広島大大学院の小蔵教授が加わる研究チームが、生きたゴキブリに超小型の電子装置を付けた「サイボーグ昆虫」を群れで移動させる制御プログラムを開発した。
障害物の多い災害現場における被災者の捜索活動などでの実用化を目指している。
1月上旬に国際科学誌で発表した。
マダガスカルゴキブリ(体長5~7センチ)の背中に、小型コンピユーターや無線を受信するアンテナ、バッテリーの計5~10グラムの装置を取り付け、感覚器官に電気で弱い刺激を与えることで動きを操る。
昆虫の機動力を生かし、小型ロボットに比べて少量のエネルギーで長時間動くことができるという。
ただ、1匹だけでは転倒して動けなくなることがあるため、小蔵教授や大阪大の若宮教授、シンガポール南洋理工大の佐藤教授たちでつくる研究チームが群れでの制御を模索。
ツアー旅行でガイドが最小限の指示で参加者を導く様子に着想を得て、リーダの1匹だけに目的地の位置情報を与え、その他には刺激の回数を減らして自由行動をさせた。
実験では、群れの個々に指示を送る場合に比べて、衝突したり脚が絡まったりして動けなくなる頻度が減った他、障害物に引っかかった個体を助ける行動も確認できたという。
研究チームは「昆虫が生まれながらに持つ自然な動きを活用し、柔軟性と効率性を持つサイボーグ昆虫の群れを実現できた」とする。
今後、災害現場の他、環境やインフラの調査などでの実用化を目指すという。
小蔵教授は「生物と共存し、暮らしを豊かにする技術の開発を進めたい」と話す。
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