先週の木曜日にかつての同僚と昼食を共にした。その人も何度目かの転職で、差し出された名刺が新しくなっていた。その名刺はそのまま携帯用の名刺入れに入ったままになっていたのだが、家で使っているROLODEXに移したときに、ふと気になってそこに書かれていた勤務先を検索してみた。するとその会社の持ち株会社の会長が、私が新入社員だったときのチューターだったのである。
大学を出て最初に就職した会社では、私が入社した年から、新入社員に教育係の先輩社員がひとりずつ付くという制度が始まったところだった。件の会長は、私の教育係の人だった。当時は入社12年目で、私が配属された部署での最年少だった。そういうこともあって、新人教育という雑用を押し付けられたのかもしれないし、多少なりとも年齢の近いほうが意思疎通を図りやすいだろうという管理職の配慮があったのかもしれない。その先輩自身は、やはり新人の面倒を見るなどということは嫌だったのだそうだ。しかし、私にしてみたら社会人になって最初の身近な先輩が彼のような人というのは幸運なことだった。彼は仕事に関しては様々な武勇伝的逸話を持っていて、多くの同僚や客先から慕われていた。日々の会社生活のなかでは、私はこの先輩にたいへんお世話になって、特に食事にはよく連れて行って頂いたし、客先の接待にもしばしば同行させて頂いた。おそらく目先の利く人間なら、彼のような人には積極的に取り入って、少しでも多くのことを吸収しようとするのだろう。ところが私は自分でも呆れるほどに愚鈍で、そういう積極性が無いのである。彼は気さくで、決して先輩風を吹かせるようなことは無かったが、それがかえって畏れ多く感じられて、彼との接点は結局この新入社員時代の1年だけになってしまった。
その後、この先輩は出世街道を驀進し、社長にまで上り詰めた。が、そこで不正経理問題が起こってしまい、結果としてはそれが実質的な会社の破綻の引き金にまでなってしまった。不正経理問題の責任を取る形で社長を辞任し、数年後に冒頭の会社の会長に収まったようだ。あるいはご自身で起業されたのかもしれない。
傍目には順風満帆でも本人にしてみれば苦痛や苦悩に満ちていることもあるだろうし、その逆だってあるだろう。このブログを書くのに、その先輩のことを検索してみたのだが、やはり不正経理事件に関係したものが多く、自分が知りたいと思うようなことは殆ど無かった。ただ、そのなかで自分の知り合いの名前がもうひとつ出てきたことに驚いてしまった。不正経理の源流のひとつとなった、あるM&A案件を手がけた投資銀行の担当者がその名前だ。留学先で知り合って、その同窓会などで顔を合わせる程度の付き合いしかないのだが、やはり気さくな人柄で、不思議と親しさを感じさせるのである。
先週の木曜に昼食を共にした知人、その勤務先のホールディングカンパニーの会長、その人がかかわった事件のもとになった案件の当事者、そんな人たちがつながっていることを知るというのは、妙な気持ちがするものだ。
大学を出て最初に就職した会社では、私が入社した年から、新入社員に教育係の先輩社員がひとりずつ付くという制度が始まったところだった。件の会長は、私の教育係の人だった。当時は入社12年目で、私が配属された部署での最年少だった。そういうこともあって、新人教育という雑用を押し付けられたのかもしれないし、多少なりとも年齢の近いほうが意思疎通を図りやすいだろうという管理職の配慮があったのかもしれない。その先輩自身は、やはり新人の面倒を見るなどということは嫌だったのだそうだ。しかし、私にしてみたら社会人になって最初の身近な先輩が彼のような人というのは幸運なことだった。彼は仕事に関しては様々な武勇伝的逸話を持っていて、多くの同僚や客先から慕われていた。日々の会社生活のなかでは、私はこの先輩にたいへんお世話になって、特に食事にはよく連れて行って頂いたし、客先の接待にもしばしば同行させて頂いた。おそらく目先の利く人間なら、彼のような人には積極的に取り入って、少しでも多くのことを吸収しようとするのだろう。ところが私は自分でも呆れるほどに愚鈍で、そういう積極性が無いのである。彼は気さくで、決して先輩風を吹かせるようなことは無かったが、それがかえって畏れ多く感じられて、彼との接点は結局この新入社員時代の1年だけになってしまった。
その後、この先輩は出世街道を驀進し、社長にまで上り詰めた。が、そこで不正経理問題が起こってしまい、結果としてはそれが実質的な会社の破綻の引き金にまでなってしまった。不正経理問題の責任を取る形で社長を辞任し、数年後に冒頭の会社の会長に収まったようだ。あるいはご自身で起業されたのかもしれない。
傍目には順風満帆でも本人にしてみれば苦痛や苦悩に満ちていることもあるだろうし、その逆だってあるだろう。このブログを書くのに、その先輩のことを検索してみたのだが、やはり不正経理事件に関係したものが多く、自分が知りたいと思うようなことは殆ど無かった。ただ、そのなかで自分の知り合いの名前がもうひとつ出てきたことに驚いてしまった。不正経理の源流のひとつとなった、あるM&A案件を手がけた投資銀行の担当者がその名前だ。留学先で知り合って、その同窓会などで顔を合わせる程度の付き合いしかないのだが、やはり気さくな人柄で、不思議と親しさを感じさせるのである。
先週の木曜に昼食を共にした知人、その勤務先のホールディングカンパニーの会長、その人がかかわった事件のもとになった案件の当事者、そんな人たちがつながっていることを知るというのは、妙な気持ちがするものだ。