踊る小児科医のblog

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ポリオ根絶への闘い

2005年02月03日 | こども・小児科
ビデオに撮っておいた海外ドキュメンタリー「ポリオ根絶への闘い」を観ました。ご存じのように、日本を含む西太平洋地域では2000年にポリオ根絶が宣言されていますが、インドや西アフリカ諸国では紛争などよりも地域社会の因習や誤解、宗教的要因や教育などが原因でワクチンの普及を妨げられている様子や、ここ数年のうちに重点的な資金提供の元にポリオを根絶しないと、再び世界中に蔓延して失敗に終わる可能性が高いことなどが説得力の高い映像とインタビューで伝えられ、質の高い番組でした。

日本国内では、ポリオは接種率をこのまま下げずに維持して、副反応を減らすために不活性化ワクチンへ切り替えを進めていく段階で、運動の焦点は麻疹(はしか)に移っているのですが、この様子だと世界中からポリオが根絶されて、最後の患者から3年が経過するまでには、まだまだ気の遠くなるような努力と資金が必要なようです。それまでは、全ての国で予防接種の手を緩めることはできません。

資金不足が大きく取り上げられていました。当院でもわずかながらでもユニセフに継続募金をしておりますが、最近になって(この番組を観たからかどうかはわかりませんが)ビル・ゲイツが予防接種のために770億円寄付したというニュースが伝えられています。これで1年でも根絶の時期が早まれば素晴らしいのですが。。(Macユーザーですがこういった寄付活動ではゲイツを支持します)

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「ポリオ根絶への闘い」
[原 題] The Last Child
[制 作] アメリカ 2004年
 WHOは1988年にポリオ根絶という目標を掲げ、その後、世界の患者数はかつての1パーセントにまで減少した。しかし、アフリカでは今になってポリオの流行が拡大している。予防接種を受けるという極めて単純な行為が様々な社会因習や誤解が元で受け入れられていないためだ。地道な啓蒙活動がWHO、CARE、米CDCと地元NGOの必死の努力のもと続けられている。
 番組は、ポリオとの際限ない闘いの最前線を3年がかりで世界各国に追った。
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ポリオ(国立感染症研究所・感染症情報センター) 図2