夫婦の5・5組に1組が悩むとされる不妊症。
「女性に原因」と思われがちだったが、世界保健機関(WHO)め調査では48%に男性にも原因があったという。
男性不妊の治療に当たってきた井手順天堂大特任教授は 「不妊症検査は夫婦ともに」と訴えている。
厚生労働省の調査では、男性不妊で治療を受ける人の82・4%が、精子を正常に作れない造精機能障害。
中でも原因不明の特発陛が42・1%、精巣につながる血管にこぶができる精索静脈瘤が30・2%に上る。
「精子の数は過去40年間で半減しており、これは世界的傾向」と井手さん。
環境ホルモンなどが原因ともいわれるが、無視できないのが酸化ストレス。
喫煙や深酒、肥満、加齢、不規則な生活などさまざまな原因で起きる酸化は男性不妊の約80%に関与するとされる。
精子は精巣で約74日間かけて育つが、その間に受けるストレスで、頭部に収めるDNAがちぎれるなどの損傷を受け、これが不妊につながる。
こうした損傷精子を減らすには例えば禁煙や抗酸化剤の服用。
禁欲期間の短縮も精子がストレスにさらされる時間を減らしてくれる。
さらに精巣の温度が上がると精子がダメージを受けることにも注意が必要だ。
不妊治療を行う男性600人以上を調べた米国の調査で、股間の温度が上がりやすい、ぴったりしたパンツをはく人は、ゆったりしたボクサー型をはく人より、精子の数や濃度が減るとの結果も報告されているという。