熊本熊的日常

日常生活についての雑記

遠方カフェ探訪

2010年01月23日 | Weblog
横浜のvis vivaというカフェで今まで口にしたことのないような美味しいエスプレッソを頂いた。以前にもこのブログのどこかに書いたかもしれないが、コーヒーというのは果物である。たとえ我々が口にするのは、その種子に由来する抽出物であるにせよ、果物なのだから、やはり本来なら果物らしさというものがどこかに感じられなければ適切に抽出したことにはならないだろう。ドッリプにしてもエスプレッソにしても、適切に淹れられたコーヒーには、果物に通じる自然な甘露が感じられるものである。この店のエスプレッソにはそういう甘露がある。

コーヒーの苦味というのは夾雑物に由来することが殆どである。その夾雑は収穫から抽出に至るそれぞれの過程においてそれぞれに発生する。コーヒーというのは本来的に苦くはないものである。

この店のコンセプトは「旅の途中」なのだそうだ。中に入るとすぐにエアロコンセプトの大きなカバンが積み上げられているのが目に入る。ちょっと上品な空港のラウンジのような風情だ。一般にカフェではエスプレッソマシンはカウンターの向こう側に置かれているものだが、ここではカウンターに鎮座している。カウンターに置かれても違和感がない、それどころか積極的に人目に晒したいような恰好のよい機械なのである。店の中央に近い壁際に高さ80センチ程度のラックがあり、その上に波動スピーカー、ラックには管球アンプ。壁には菅野さんが撮影した写真が並ぶ。全体としては一見したところ大人風のシックな雰囲気だが、こうして細部に目を遣ると紛れもない「男の子」趣味だ。

この店に入って、なんとはなしに母性が刺激されるような気がする、という女性がいたら、そういう人とは是非にもお付き合いさせていただきたいと思う。母性は刺激されないが、インテリアとか飾られている写真は大変好きだ、という女性とは良い友達になれそうな気がする。そういう店である。