ゲルニカから三十分ほどでビルバオへもどってきた。
西暦1300年に、それまで漁村だったビルバオをビスカヤ公の街としたディエゴ・ロペス五世の像↓
この広場でバスを降りた↓
ネルビオン川が蛇行する場所につくられた旧市街が橋の向こうに見えてきた。アリアガ広場に建てられた劇場がある↓
アリアガとはパリでも活躍した若い音楽家の名前、夭折したので「バスクのモーツァルト」と呼ばれているのだと、ガイドさんが言った↓
ふりかえると19世紀から20世紀初めアールヌーボーの様式でつくられた駅↓
写真左端に見える塔もその少し後にできたアールデコ調。長くビルバオでいちばん高い建造物だったのだそうだ↓
旧市街の細い道へ入る↓
お土産店に飾られていたバスクの大きな旗↓「EUSKADI」とは、バスク語でバスクを指す言葉↓
お土産屋さんのショーウィンドーには民族スポーツの「ペロタ」をする像↓「ペロタ」とはバスク語でボールのことを指す。
↓「きれいな図書館があるんですよ。さっきの劇場をつくったのと同じひとがつくったもの。ちょっと見ていきませんか?」
とガイドさんがさそってくれた↓なにげない普通の空間だが居心地良さそう↓
路地の向こうにサンチアゴ教会が見えてきた↓
道には巡礼路をあらわす印→
「最初につくられた旧市街は並列する七つの道からできている」と資料で読んでいたのが、歩いてみると実感できた。
ビルバオは西暦1300年当時の計画都市だったのだ。ディエゴ・ロペス五世(アロ家)は、合理的な都市造りを目指していたのかも。
劇場のところまでもどり、グッゲンハイム美術館までトラムに乗る事にした。少人数だからこういうことも出来る↓切符は一回券1ユーロ50セント↓
停留所には次のトラムが何分後にくるかも表示される最新の設備がある。乗車してみると、車内がとても明るい↓
右に見える川に、カラトラバ設計の橋が見えてきた↓ビルバオは街のいたるところでモダンな建築が目につく。
トラムを降りて→いちどグッゲンハイム美術館と逆に歩き、美術館が見晴らせる橋にでる。パノラマ風景↓銀色にもりあがったのがグッゲンハイム美術館↓
この写真を撮影した橋は、大学の本館と図書館を結んでいる↓下の写真で橋の向こうに見えているのが大学本館↓おもしろ橋でしょう(^^)↓歩いて楽しい↓
図書館は、下の写真で左側に見えている建物↓ 印象的にそびえている塔は電力会社のものだそうだが、現代のビルバオでいちばん高いものになる↓
さぁ、いよいよグッゲンハイム美術館へ↓
★グッゲンハイム美術館は今年で開館二十周年をむかえる。1983年に街を襲った大水害の後、この場所にあった古いドックをネルビオン川河口に移動させ、そこにそれまでにない美術館を建設することにした。
すでにニューヨークとヴェネチアに美術館をつくっていたアメリカ人の大富豪グッゲンハイムに声をかけた。 グッゲンハイムというファミリーはもともとドイツ系のユダヤ人で、19世紀にアメリカに移住して鉱山開発で財を成してきた。同じく鉱山で栄えたビルバオを再生させる計画にも興味があったのかもしれない。
美術館は数人の建築家へのコンペの結果、フランク・ゲイリーが担当することになった。この時イソザキも参加していた、のだそうだ。※今回の旅ではガリシアのア・コルーニャにあるイソザキの建築も見られるのが楽しみ
チタンの薄いパネルで覆われた姿が印象的↓むこうに見える赤いアーチは、グッゲンハイム美術館会館十周年を記念して付け加えられた。橋自体は美術館計画以前からここにあったが、この赤いアーチが加わることによって、調和した↓
↓手前に見えるピカピカの風船はジェフ・クーンズの「チューリップ」↓
内部はこんな吹き抜け空間がそびえている↓これを見るだけでここへやってくる価値がある。ここは美術館それ自体が見るべきものなのだ↓
この空間を中心にして「展示室」が三階僧につくられているのだが、小松の思うところでは、ここでどんな規制モダンアートをもってこようが、建物に負けてしまうのではないだろうか。ロスコ―も、キーファーも、建物の存在感を越えられない。
ここで見るべきなのは、この場所の為につくられた、こんな作品だろう↓英語やスペイン語の文字が下から上へどんどんながれていく↓
それが・・・一歩内側・裏側へ入ると、空間の雰囲気は一変し、流れていく文字はバスク語に変わる↓「バスクは隠されてきた」という歴史を暗示している↓なるほど
そして、多くの人に忘れられない印象を残すだろう、巨大な鋼鉄の迷路↓上から見下ろしたところがこれ↓
遠くに小さく見える人間から大きさを想像してほしい。
↑★サンフランシスコ出身のリチャード・セラによってつくられたTHE MATTER OF TIMEと名付けられた作品。この空間は「フィッシュ・ホール」と呼ばれ、この作品が入る以前には展示室のひとつとして使われてたそうだが、どんな作品をもってきてもこの空間には負けてしまっただろう。
この巨大な鋼鉄はドイツで鋳造してここへ運ばれた。形状、大きさ、配置、それぞれ慎重に選んでこのかたちになったのだ。どの位置から見ても、クジラのあばら骨のような天井と呼応している↓
この間を歩く人は、旧市街の路地をあるくように感じるかもしれない→ 八枚の鉄板がつくりだす七つの細い空間は、さっき訪れた旧市街の七つの道を思い出させた。思い込み、でしょうか。
この作品、とっても重い。千二百トンもあるのだそうだ。ところが、展示室が最初に想定していたのはわずか40トン。ガイドさんに指摘されて床を見ると、そこここに亀裂が出来ているのがわかった。
***最後に正面入り口へ。この美術館でいちばんカワイイのはこの巨大な「子犬」かもしれない↓