熊本熊的日常

日常生活についての雑記

広島にて

2012年02月01日 | Weblog
広島にやって来た。午前中はアイロンがけ、家の中のクリーナーがけ、トイレ掃除に勤しみ、荷造りを済ませて身支度を整え、午後1時ちょうどに巣鴨の住処を後にした。都営地下鉄三田線、浅草線、京浜急行を乗り継いで羽田の国内線ターミナルに着いたのが午後2時少し前。そのままセキュリティを経てゲートに直行し、午後3時過ぎの全日空に搭乗した。飛行機は定刻通りに広島空港に到着し、リムジンバスに乗って広島駅前に着いたのが午後5時半。市電に乗って八丁堀で下車して徒歩5分ほどで宿屋に到着。チェックインを済ませて時計を見ると午後6時ちょうどだった。

飛行機というものにはあまり縁が無いのだが、今回久しぶりに国内線を利用してみて、その便利さに感心した。今日の便は航空会社のウエッブサイトで予約をしたのだが、航空券が携帯電話に記録されるのである。全部の便が同じ様にできるわけではないらしいのだが、少なくとも幹線あるいは準幹線なら「おさいふケータイ」機能のある電話機に所定のアプリをダウンロードしておけば電話機が航空券代わりになるのだそうだ。具体的には、いかのような具合だ。
一、 空港に着いて、保安検査場に直行する
二、 その入口に端末があり、そこに航空券情報の記録された携帯電話をかざすと、便名やゲートなどの出発情報が記載されたレシート状の紙がぬるぬると出て来る
三、 そのまま保安検査を受けて、ゲートに直行する
四、 搭乗が始まり、ゲートのところの端末に携帯をかざすと、さきほどより少ししっかりした紙に便名や座席情報が記載されたものがすっと出て来る
これなら、出発時間20分前くらいに空港に着いても大丈夫であるような気がする。尤も、ずっと以前のことだが、出張の折に伊丹で出発7分前にチケットカウンターに着いて、ゲートまで航空会社のオネエサンと一緒に走った経験がある。ということは、自動化が進んだ結果、あのような滑り込みセーフ的芸当はもうできないということなのだろうか。表向きの便利さに惑わされてはいけない。感心している場合ではない。

羽田から広島までの便はB777-200だった。座席の埋まり具合はざっと6割程度だろうか。広島空港から広島駅へ直行するリムジンバスには私を含め30名が乗車した。空港を出て30分くらいは高速道路を進む。道路上の往来は活発で、大型トラックが多い。ナンバープレートは広島や福山のものが多いが九州や近畿、中部のものもある。広島駅に着いたのが通勤客の帰宅時間帯という所為もあり、駅構内の人の往来が多く、駅前から次々に出発する市電やバスはどれも立っている人の姿が見られる。八丁堀から中央通りを平和大通りまで歩いたが、ここも往来は人も車も活発だ。チェックインを済ませて、部屋に荷物を置いてすぐに街へ出たが、寂れた感じは無い。なんとなく、ほっとした。

夕食はお好み焼き、というのはあまりに貧困な発想のような気がして、宿屋の近くのビストロのようなところに入ってみた。Koharu亭という名のカウンター席だけの小さな店で、夜の食事は「おすすめ」がハンバーグのセットメニューだ。ハンバーグは10種類あって、そこからひとつ選び、それに飲み物、前菜またはデザート、ご飯またはパンが付いて1,800円だ。初めての店なので、素直に「おすすめ」を選び、ハンバーグも1番目にあったデミグラスソースの煮込み風をいただく。それに前菜とパンを付けてもらい、飲み物はオレンジジュースにした。ごく当たり前の安心していただけるものだった。敢えて個人的な好みを言わせてもらえば、ハンバーグに使う玉葱はもう少し小さく切って、ひき肉などと混ぜる前に火を通したほうがよいのではないかと思う。玉葱を生のまま肉と混ぜてハンバーグにすると、玉葱の食感が突出してしまって口に入れたときのバランス感が悪い。ハンバーグは野菜料理だとの主張があるのならこれでよいのだろうが、私のなかでは肉料理なので、違和感を覚えた。この店は開店から2年になるそうだ。近隣の飲食店は回転が早く、なかには出店して半年程度で退店してしまうところもあるそうだ。このあたりの事情は東京と同じようなものらしい。男性3人で切り盛りしており、なかなか雰囲気の良い店だ。

腹が膨れたところで、平和大通りを平和記念公園まで歩く。あまりに有名な場所ということもあり、夜なのでよくわからない部分もあり、殊更驚くようなことも無いのだが、それでも原爆ドームは印象的だった。現在、3年毎の健全度調査の最中で周囲に足場が築かれているのだが、それにしても強烈な存在感を放っているのは、私の先入観の所為ばかりではないと思う。もともとあのドーム部分を取り囲むシンメトリックな箱形の建物であったのが、原爆によってドーム部分以外が吹き飛んでしまったらしい。なぜドーム部分だけが残ったのかという説明はWikipediaなどに書かれているが、実物を前にしてみれば、ドーム部分だけが残ったということよりも、そこ以外の部分が爆発後一瞬にして消失したという事実に今更ながら驚愕を禁じ得ない。今回、広島を訪れたのは原爆ドームを見るためと言ってもよいほどだ。だから、こうして広島に着いて真っ先に見に出かけたのである。これで気が済んだ、ということではなく、ここから自分のなかで何事かが始まることになるのかもしれない。個別具体的な考えあるわけではないのだが、漠然とそんな感じを覚えている。

広島も大変寒く、わずか2時間ばかり夜の街を歩いただけで指先の感覚が怪しくなってきたので、繁華街にあるカフェでケーキとコーヒーを頂いた後、午後8時過ぎに宿へ戻った。