私一人で申したら来るようなことはないと(きっと)お思いになるだろう。
我一人で申さ む には来 な むずる ことなしとおぼしめさ んず らん。
連体形の「む」+助詞は仮定
な(強意「ぬ」未然形)+むずる(「むず」の連体形 んず(=「むず」)の終止形+らん(=「らむ」)
※乱暴に言ってしまうが、「む」(一語)=「むとす」(三語)=「むず」(一語)
よって「むず」はサ変型の活用をする助動詞と言うことになる
26 ああ、その男はどんなふうになったのだろうか。
や~連体形。(疑問)
連用表現(く・ず・に・と)+なり(四段動詞「なる」の連用形)
連用形+けむ(過去推量)
27 どうすればよいかとあれこれ(いろいろと)思い乱れなさることはいけない
「いかが・・・すべき」「いかが・・・べからむ」は適当。「べからず」(禁止、不可能)
28 「何事でしょうか。今は見るまい(見るのはよそう)」と言って入った。
「に+あり系」の「に」は断定「なり」の連用形。「む」推量。「らむ」ではない。「まじ」は「べし」の打消。自分(一人称)が主語なので打消意志。
【参考】
25
【べし・まじ・らむ】※終止形接続だから未然形接続の推量系より確実度が高い
【べし】
推量(だろう・そうだ・ようだ)※三人称に多い
意志(う・よう・つもりだ)※一人称に多い
可能(できる)※「できる」と訳せる。下に打消し多し。
当然(はずだ・はずの)※連体形に多い
命令(せよ・なさい)※二人称に多い(英語の命令文も二人称が多いでしょ)
適当・勧誘(がよい)※二人称に多い
※ それぞれの頭文字をつなげて読むと、「スイカトメテ」になる
活用(形容詞型)
べく べく べし べき べけれ 〇
べから べかり べかる
(余談だが、フランス人のような発音だと覚えやすい)
【まじ】(「べし」の打消しと考えると良い。本気と読まない)
打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止・不適当
活用
まじく まじく まじ まじき まじけれ
まじから まじかり まじかる
※ 超余談「まじく」「まじかる」とかが魔法少女っぽいよね。
【らむ】(基本は現在推量(ているだろう)。たまに現在の原因推量(どうして~ているのだろう)婉曲(らむ+体言)(ような)・伝聞(そうだ)
活用
〇 〇 らむ らむ らめ 〇(「ぞ・なむ・や・か」の係り結びに注意。その場合、「らむ」は連体形である)
【「らむ」の識別】
・ラ行四段動詞の未然形の活用語尾+推量の助動詞の終止形OR連体形 例)今はまか らむ
・ラ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞の終止形OR連体形 例)あしたにぞあ らむ
・形容詞の未然形の活用語尾の一部+推量の助動詞の終止形OR連体形 例)金は惜しか らむ
・完了の助動詞「り」の未然形+推量の助動詞の終止形OR連体形 例)人はあはれ知れ らむ
※完了の「り」はサ変の未然形・四段の已然形につく。サミシイエリカ。
【「ぬ」の識別】 23を参照のこと
【おぼしめす】・・・【おぼす=思す】の最高敬語「お思いになる」
26
●「あはれ」
感動詞・・・ああ
形容動詞「あはれなり」
① しみじみとした思いだ。趣深く感じる。◎
② しみじみと心打たれる。すばらしい。◎
③どうしようもなく悲しい。身につまされて悲しい。
③ もの寂しく、心引かれる。
④ かわいそうだ。気の毒だ。(現代語と同じ)
⑤ しみじみとかわいい。いとしい。(盲点)
感動詞「あっぱれ」
①ああ。▽強く感動したときに発する語。
②ああ、すばらしい。▽ほめたたえるときに発する語。
形容詞「をかし」
①こっけいだ。おかしい。変だ。(現代語と同じ)
②興味深い。心が引かれる。おもしろい。◎
③趣がある。風情がある。◎
④美しい。優美だ。愛らしい。〇
⑤すぐれている。見事だ。すばらしい。
●連用表現(く・ず・に・と)+なり(四段動詞「なる」の連用形) ※「クズニート」で覚えないこと
例)うつくしくなりけり・見ずなりけり・静かになりけり・大臣になりけり・整然となりにけり・大臣となりけり
●けむ
☆助動詞の意味と訳との関係について
過去推量(意味)=過去+推量=(訳)た+だろう=ただろう ※区別しておこう。対応関係にも留意。
28
●「名詞+に+あり系」の「あり系」について
「あり」の意味を持つ敬語に注意する。例)はべる(丁寧語・謙譲語) おはす・おはします(尊敬語)
※助動詞「なり」の語源
「終止形(ラ変型の場合は連体形)+なり」(伝聞推定) 【音(ね)+あり】
「名詞+に【断定】【格助詞】+あり」(断定}
※断定の「たり」・・・「と+あり」
●侍り
「這い在り(はいつくばっている)」が語源なので「ラ行変格動詞」で①の意味が出てきて派生した意味が②以降になる(諸説あります)
①おそばにいる。ひかえている。お仕えする。▽「あり」「居(を)り」の謙譲語。
②あります。ございます。おります。▽「あり」「居(を)り」の丁寧語。
③動詞の連用形に付いて〕…ます。…(て)おります。▽丁寧の意を表す。
④〔形容詞・形容動詞・助動詞の連用形に付いて〕…(で)ございます。…(で)あります。▽補助動詞「あり」の丁寧語
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