栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

暴力に屈したプリンス。いまごろの会見はおかしい。

2008-02-28 08:28:20 | 視点
日教組拒否は「安全安心のため」…プリンス、謝罪一切なし(読売新聞) - goo ニュース
 26日、グランドプリンスホテル新高輪が東京高裁の決定を無視して、日本教職員組合(日教組)に教育研究全国集会(教研集会)の会場などを使用させなかった問題で親会社の西武ホールディングスの後藤高志社長が初めて記者会見した。
 「集会を開催すれば約7000人の受験生に迷惑がかかる」などと自己弁護に終始した内容だ。
 そもそもおかしいのは日教組が予約した段階で引き受けながら、その後キャンセルしていることだ。暴力団等に貸すのとは訳が違う。街宣車が集まり騒ぐからとの理由なのだろうが、真の理由は右翼団体からの圧力に屈したからではないかと勘ぐってしまう。
それでなくても旧西武鉄道系は過去にもいろいろいわくがあった企業だ。

 次に日教組の全国集会があったのは2月2日だ。
それを3週間以上も後のいまになって記者会見するのはなぜか。
世論の批判が予想以上に厳しかったからだろうが、この辺りの認識のズレに同社の普通でない部分を感じてしまう。


私のHPもここに置いています。


社員を後継者にした中小企業の創業者(1)

2008-02-21 12:36:27 | 視点
埋め立て処理を一切しない産廃企業・公協産業

 組織の大小にかかわらず後継者選びは難しい。
バトンタッチに失敗した組織が急速に崩壊への道を歩んでいるのは歴史に明らかである。
そうならないことを誰もが望みながら、願わくば直系の息子に跡を継がせたいと思っている。
能力ではなく血縁を重んじるのである。
とりわけ創業者は後継者を他人ではなく、身内にしたがる。仮に創業者本人がそこまで望まなくても、周囲が意を汲んで直系を後継者に据えることがある。三国志の世界で有名な蜀の丞相、諸葛亮孔明がそうだ。劉備玄徳は死の床に孔明を呼び次のように後事を託した。
「もし嗣子輔くべくんば、これを輔けよ。もしそれ不才なれば、君自ら取るべし」
 我が息子劉禅が助けるに値する男だと思うなら、助けて盛り立てて欲しい。才能がないと思うなら、孔明自身が禅に代わって王位に就くがいい。そう言われた孔明は「生ある限り禅さまに忠誠を尽くします」と、自らが後継者になる道を選ばず、凡庸だと言われていた直系の劉禅を後継者に据えたのである。その後、蜀の国が辿った道は歴史に知られている通りである。
孔明のように優れた男でも情に流され判断を失うのである。

 逆に、頑なに身内を自分の会社に入れなかった男もいる。ホンダの創業者、本多宗一郎氏がそうだ。彼は息子はおろか、血縁関係者を一切会社に入れなかった。本多宗一郎氏がそうだから、2人3脚でホンダを築いてきた藤沢武夫氏もそうした。
以来、ホンダの社員は身内を会社に入れないのが不文律になっているようだ。
 能力本意で継がせるべきだと頭で分かってはいても、情実人事に流れるのが人間である。普通の人間は本多宗一郎氏のようにはなれない。いわんや中小企業の場合は、むしろ積極的に跡を血縁者に継がせたがるのが普通である。
 ところが最近、まったく血縁関係がない(娘婿というような関係も含めて)社員を後継者に据えた中小企業2社に出合った。
1社は岡山の公協産業(株)であり、もう1社は福岡の中野建築システム(株)である。
ただ譲り方が両社で違っていたのが面白い。

        (以下略)

  続きはリエゾン九州のHP内の「栗野的視点」でお読み下さい。


シマンテックストア

歴史上の人物名の商標登録を認めるのはおかしい。

2008-02-18 23:31:58 | 視点
維新の志士3人を商標登録 萩市が特許庁に異議申し立て(朝日新聞) - goo ニュース

 もともと宮城県の食品製造会社が食品や酒類の商標として吉田松陰、高杉晋作、桂小五郎を05年6月に登録申請したらしい。ところが同社が破産したので、その権利を受け継いだ流通コンサルティング会社・東広(東京)が07年11月に商標登録したようだ。
 吉田松陰、高杉晋作、桂小五郎の名前が商標として認められれば、山口県は土産物などにこれら3人の名前を使えなくなる。山口が生んだ維新の志士の名前を山口が使えず、使う場合にはお金を払わなければいけないという妙なことになる。
そのため山口県萩市は登録取り消しを求め、特許庁に異議を申し立てたようだが、萩市だけでなく山口県あげて異議を申し立ててもらいたいものだ。

 もし、こういう例が認められれば西郷隆盛も勝海舟も皆商標登録されてしまう。
歴史上よく知られた人物名の商標登録を認めるのはおかしい。
なんでもかんでも申請されれば認めるというのはおかしな話しだ。
 江戸時代に数々のからくり人形、からくり細工を作ったことで有名な「からくり儀右衛門」の名前も商標登録されているが、こういう登録は認めるべきではないと思う。
 恐らく今後も類似のことは起きるに違いないから、今回のことをきっかけに特許庁にはきちんとしたルールを作って欲しいものだ。


トイザらス・ベビーザらス オンラインストア

ヒット商品になった有田焼万年筆

2008-02-18 11:11:13 | 視点
 ベンチャー企業や中小企業は1つの技術や1つの商品に依存しているところが多い。本来なら次々に新しい商品を世に送り出すべきなのだが、なかなかそれができない。
もともとのリソース(資源)が少ないということもあるが、一つの技術・商品開発をすると、そこに安住してしまうからではないだろうか。
 その点、佐賀ダンボール商会の石川氏は違っていた。有田焼万華鏡がヒットすると、すぐ次の商品開発に取りかかっていた。

 「有田焼万年筆」--それが次の商品名だった。
万華鏡の時と同じなのは「有田焼」を使うことと、「異業種とのコラボレーション」で作ったことだ。
 今回のコラボレーションの相手は丸善とセーラー万年筆。
この2社とコラボレーションした理由を石川氏は次のように語る。

  全文は「リエゾン九州」のHP内に「有田焼で万華鏡を作り、世界に売った男」と題して収録しています。


ANAショッピング ANAのマイルがたまるastyle

有田焼万年筆の後書きに替えて

2008-02-15 01:41:19 | 視点
 「有田焼万華鏡を作り、世界に売った男」を3回連載で書いたが、実は2回で終えようと思っていた。
ところが、リエゾン九州の例会で「実は3回目があり、次回は有田焼万年筆だ」と言ってしまったのだ。
そう言いはしたが、3回目を書いていて、やっぱり2回でやめようと思った。2回目でやめてもおかしくない書き方をしていたし、なによりどこかから原稿料をもらっているわけでもないから、そこまで一生懸命に書かなくてもいいではないかと思ったのだ。

 にもかかわらず、書くのをやめた3回目を書いたのは読者から「有田焼万華鏡の続編を待っています」というメールが届いたからである。
こういうメールを受け取ると損得勘定抜きで期待に応えたいと思ってしまう。
おまけに書き出すと長いものであれ短いものであれ、また原稿料の多寡に関係なく、力を抜けないから困る。

 逆に、書いても題材に取り上げたところからお礼の電話やメールの一本も入らない相手とは、その後お付き合いしようとは思わない。
バカな性分である。金に縁がないはずだ。
でも、人の縁とはそういうものではないかと思っている。


セーラー万年筆 キングプロフィット蒔絵(昇り龍) 万年筆 21金バイカラー仕上げ ブラック M/B S...

中小企業はみな販路開拓に苦しんでいる。

2008-02-12 13:10:19 | 視点
 岡山県産業振興財団の「技能連携SCMシステム開発グループ」のアドバイザー就任を機に最近、毎月岡山に行っています。
私に期待されているのは販路面のアドバイザーですが、それとは別に技術系企業を取材・訪問し、夜会食をするなど製造業の現状を知り、彼らが抱えている問題に助言をしたりしています。

 その過程で浮き彫りになったのがやはり「販路開拓」に苦しんでいるということです。
財団のバックアップもあり技術・技能連携や産学連携は非常に進んでいるのですが、やはり「どこに売るのか」「誰に売るのか」ということはとてもおざなりになっています。
いま私が関係している技能連携グループのシステム開発にしても、コンセプトを明確にせず、非常にバラ色のことを考えています。
多機能、多方面商品というものはコンセプト・ターゲットが絞られていないので便利なようですが、その実使えない(売れない)ことが多いのです。
十徳ナイフと同じです。
いろんなものがついているから一見なんにでも使えてとても便利そうに思えますが、そこについている機能はどれも中途半端なものですから、本格的に使おうとすると結局使えないというのに似ています。

 中小企業の商品開発(商品だけでなく)にはこうしたものが多いです。
では、どうすればいいのか。
できるだけ早い段階で外部の人を交えて、ああだ、こうだと議論し、知恵を出し合うことです。

 なぜ、外部の人間でないといけないのか。
それは社内だけでやっていると、社長の一存で常に決まるからです。
社長がこうだといえば誰も逆らいません。
どっちみち言っても同じだから、と社員は諦めて意見を出そうとしないのです。
意見を出しても社長の顔色をうかがいながら、社長の気に入る意見しか出しません。

 こういうパターンをなんとか変えて、ユーザーの意向を取り入れた商品開発ができないか。
販路を考えた商品開発ができないだろうか。
そう考えたのがリエゾン九州の設立になりました。

 徹底的に議論したい。
そう考えているから、リエゾン九州では自社商品の発表時間より、それに続く議論の時間の方を長くとっています。

 皆でワイワイガヤガヤと知恵を出し合いませんか。
岡目八目という言葉があります。
自社のことは見えなくても、他社のことはよく見えるものです。
ここで議論することが自社のためにもなると思います。

 興味、関心がおありの方はリエゾン九州にご参加ください。


えっ!これがパソコン?超小型デスクトップパソコン

ちょっとうれしいサービス

2008-02-07 00:59:56 | 視点
 ハードは後から作るものに分があるが、顧客の心を掴めるかどうかはハードよりソフトである。
ハードは金がかかるがソフト(サービス)には金がかからないのだから、これほどいいものはない。
にもかかわらず、サービスをおざなりにしているところが結構多い。
そんな中で今回は岡山でちょっとうれしいサービスを経験した。

 一つは居酒屋だったが、ホテルに帰ってからそのことに気付いた。
朝出かける時、靴が汚れていたのに気付いていたから部屋に入るとすぐ靴磨きにかかった。
ところが、汚れていたはずの靴がきれいに磨かれていたのだ。
靴を脱いだのは居酒屋しかないから、どうやらその店がお客様サービスに磨いてくれたに違いない。
なかなか気が利く居酒屋である。

 もう一つはホテルのサービスである。
前回にも書いたが宿泊するホテルは毎回替えて、「安くて、いいホテル」を探している。
今回は昨年11月に完成した東横インにした。
じゃらんnetで調べるとベッドがセミダブルとなっていたし、オープンからまだ2か月なので新しいということ、おにぎりと味噌汁の朝食とはいえ、朝食付きで宿泊料が6,090円とリーズナブルだった。

 結果は全般的に満足行くものだったが、なかでもうれしかったのは部屋に加湿器が置いてあった(写真)ことだ。
ホテルの客室が乾燥しているのは国内外を問わずどこも同じだ。
そのため朝起きると髪はパサパサ、喉はガラガラになる。
こうした状況を防ぐため、入浴後、浴室のドアを開けっ放しにして寝るという人もいる。
浴槽の蒸気で乾燥を防ごうというわけだ。

 それだけに東横インの加湿器設置は非常にありがたかった。
ちょっとしたことのようだが、こうした発想は男性従業員ではできないに違いない。
支配人以下女性で構成している東横インならこそ気付いたサービスだろう。





なぜ行政の当初予測は狂うのか。

2008-02-03 18:27:15 | 視点
福岡市営地下鉄七隈線 3日開業3年、苦戦続く 沿線人口伸び遅く バスとの接続も不十分(西日本新聞) - goo ニュース
 福岡市の市営地下鉄七隈線が開業3年を迎えたにもかかわらず当初予測の半分程度にとどまっているという。
 市営地下鉄の例に限らず、およそ全国の自治体で行政が計画したハード整備が、予測以上とまではいわなくてもせめて予測通りに行ったという例はないのではないだろうか。

 なぜ、地方自治体が手がける計画は事業は当初予測通りに行かないのか。
その理由はいくつかある。
1.まず、計画の立て方が非常に甘い。
 甘くなる理由は明らかだ。
彼らは公務員であり、誰一人自分の金で事業をやるわけではなく他人の金(実は税金なのだが)で事業をやるわけだから、端から甘くなる。
もし民間と同じように会社組織でやるなら--但しその場合でも事業をやる人達は株主としてなにがしかの資金を提供することが条件だが--事業計画は非常にシビアになるはずである。
 それを失敗しても自分の懐が一切痛まないから計画が甘くなるのだ。
もっといえば、自分のポストを含め、何らかの甘い汁がそこで吸えるから(吸っているから)にほかならない。

2.ほとんどの計画がバブル期に立てられたものだから。
 今回の福岡市の市営地下鉄の例でもそうだが、実態が当初計画と大きく外れているものはバブル期に計画され、その後抜本的な見直し・修正がなされずに実施されているものが大半のはずだ。
 地下鉄七隈線などはその最たるものだろう。「乗客数が伸びない背景には、沿線開発による人口増が予想を下回り」などというのは、それこそ当初から分かっていたことで、言い訳にしてももう少しましな言い訳を言ってもらいたいものだ。
 この言葉が市関係者から出たものではなく、もし新聞社が書いたものだとすれば西日本新聞社ももう少しきちんとした分析記事を書くべきだろう。

3.事前の調査報告書がいい加減。
 どのような計画も一応民間の調査会社・研究所に事前予測調査報告書を依頼する。
そしてそこから出てきた調査内容を元に計画を進めるという体裁を形状はとっている。
 しかし、実際には調査を依頼された会社が依頼主の意に沿わない方向の報告書を出すことは少ない。せいぜい多少の疑問を呈する程度で基本線は皆認めた上で報告書を作成するのである。
なぜなら彼らの多くは行政でメシを食っているからであり、今後のメシの種をなくすような無謀なことは絶対にしない。
 かくして行政が関知する事業計画はバラ色に染まり、後で苦しむのは市民ということになる。

4.一度進み出した事業は絶対中止しない。
 行政というのはどんなに採算が取れないと分かっても、やり出すと途中では絶対中止しない。
その代わりに続ける言い訳を出してくる。
例えば今度の場合でも「博多駅に接続されていないから利用者数が伸びない」という。
となれば、次に博多駅までの延伸工事をしようということになり、また余分な金を使う。
延伸した場合に本当に見込み通りに利用者数が伸びるのかどうかということについてはきちんと調査もしないし、誰もそのことに真っ正面から言及しようとはしない。

 まさにムダな事業の連鎖が延々と続くわけだ。


失敗しないレンタルサーバーはズバリ→

有田焼で万華鏡を作り、世界に売った男(1)

2008-02-02 11:36:15 | 視点
 いままで取材その他を通じて多くの魅力的な人達(技術)に出会ってきたが、昨年、佐賀県有田で出会った(有)佐賀段ボール商会の副社長・石川慶蔵氏もその1人である。
 石川氏との出会いは有田ニューセラミック研究会で共に講師として呼ばれた時だったが、有田焼で万華鏡を作り、世界で売っているというから面白い。
「万華鏡」という言葉にはどこか懐かしい昔の夢のような響きを感じるが、世界中に結構ファンが多いらしい。
そういう人を対象に高級な万華鏡を作り販売し、06年だけで3,500本、1億3000万円を売り上げているのだからスゴイ。
 万華鏡といえば子供の頃おもちゃで買ってもらった記憶があるが、それでも随分ワクワクしたものだ。しかし、石川氏が作った万華鏡は私なんかの記憶をはるかに超えたもので、安いものでも1万数千円、高いものになると1本60万円前後もする本格的なものだ。

有田焼万華鏡が売れる理由

   続きは「リエゾン九州」のHP内の「九州の頑張る企業」に収録して
   いるので、そちらでご一読を。


有田焼万華鏡 ペンダント「ふくろう」テレイドタイプ
記事中の佐賀ダンボール商会の石川氏が企画し、
万華鏡作家の第一人者、山見浩司氏が監修、
有田を代表する香蘭社など一流の人達数人のコラボレーションでできあがった有田焼万華鏡の一つ。