12月4日、「FREETEL」ブランドでスマートフォンの開発・販売を手がけるプラスワン・マーケティングが
民事再生法の適用を申請した。負債総額は債権者約185人に対して約26億円。
同社は11月1日付けでSIMフリーサービス事業を楽天モバイルに譲渡したばかりで、そのわずか1か月後の
民事再生法適用申請だ。あまりにも早すぎる。年内はないと考えていたが、私の見通しはちょっと甘すぎたか。
SIMフリー市場と同社が抱えていた問題に関しては11月17日付けで配信した
「栗野的視点(No.598):淘汰の時代に入ったSIMフリー市場 ~ FREETELの身売りから見えるもの」
で書いたので、そちらを参考にしていただきたい。
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栗野的視点(No.598) 2017年11月17日
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淘汰の時代に入ったSIMフリー市場 ~ FREETELの身売りから見えるもの
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ベンチャー企業は市場拡大期に潰れる(潰される)。ベンチャー企業がニッチ市場を苦労して開拓し、
商品と市場が少し知られるようになり利用者が増えてくると、それまで小さな市場を相手にしなかった
大手企業がこぞって参入してくる。そして資本力にものを言わせ、一気に市場を奪って行くーー。
◆FREETELを楽天モバイルに売却
◆キャリア志向で失敗したベンチャー
◆第2、第3のFREETELも
◆キャリアの巻き返しでベンチャーは潰される
「まぐまぐ」の掲載ページは下記
http://archives.mag2.com/0000138716/20171117165631000.html
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話は少し変わるが、年末・年度末が近くなると大型倒産に絡んだ話が口の端に上ることがあるが、
今年1年は不正絡みの話が多かった。
製造業のデータ不正は「メード・イン・ジャパン」ブランドを地に落としたというか、そもそも
それは幻想で、もはや新興国の品質や不正を笑えない。
それどころか、20数年前から行っていたわけだから、こちらの方が悪質と言えそうだ。
その問題は稿を改めるとして、ベンチャー関連でいま口の端に上っているのが
「PEZY Computing(ペジーコンピューティング)」の4億3000万円の助成金詐取容疑だろう。
まあこの種のトップに共通しているのは個性的な人間が多いということで、それは前述の
プラスワン・マーケティング社長、増田薫氏にも言えたことだが、PEZY Computing社長、斉藤元章氏は
かなり強烈な個性の持ち主だったようだ。
それは医師出身という経歴からも窺えるが、スーパーコンピューターの分野では「2番では絶対ダメ」
と公言し、開発に非常に力を入れていた。
その功績は大きく、同社が開発したスーパーコンピューターは今年11月、世界のスーパー
コンピューター「TOP500」で国内トップ、省エネスーパーコンピューターランキングでは
世界5位に入るなど、国内だけでなく国際的にも高い評価を得ている。
その反面、多額の開発資金が必要になり、その調達に追われるという、バイオベンチャーなどにも
よく見られる悩みを抱えることになる。
助成金詐取はそうした状況で行われることになる。
助成金は出す方も受ける方も「他人の金」だ。ベンチャーキャピタルの出資とは違い、双方に甘さがある。
第一、今回の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に限らず、政府や自治体系の資金は
出す方に技術や事業に対する正確な「理解」はないと言った方が正しいだろう。
どうせ「他人の金」なのだから。
あるのは「夢への理解」であり、欲しいのは双方ともに「手柄」だ。
ベンチャーに冒険(Adventure)は付きものとはいえ、行け行けの賛同者ばかりではなく、
暴走を止める人間も必要で、失敗するベンチャーは決まってワンマンのオンリーワン。
この兼ね合いが難しい。
冒頭のプラスワン・マーケティングとは違い、PEZY Computingの技術力が非常に高いので
斉藤氏がいなくても組織の維持ができればいいが、ワンマンかつオンリーワンの斉藤氏不在では
失速するのもやむなきかな。
2017.12.8