熊本熊的日常

日常生活についての雑記

黄金餅

2012年01月01日 | Weblog
昨日は住処の給湯器が故障し、今日は震度4の地震。給湯器は機器内部のパイプにピンホールが出来たことが原因で、地震は地殻活動の一環だ。別に大晦日を狙って故障したわけでもなく、元旦を狙って揺れたのでもない。大晦日だの元旦だのというのは人間の側の勝手な都合で、年の区切りなので、ちょっと普段なら考えないようなことを思ってみるというだけのことだ。幸い、給湯器のほうは家主の了解が直ぐに取れたので、今週中に機器を交換することになった。ただ、それまではピンホールがそのままなので、機器内部の漏水が継続する。弁を閉じても漏水が止まらないので、何か昨日の検査で見逃したところがあるはずなのだが、さすがに緊急でもないことで元旦に東京ガスの人を呼び出すのも気の毒だと思い、そのままにしてある。

元旦でも営業しているところはいくらでもある。現に単発バイトの案内は今日も朝8時半頃から散発的に携帯メールで送られてきている。2日ほど前から回っている仕事ばかりで、どれも人が集められないようだ。現場が遠いので、交通費無しで単価が安いと仕事ではなく勤労奉仕になってしまう。そのあたりのことは発注元でも了解しているのだろうが、ダメもとで募集をかけ続けているのだろう。仕事内容はどれもピッキングや梱包だ。単価を上げるわけにもいかず、かといって人手も欲しい、という事情が透けて見える。不思議なもので、数日前は三が日の仕事は受ける気満々だったのだが、エントリーしたものが悉くハズレになるとやる気が失せる。週後半からは就職活動も再開するので、しばらくは週末以外のバイトは取れなくなる。それにしても、見慣れた風景の背後にこれほど臨時雇用の労働力が活動しているとは、想像はしていたけれど自分が当事者となって経験してみると驚いた。現場では当然ながら経験者が重宝されているようだが、経験者を求めるくらいならバイトではなく正社員を雇えばよさそうなものだ。それができないということが、今の日本経済の現況なのだろう。

昨年末に市中で越年した日本銀行券は83兆9,668億円となり過去最高を記録したそうだ。先行きへの不安が強い上に金利が低いので、個人も企業も手元流動性を厚めにしている。そうしたなかでは、目先の仕事が繁忙でも固定費を抑えようとする姿勢は強まりこそすれ緩むことはない。「金は天下の回りもの」という。金は適切に使われてこそ増えるもので、溜め込んでいるだけでは何も生まない。おそらくそんなことは誰も承知している。しかし、不安が勝って使えない。誰もが落語の「黄金餅」に登場する西念のようになっている。結局、西念は腹に二分金と一分銀を溜め込んだまま亡くなってしまった。その金銀を焼き場で死体から回収した金兵衛は、それを元手に目黒で餅屋を出して繁盛したことになっている。今の時代に必要なのは金兵衛のような役回りだ。金兵衛本人でなくてもよい。金兵衛のような役回り、つまり退蔵されている資金を投資へ振り向けることを奨励するのも重要だ。それは政治の役目だろう。ところが、そっちのほうは保身に忙しくて、むしろ金兵衛に冷や水を浴びせるほうを得意としている有様だ。政府がそういうことならば、ここはひとつパルチザンのようになってでも、金兵衛を目指すことが我々ひとりひとりにとって必要な姿勢ではないだろうか。