栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

現行の1000円高速は維持すべきだ。

2011-05-26 12:55:33 | 視点
 菅政権になって次から次に選挙公約が反故にされている。
一言一句変えるなというつもりはないが、なんでもかんでも「財源不足」のせいにして増税するのはよくない。
民主党政権が当初唱えた「高速無料化」に対しては多くの人が否定的だった。
否定的というのは無料にまでしなくてもいい、現行の土日祝日1000円高速のままでいいという意見だ。

 その後、民主党の道路政策は右往左往した。
「高速無料化」の看板は下ろさず、1000円高速の法律期限切れ後は2000円高速を打ち出したが、それでは逆に値上げになる区間があると党内から批判されると、2000円高速を引っ込め、代わりに一部区間に限っての無料化社会実験を行うとした。
この時点で1000円高速期限切れ後どうするかという高速料金の青写真が民主党から消えた。
そして今度は1000円高速も廃止し、旧に戻すという。
これは実質値上げである。
たしかに時限立法だから、期限が来れば元に戻すのは当然、というか、そういうこともあり得る。
あり得るといったのは一度値下げしたものを値上げするのはなかなか難しいし、多くのものは値上げ後売り上げがダウンし再値下げせざるを得なくなっている。
高速利用でいえば、利用者の減少になるということだ。

 まず無料化区間に関して言えば交通量が増えたところもあるし、変わらないところもあったようだ。
これはもともとそれほど影響がない区間、もっとはっきり言えば本当に高速道路が必要だったのかどうかよく分からないようなところに高速道を造り(造ったのは自民党政権だが)、もともと通行量がそれほど多くない、地方の区間を無料にしただけだから結果は最初からある程度予測できた。
 要は無料化社会実験は「実験」にもならないということである。
つまり実験結果のデータがデータ足りえないということだ。
だから、無料化社会実験区間でこれ以上実験する必要はないし、旧に戻してもプラスマイナスどちらの影響もほとんどないだろう。

 問題は1000円高速だ。
そもそも導入の理由は経済活性化、つまり景気のテコ入れのためだった。
その実証結果がきちんと分析されたのかどうか。
高速料金の上限を1000円にしたが、経済効果はほとんどなかったというなら、旧に戻しても仕方ない。
だが、経済効果があったのなら継続した方がいいということになる。
こうした点をうやむやにしたままで上限1000円廃止というのは筋が通らないのではないか。

 特に経済が落ち込んでいるいま、経済効果があるものを廃止すればさらに経済が落ち込むのは眼に見えている。
震災後、財源優先論ばかり先行しているが、経済を活性化することを考えない財源論はマイナス思考、縮み思考で、景気はますます悪化するだろう。

 数日前、サービスエリアの情報センターで職員と次のような会話を交わした。
「1000円高速の廃止日はいつからか決まりましたかね」
「いや、まだですよ。とりあえず6月初めまでは現行のままでしょう。廃止になるにしてもシステムの変更に時間がかかりますから」
「廃止するならするで、いつから廃止するということは事前に発表してもらわないと困るね」
「そうなんです。私らも困っているんです。お客さんから問い合わせがあっても答えられないし。一番困るのはどうなっているのかが全く分からないことで、その間の情報がないことなんです。本当に菅さんはイカンです」

 これが多くの国民が抱いている感情だろう。
とにかく議論の中身が全く見えない。
1000円高速を廃止するのかしないのか。
廃止して旧に戻すのか戻さないのか。
廃止する理由はなにか。
そういうことを1000円高速導入後のデータを元にきちんと議論し、国民が納得いく形で行って欲しい。
すくなくとも、先に財源ありきで決めるのだけはやめて欲しい。

 いまの民主党政権は自民党政権時代より、非民主的な決め方、やり方が増えている。
これではなんのための政権交代かと多くの国民が思うのは当然だろう。





増えている、客の質問を無視する従業員

2011-05-20 11:05:14 | 視点
 過去何回か「販売力」や「営業力」のダウンについて書いてきたが、どうやら原因は「理解力」のダウンにありそうだ、ということに最近気付いた。

 実は国語力のダウンが他の学科、例えば理科とか数学などの成績ダウンにも関係しているということには以前から気付いていたが、影響はそれだけにとどまらず、社会人になるとコミュニケーション力の不足という形で表れているようだ。

 一時期「KY」という言葉が流行った(いまもそうかもしれないが)。
「KY」とは「その場の空気が読めない」ということらしいが、英語でもドイツ語でもなく、日本語の「空気」と「読む」の頭文字を取って合わせたところが、なんとも脳がないというか表現力、発想力、創造力の弱さを感じるが、この「KY」とコミュニケーション力のダウンはほとんど一致している。

 言葉という手段を使って意思を伝え合うことができないから、代わりに空気を読んでほしい(察知して欲しい)というわけで、これは1種の幼児化現象である。
その結果、自己主張だけで相手の意見や話を聞こうとしない人達が増えている。

 社内にこういう人間が増えてくると上司は苦労する。社内で意思の疎通が図れないぐらいはまだいいとして(本当は問題だが)、顧客とトラブルになることもある。

 さて、以下に実例を2つ




              (以下略)



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大臣病に陥っている辻元清美氏

2011-05-11 16:42:23 | 視点
 以前にも書いたが辻本清美氏には本当にがっかりさせられる。
この人の行動を見ていると「大臣病」にかかっているとしか思えない。
 では、いつ「大臣病」にかかったのか。
民主党政権発足後の3党連立で社民党から国交省副大臣として入閣した時からである。
就任前には「ヤダ、ヤダ、ヤダ」と駄々をこねた癖に、いざ副大臣になってみるとよほど権力の味が良かったのか、今度は社民党の連立離脱で副大臣を辞任した時は「本当は辞めたくなかった」と涙ながらに語っている。

 まあ、過ぎたことはいい。
問題は東日本大震災後に菅首相の要請で災害ボランティア活動担当の首相補佐官に就任してからだ。
 通常、補佐官は官邸の大部屋に席が置かれるが、辻本氏は何を思ったのか「部屋と秘書官がいないと仕事ができひん」と駄々をこね、官邸内に震災ボランティア連携室を設置させている。
 それもこれも被災地のことを思えばこそで、以降、被災地のためにボランティア組織を割り振りしたりと寝る間も惜しんで活動していたに違いない、と勝手に想像していたことにする。(これは皮肉なのはお分かりだろう)

 それにしては被災地でも、官邸でも辻本氏の姿を見たり噂を全く聞かないので不思議に思っていた。
それもそのはずで、大震災後、辻本氏が岩手、宮城、福島の被災地3県を訪れたのはわずかに計6日間と知り、冗談かと思った。
災害ボランティア活動担当なら現地でボランティア活動の指揮をとって欲しいものだ。
しかも、現地調査にかかわる出張旅費など6日間の経費が約114万1000円。
震災ボランティア連絡室が発足以後、支出した経費は上記を含め計240万5000円。
単純計算して出張1日の経費は19万円。
なぜ、こんなに経費がかかるのか。
それでも、それに見合う活動をしているなら、まだいいが・・・。
 ところで、菅首相夫人の伸子さんはどうしているのだろう。
マスメディアでは報道されないが、菅首相の代わりに被災地を何度も訪れて被災者を励ましているに違いないと思うのだが・・・。


キャッシュ・フォー・ワークで被災地支援を(2)~被災地で被災者を雇用し、自立を支援

2011-05-09 22:51:17 | 視点
被災地で被災者を雇用し、自立を支援

 キャッシュ・フォー・ワーク(Cash for Work)とは災害後の復興事業に被災者を雇用し賃金を支払うことで、被災者の自立を助ける支援方法。

過去には、津波被害を受けたインドネシアやハイチの大地震などでNGOや国連機関により実施され、効果を上げた実績もある。

 この方法を東日本大震災の被災地でも実施しようという動きが起きている。

すでに一部のNPOやボランティア団体などでは似たような形で被災者の雇用を始めているところもあるようだが、個々バラバラに行うのではなく共通した認識を持ち、核となる考えやプランを提示し、国を動かしていく必要もあるとの考えから、関西大学社会安全学部准教授・永松伸吾氏がキャッシュ・フォー・ワーク・ジャパン(CFW-Japan)というネットワークを立ち上げ、活動している。

 前章でも見たように、被災地から遠く離れた場所に住居だけ提供しても現実的にはなかなか移り住めない。

最善の策は仕事と住居をセットで提供することである。

しかし、この方法も被災地から離れた場所への転居となると諸手を挙げて歓迎という形にはならない。

実際、応募者数も思ったよりは少ない


              (以下略)



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キャッシュ・フォー・ワークで被災地支援を

2011-05-06 17:50:42 | 視点
職住セットの支援に取り組む企業

 震災以後、この国の将来を悲観する声をよく耳にする。しかし、逆説的に聞こえるかもしれないが、私はむしろある部分で「希望の光」を感じている。パラダイムシフト(社会全体の価値観の変化)とまでいえるかどうかは別にして、今年になってから社会の潮目が少し変わりつつあるような気がするからだ。

 それまで社会にはびこっていた自己中心主義的な行動、新自由主義的な考えから社会的弱者に手を差し伸べる動きが散見されだした。象徴的なのは年初に湧き起こった「タイガーマスク運動」である。それが3.11東日本大震災以後さらに広がりを見せ、各地でボランティア活動を含めた様々な被災地支援の動きが広がっている。

 希望は、それまで社会や他者との関わりが希薄だと見られがちだった若者達が積極的に募金活動やボランティ活動に従事しだし、社会や他者に関わりだしたことだ。
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 それでも仕事があればまだなんとかなる。要は仕事を提供できるかどうかが、長期的な支援を行えるかどうかに大きく関係してくる。たが、このところ職住をセットで提供しようという動きが各地で現れているのは心強い。

 例えば(株)吉備NC能力開発センター(岡山県加賀郡吉備中央町竹部1973、tel 0866-56-8282)は3月下旬という比較的早い段階で被災者の受け入れを表明
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被災地で被災者を雇用し、自立支援


              (以下略)



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納得できない、高速料金1000円廃止

2011-05-03 22:51:22 | 視点
 土・日、祝日の高速料金1000円が十分な論議もなく廃止される。
どうも菅政権になってから、重要案件が突然提案されたり、十分な論議を尽くされずに決定される例が増えている。
1000円高速の廃止もそうだ。
東日本大震災による復興財源不足を解消するためというのが理由になっている。

 復興に「コンクリート」は必要だ。
しかし、これから本当に必要になるのは「人」である。

 いままではボランティアの受け入れに消極的だった地域も、これからは本格的にボランティアの協力が必要になる。
幹線道路が開通して外部から人の移動が少し楽になればボランティアも行きやすくなるし、被災地も本格的な片付けが始まる。
その時必要になるのがボランティアの協力だ。
しかも、それは1か月や2か月で終わる話ではない。
少なくとも半年、1年と続く。

 いまのところ集団でのボランティアしか受け入れていない地域も、今後は個人参加のボランティアも受け入れていくようになる。
いつまでも県内ボランティアだけに頼るわけにはいかないし、県内ボランティアもすでに疲れが限界に達しつつある。
そうすると県外、あるいは遠方からの団体や個人参加ボランティアに期待がかかる。

 ここで考えなければならないのが、ボランティアは無報酬はもちろんだが、諸経費も自腹参加である。
早い話が東北まで車で行くガソリン代や高速料金、宿泊費用も自腹である。
ボランティアに参加する多くの人は土日祝日が圧倒的に多い。
平日は仕事をし、土日祝日の休みの日にボランティア協力しようと考えているからだ。
高速料金1000円なら行けるが、1万円でなおかつガソリン代を払ってまで参加できるかというと、なかなか難しいだろう。

 東北地方だけ高速料金を安くすることも考えているようだが、それでは広域からのボランティア参加は望めない。
1000円が難しければ2000円にアップしてもいいが、少なくともボランティアなど善意の人が参加しやすいシステムは導入すべきだ。

 先に財源ありきというのはおかしい。
その一方で「イベント自粛は景気に悪影響」と言うなど、言っていることすることが矛盾している。
どうも消費税アップの思惑もチラチラするし、菅政権は税収アップしか考えていないように見える。