栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

CASジャパン(長崎オランダ村跡)が自己破産。

2005-10-04 16:14:40 | 雑感
 CASジャパンと聞いてもあまりピンとこないが、旧長崎オランダ村跡地に開業したCASビレッジといえば少しは分かるだろうか。
 実のところ私も長崎オランダ村跡地を利用してどこかの企業が料理学校を開校するにあたり、生徒を募集している新聞広告を見たことがあるぐらいだ。

 CASジャパンは和風創作料理チェーン「庵」などを全国に展開する小林事務所(本社兵庫県川西市)の小林敬社長が設立した会社で、「地産地消」を掲げた和洋中のレストランやウェディングレストランなどをオープンさせ、来年には料理学校もオープンする計画だったようだ。

 しかし10月3日、突然自己破産した。オープンからたったの半年。負債総額は約22億円。本人はオープン前に「『地域』『地産地消』『フリーター問題』『観光都市長崎の使命』『(アジア圏に向かって)国際都市長崎の使命』『教育・道徳』『日本の外食産業の将来』『産学共同事業』等々・・・・・・・・・・・・・・
これらのキーワード(点の集まり)をCASをコアにして『線』にしていきます。100%実現可能な事業プランと信じています」などと書いていたが、計画ばかり大きくて、きちんとマーケティングをしたのかと疑いたくなる。
 それにしても22億円の負債を抱えて自己破産。小林氏は行方しれず。本業への影響はどうなるか。

 驚いたのは同社の自己破産ではなく、オープン前に同社の計画を結構持ち上げた人達がいたということの方だ。しかも、大西某というマーケティングを標榜する男などがやたらと持ち上げていたことだ。
 地方の現状、長崎オランダ村が位置する地理的現状、対岸のハウステンボスがなぜ破綻したのかをきっちり分析していれば、CASジャパンの計画があまりにも大雑把すぎ、とてもまともに考えたものではないことぐらいはすぐ分かるはず。
 長崎オランダ村を創り、ハウステンボスを創った神近氏に比べれば理念はなく、計画も人物もあまりに小粒すぎた。そんな人間に地域の再生などできはしないということを実証したということだろう。

 ついでにマーケティングに関連して少し触れておくと、首都圏で一時的に成功した人間が地方に進出する時に同じような失敗をするケースが多い。
 理由は激戦地で成功しているのだから、強敵もいない、コストも安い地方で事業をするのだから成功しないはずがないという思い込みから来る奢りである。

 同じ現象は中国に進出する企業の多くにも当てはまる。
現地のマーケティングを軽視し、相手国の文化や習慣を軽視して、自分流のやり方を押し付けようとするから失敗する。
 中国で成功している企業の多くは事前に多方面から情報を入手し、分析し、パートナーとなる相手をきちんと調べ、互いに平等でフィフティフィフティな関係を築くことを心がけている。
 一方的に相手をバカにしたり、ただ単に安い人件費やコストの安さだけを求めて進出した企業は皆失敗するということは国内外を問わず当てはまる。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (CAS関係者)
2008-03-27 21:51:24
文章では簡単ですが、実際は文章のように簡単ではないのです。
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残念! (客として)
2008-12-19 01:33:27
昼のバイキング、おいしくて安くて、佐世保出張のたびに寄ろう、と思ってたら終わっていたので非常に残念でした。
こんなにサービスして大丈夫かな?とは思ってましたが・・
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