踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

エイズ患者・感染者が年間1000人を超す

2005年02月11日 | こども・小児科
1月末に、昨年2004年に新たに報告されたエイズ患者・エイズウイルス(HIV)感染者が、初めて1000人の大台を超えたというニュースが報じられました。この数字は、それでも先進国の中では少ない方なのですが、先進国で唯一90年代後半から直線的に増え続けており、しかもエイズはクラミジアなどと同じように感染してもすぐには症状が出ないので、実際にはその何倍かの感染者がいると考えられるのです。

昨年のHIV感染・発症 初の1000人台(読売)
[解説]「エイズ」1000人(読売)
【エイズを見直す】「年間新規報告数が1000件を超える」の衝撃度(日経MedWave)

ここで問題なのは、私たちはエイズが性感染症(STD)であることに何の疑いも持っていないのですが、熊本氏の講演によると「“エイズは今や他の性感染症と同じ性感染症”と認識することに、行政当局を始め医学界・ジャーナリズムなど、すべての社会分野でかなり強い抵抗があり、未だにエイズは非常に特殊な感染症と考えている傾向が強い」というにわかには信じがたい状態なのだそうです(本当だろうか)。是非、下記の論文をお読み下さい。難しくはありませんが、ご存じなかった方にとっては衝撃的な内容だと思います。

エイズ/性感染症をめぐる問題点 熊本悦明(性の健康医学財団)

この中でも触れられていますが、中国のAIDS感染が、WHOの圧力で3年前に明らかにされたら、既に100万人の感染例がいて、2010年には1000万人に急増するものと推定されています。これだけ人の行き来が激しい時代でもあり、お隣の中国だけでなく日本国内でも感染大爆発の寸前と考えられ、エイズ対策の根本的な見直しが迫られています。

私も今年度から市内の中学校で思春期の心とからだ(特に性とタバコ)について話をする機会ができたので、性感染症の話にはある程度力を入れて印象に残るように話をしているつもりですが、「脅しの性教育」にならないように、しかし知っておくべき情報は全て伝えるということを1時間という短い時間で行うことは難しいものですね。性感染症や十代の妊娠・中絶、あるいは喫煙といった問題は、全て「無知からくる悲劇」と言えます。まず正しい知識を持つことが大前提で、その上で行動変容を来すようにするという難しい課題であり、私にとっての新しいチャレンジでもあります。