サンチャゴへの巡礼路の起点「0(ゼロ)㎞」は、意外にもサンチャゴ大聖堂ではない。 さらに西へ85㎞、巡礼日程で三日の距離にある「地の果て」と呼ばれるこの岬である。 その証拠がこの表示。「0.00.K.M」と表示されている↓
今回、北スペインの旅を企画するにあたり、「海へたどりつきたい」と、素朴に思っていた。 サンチャゴ巡礼を扱った映画「星の旅人達」(アメリカ映画)、「サンジャックへの道」(フランス映画)、を見ていると、共に海が出てくる。
なのに、どうして一般的なツアーでは海を見られるところまで行かないのだろう?
そう思っていろいろ調べているうちに「FINIS(終わり)TERRA(大地)」と名付けられたこの岬が、巡礼の距離を測る起点なのだと知った。
巡礼たちはこの岬にたどりつき、海に果て・世界の果てに沈む(死ぬ)太陽を見る。そこでぼろぼろになった服や靴を燃やし、新しい自分になった。 そう考えると、ぽつんと置かれたブロンズでつくられたこんなぼろ靴の彫刻も、その意味が感じられる↓
はじめは、「《手造の旅》ならば、『地の果て岬』まで行ってみようじゃないか」というだけだった。しかし、調べているうちに、灯台のすぐ横にある建物が小さなホテルになっているらしいと分かってきた。 それが下の写真右上に写っているホテル↓※翌朝撮影↓
★ここに泊まれたら…ここで世界の果てに沈む夕陽を見られたら、一生の記憶に刻まれる瞬間になるにちがいない。ホテルの部屋が少ないとか・設備がばらばらだとか、課題はあっても全部飲み込んで旅を楽しんでいただきたい。すでに予約していたホテルをキャンセルして、スペイン語の出来る友人に頼んで連絡してもらった。
ついにやってきた今日。岬の先にぽつんと見えるあの建物が我々が一晩を過ごす場所か↓
灯台の前までバスを入れてそこから少し坂になる。ごろごろと荷物を運んだけっこう急坂。 スーツケースはSMARTでピストン輸送してくれた。
チェックイン 部屋のカギは、存在しない。暗証番号を渡され、ドアノブのこのダイヤルに入力する。なんだか、セーフティ・ボックスみたい↓
日本式の三階建てに部屋は八室だけ。大きさも設備もそれぞれ違う いちばん上の階は、実質屋根裏↓ 一人部屋はこんな各部屋、設備はずいぶん違うけれど、とにかく、「地の果て岬」の時間を楽しみましょう。
ホテルの広いテラスから、灯台を望む↓
海岸はずいぶん下になるが、少し崖も歩いてみた。黄色いエニシダは棘が痛い。そこここに黒く焼けたあとがあった。今でも服や靴を燃やす巡礼はいるのだ。
ホテル 二階部分はこんな小さなカフェになっている↓
夕飯は? はい、これが思うよりずっと手の込んだコースを用意してくれていた↓
サン・ジャック(ホタテ)も↓
ゆっくり夕食をおえる21時少し前、夕陽が沈む時間が近づいている。外へ出て、その時を見守る。風は穏やかでそれほど寒くはない。ガリシアの地の果てももう春。いや、初夏の様にさえ感じる。
★サンチャゴ大聖堂で特別なミサに使われる巨大な香炉=ボタフメイロ本物は銀製です。
※大聖堂の天井に届かんばかりに揺らされるボタフメイロを撮影した動画をこちらからごらんください(オルガンの音が出ます)