栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

安藤忠雄氏の作品、熊本県立装飾古墳館

2015-07-28 15:22:01 | 視点


 新国立競技場のデザイン選定で予期せぬ注目を集めている建築家の安藤忠雄氏だが

彼の作品を九州で目にすることができるのは1箇所のみ。

熊本県山鹿市鹿央町の県立装飾古墳館だ。

建設されたのは1992年。

当時県知事だった細川護熙氏の肝煎りで始められた「くまもとアートポリス」プロジェクトの参加作品。



 同じ山鹿市内には前方後円墳で全国的にも有名なチブサン古墳もあり、

鹿央町も田園風景が広がるのどかな場所だ。

そこに突然現れたコンクリートの打ちっ放しの建物が県立装飾古墳館。

蓮の季節や藤の季節には周辺から花を楽しむ観光客が訪れ、

しばしの憩いをとり、食事もできる物産館があり、その脇の道を登っていけば

目の前に県立装飾古墳館が見えてくる。



 周囲の景色を楽しみながら歩いていけるように考えられたアプローチは

オープン当時、ボードで出来ていた。

オープン直後に訪れて感じたのはボードとボードの段差が少し広かったこと。

この階段を上がっていくのは年配者にはきついはず。

それから10数年後、再び訪れた時にはボードは写真のような階段に替えられていた。

そして段差も狭まり上りやすいものに。



 今回訪れたのは3度目。

物産館前の古代ハス園で蓮の写真を撮るのと、今一度安藤氏の作品を見てみるためだ。

当初感じた疑問点は年数が経ち、私の見方・感じ方に変化が生じているか

それとも変わってないかを自分自身でも確かめたかった。

安藤忠雄という男をきちんと評価するために。

結果はオープン当時に感じたものは何一つ変わっていなかった。







 「まぐまぐ」「建築家・安藤忠雄に二度ならず失望」と題して書いているので

そちらも併せて一読頂きたい。





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暗闇は背後から、いきなりやって来る。

2015-07-16 23:36:42 | 視点
 以下の文章は7月3日付で「まぐまぐ」内の「栗野的視点」から「暗闇は抜き足差し足でやって来る。」と題して配信したものである。

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今年の7月1日はいつもの年とはほんの少し違う。1日が1秒だけ長くなる「うるう秒」が実施されたのだ。なんだたったの1秒か。そう思うかもしれないが、ほとんどすべてが電子化されている現代では1秒の狂いは世界を揺るがすほどの大問題にさえなる。
 ところで、この1秒の狂いはどう調整するのだろうか。1日の長さは地球の自転をもとに決められているのは周知の事実だが、地球の自転は厳密に言えば一定ではない。様々な要因が加わり揺らいでいる。その揺らぎ時間差が1秒に達しそうな時に「うるう秒」を挿入して調整しているわけで、今年がその年に当たった。前回の修正は3年前。といっても「うるう年」のように4年に一度とか3年に一度と決まっているわけではない。
 「うるう秒」といっても日常生活で私達が1秒の狂いを意識することはまずないだろう。しかし、それが積み重なって1日、1週間もずれた時は誰でも気づくはず。だが、その時はすでに遅しで、1秒の修正ならまだ比較的楽でも、1日の誤差を修正するのはかなり厄介。ましてや1週間もずれた日にはもう修正すらできず、元に戻せないだろう。
 「茹でガエル現象」ではないが、急に温度が上がればカエルならずとも熱いとすぐ気づき退避行動をとれる。しかし、少しずつ緩やかに水温が上がっていくと熱湯になるまで気づきにくい。また、気づいた時はすでに時遅しで、大やけどをおい、悪くすれば死ぬこともある。
 そうならないためにはどうすればいいのか。小さな変化も見逃さず、早い段階で正していく以外にないだろう。

 さて今回、作家の百田尚樹氏を講師に招いた、自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」での発言が問題になっているが、これにはさすがに各マスコミも看過できないと見て、猛批判の論陣を張っている。
 安保法案を批判する報道に関し「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。われわれ政治家には言えない。ましてや安倍晋三首相は言えないが、文化人、民間人が経団連に働き掛けてほしい」
「青年会議所の理事長のときにマスコミをたたいてみた。日本全体でやらないといけないことだが、広告料収入、テレビの提供スポンサーにならないことが一番こたえるということが分かった。経団連も商工会も「子どもたちに悪影響を与えている番組ワースト10」とかを発表して、それに(広告を)出している企業を列挙すればいい」などと出席者から意見が出、それに答える形で百田氏も次のように述べている。
「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」
「騒音がうるさいのは分かるが、選んで住んだのは誰なのかと言いたくなる」
「沖縄に住む米兵が犯したよりも、沖縄県民自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」
 これでは沖縄県民が怒らない方が不思議だが、さらに後日談まである。
「私が本当につぶれてほしいと思っているのは、朝日新聞と毎日新聞と東京新聞です」とツイートしたのだ。
 「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくすのが一番」と言った自民党議員は党から厳重注意処分を受けた翌日にも同じ趣旨の発言を繰り返している。

 こうした発言を耳にして既視感を覚えた人は多いだろう。私もその一人だが、日本が大東亜戦争に突き進んでいった時、軍部はまずメディアに圧力をかけ、検閲し、規制を強化していった。
 一方のメディア側はといえば、発行禁止になるよりはという意識も働き、自主規制を行うようになり、やがて軍部の発表を鵜呑みにして発表するだけの広報に成り下がっていった。その結果、国民は事実を知らされず、それまでの情報が嘘だったと分かったのは戦争に負けた後だった。

 それと同じことがいま静かに進行している。今回の百田氏や一部自民党議員の発言のことだけを言っているのではない。彼らの発言はあまりにも低次元過ぎ、さすがの自民党内でも彼らの意見に賛同する人はそう多くないだろう。自民党内でも長老と呼ばれる、戦争経験者達が真っ先に反対するはずだ。ただし、彼らの多くはすでに政界から引退したか1線を退いているため、この党の行く末に若干の危惧は残るが。
 それでも正面から挑んで来る相手は分かりやすいが、厄介なのは背後から抜き足差し足で静かに忍び寄ってくる相手だ。そして、卑怯なのは満面に笑みを浮かべながら近づいてきて、いきなり不意打ちを食らわす相手だろう。

 いま、この国が直面しているのは正面からではなく、背後から抜き足差し足で忍び寄り、いきなり背中を蹴られようとしているのに、その危機感がメディアを始め、この国の民にないことだ。あまりにもノー天気というか、ヨーロッパでは考えられないことだろう。一度それで苦い思いをしているというのに、メディアは自粛、自己規制という同じ過ちを犯しつつある。
 安倍政権になってから、特に昨年12月の衆議院選前からメディアに対する「圧力」が露骨になりだした。まず、選挙報道で「公平中立」を求める文書を主だったメディアに出したのだ。
 政権与党がメディアにこうした文書を出すということ自体が異常である。受け取ったメディア側が、これを「圧力(恫喝とまでは言わないが)」と感じるのは当然で、選挙前の与党批判を控えるという自主規制が行われる。最も敏感に反応したのはNHKで、政権与党の自民党に対する批判めいた報道はほとんどしなくなった。
 目の敵にされたのが朝日新聞系列。たしかに慰安婦問題に関する誤報(慰安婦問題に関する吉田清治氏の虚偽証言を見抜けず報道し、その後、同氏証言が虚偽だと判明)、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(事故調)が福島第一原子力発電所・吉田昌郎所長を聴取した記録(「吉田調書」)の誤報(「第一原発にいた所員の9割が所長命令に違反して撤退した」と報じたが、「命令違反」というべきものではなかったし、「撤退」も現場からの完全撤退ではなく、近くの場所への「移動」だったが、見出し等でかなりセンセーショナルに扱った)、さらにはテレビ朝日でコメンテーターの古賀氏による政府の「圧力」発言などが相次ぎ、ここぞとばかりに政権側から叩かれた。
 ここまで圧力をかけられれば自主規制がより働くのは明らかで、テレビ朝日はキャスターのみならずコメンテーターの発言までが妙に軟らかくなってしまった。

 これで地ならしが終わった。第2弾は安全保障関連法案だ。ところが、衆院憲法審査会で意見を述べた参考人が、自民党推薦の参考人も含め「憲法違反」と主張すると、「『憲法違反』と言う人を呼んでくるのが間違い」(二階俊博総務会長)「憲法の番人は最高裁であり、憲法学者ではない」(高村正彦副総裁)「会の運営として(人選を)よく考えるべきではないか」と一斉に反発。
 開いた口が塞がらないというか、馬脚を現したというか、国会で参考人として意見を述べるのは政権にとって都合がいい人間でなければならず、反対意見などは聞かないと言っているわけだ。
 ここまで政権与党が露骨になった例はないと思うが、こうした風潮は国会だけに留まらず地方自治体の首長も同じ。というか、もっと独裁的な色彩を濃くしている。自らに批判的なメディアの取材を拒否する態度に出ているのは橋下大阪市長や兵庫県西宮市の今村岳司市長だけではない。
 自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」での百田氏や「マスコミを懲らしめるには」発言の大西氏などの例は、こうした延長線上にある。
 日暮れはゆっくりやって来るが、暮れだすと速い。気がついた時には辺りは闇一色に覆われていた。そうならないように。また、そうしてはならない。






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反省なき犯罪者、金儲け主義の出版社

2015-07-09 18:51:21 | 視点
 単純な二元論、二分法は取りたくないが、この頃、人間には2種類しか存在しない
のではないだろうかと思い出している。そして、その感は年々強くなっていく。
 元々宇宙は2つの相反する物質から成り立っている。
例えば粒子と反粒子、陽子と反陽子、中性子と反中性子、物質と反物質のように。
しかも、この相反する物質は同じ性質を持っているから、ややこしい。
早い話が外観(?)では区別できないのだ。
あたかも善の心を持っている人と悪の心を持っている人が外観からは分からないように。

増殖する悪のエネルギー

 では、物質と反物質が接触すればどうなるのか。
融合して新たな物質、例えば新しい性質を持った物質になるのか。
そうではない。ものすごいエネルギーを発して爆発する。

 人の場合はどうなるのか。同じように激しいエネルギーが迸(ほとばし)り出るのだろうか。
 このところ相次いでいる無差別殺人、殺人のための殺人という行為を見ていると、
そうとしか思えなくなる。
少なくともいま地球上には善のエネルギーより悪のエネルギーの方がはるかに満ちているようだ。
 怖いのは悪貨が良貨を駆逐する現象。
悪は伝播しやすい。
そして感染力も強いようだ。
対して悪の伝播を防ぐ愛・善のエネルギーは弱い。
しかし、一つひとつは弱くても、力を合わせ身近なところから愛を増やしていかなければならない。
一人ひとりがそのための行動を起こせるかどうかにこの星の未来がかかっている。

       (中 略)

殺人のための殺人事件

 衝撃を受けたのが名古屋大の女子学生が犯した犯罪。動機は純粋な殺人

       (中 略)

反省なき犯罪者、金儲け主義の出版社

  なにより私が問題だと感じたのは、「手記」の出版を自らが出版社に売り込んだという点

       (以下 略)


  本稿は「性善説か性悪説か」と題して「まぐまぐ」から6月24日に配信したものである。

  全文は「まぐまぐ」から、あるいはHP「リエゾン九州」内の「栗野的視点」から一読を。







PCでもスマホ、タブレットでも1つのライセンスで使えるセキュリティソフト

2015-07-06 08:53:11 | 視点
 それまで長年使っていたセキュリティソフトの使用期限が切れたのを機に他のソフトに替えた。
1ライセンスでPC3台まで使えていたが、NTTフレッツ光の契約を光ネクストに替えたため、1台分は最初からセキュリティソフトが使える設定になっている。
ただ所有PCはモバイルを含め他に3台。
そこで今春、それまで使っていたセキュリティソフトの期限が切れたので、他の3台にはフリーのセキュリティソフトを入れることにした。

 スマホとタブレットは外でネット接続を頻繁にするわけでもないので、最初からフリーのセキュリティソフト「AVGアンチウイルス」ソフトを入れて使っていた。
このソフトはなかなかよかったのだが、スマホとタブレットに同じソフトを入れるより、それぞれ別のソフトにした方がいいだろうと思い直し、動作も軽く、性能もいいと評判の「アバスト」のフリーソフトをSIMフリーの低価格スマホの方に入れ直した。
それと同時にPC2台もセキュリティソフトを「アバスト」に替えた。

 「アバスト」のよさというか煩わしさは1台のPCにインスツールすると、同じネットワークで接続している他のPCやスマホ、タブレットにも「アバスト」が自動的に入る(正確に言えば、わざわざソフトをダウンロードしなくても、すでに使える設定に近くなっている)ことだ。
 これを便利と考えるか、余計なお世話と感じるかは使う人によるが、私の場合はフリーのセキュリティソフトは各端末ごとに変えたいと考えていたので、「余計なお世話」だった。

 「AVG」も無料とは思えないほど良いソフトだったが、スマホが非力なためできるだけ動きが軽いソフトの方がいいというのと、1ライセンスでPCもスマホもタブレットも使えるソフトはないのかと色々探している時に見つけたのが「ESETセキュリティソフト」。
 動作が軽く、なおかつ1本(1ライセンス)でWindowsでもMacでもAndroidでも5台までなら使えること。
これこそ求めていたソフトだった。

 もともとスロバキアで開発されたソフトだが、日本ではキャノンITソリューションズが権利を持っているので、信頼性も高い。
 ウイルス検出率は世界ナンバー1との呼び声もある。
ほとんどのセキュリティソフトは既知のウイルスへの対応だが、このソフトがスゴイのは未知のウイルスへの対応も他ソフトに比べてすぐれている点。
ウイルスは日に日に新しいタイプが出てくるだけに、この点は「ESET」の特長だろう。
そして軽いのが一番。

 軽い、強い、OSが別でも5台まで1本で使えても価格が高ければ躊躇するが、調べてみるといまなら割引中。
私の場合はVectorからダウンロード購入したが、7月6日までなら7,344円が5,670円(ダウンロード)への割り引きだった。
 これは「ESETファミリーセキュリティ」の3年間で、1年の6,264円より、どう考えてもお得だったので迷うことなく3年契約にした。
 この他にも利用台数1台もあり、そちらは3年間で3,888円。
30日間無料体験版もあるから、まず無料体験版で試してみるのもいいだろう。