栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

アマゾンプライムビデオに嵌まっている。

2022-02-24 11:22:09 | 視点

栗野的視点(No.758)                   2022年2月17日
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アマゾンプライムビデオに嵌まっている。
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 最近、アマゾンプライムビデオ嵌まっている。理由はいくつかあるが、

1つは最近のTV番組が面白くなく、せいぜい夕食時に7時のNHKニュースを見るぐらい。

後は映画やドラマを録画していて見る程度だ。

 TV番組を観なくなったのはドラマの作りや俳優の演技に深みがなくなったことも原因している。

ドラマを見ながら「そこは違うだろ」みたいな独り言を言うようになり、TVを見ながら

文句を言うぐらいならいっそ見ない方がよほど精神的にいいと悟ったからだ。

ドラマも演技も質が落ちたTV

 とにかく「大根」に近い演技の俳優(役者ではない)が増え過ぎている。

なぜ、こんな番組を何年もシリーズでやるのか分からないものや、

なぜこんな番組が人気番組と言われるのか分からないものが多い。

 その筆頭が沢口靖子の「科捜研の女」

とにかくこの番組程視聴者をバカにしたものはない。

いくらドラマとはいえ科捜研と鑑識を勘違い、混同しているばかりか、

上下関係が厳しい警察組織にありながら上司をまるで同僚か部下のように使うとか、

「科捜研の女」が刑事の仕事をするなど、もう全てがグチャグチャ。

ここまでひどいドラマはない。

鑑識と合同で現場鑑定を行うこともあるようだが、科捜研の職員の身分は研究員。

研究所で様々な鑑定を行うのが仕事で、刑事紛いの捜査などしない。

 ひどいと言えば沢口靖子の演技。

常に一本調子の喋り方、能面のような表情、よくぞこんな俳優を使っているものだと

テレビ朝日に感心してしまう。

これを大根役者と言わずにどれを言うのかと一人怒っている。

もちろん、もう何年も前から彼女が出演する番組はバカらしくて一切見ていないが。

 映画と違ってTV中心に出ている俳優は総じて演技が下手。

映画は監督に何度もダメ出しをされ、演技にうるさく注文を付けられるから演技力が増していくが、

製作費と時間に追われて作るTVドラマでは「はーい、それでいいです。お疲れさまでした」で終わる。

特に主役の演技が見られない。

「おい、おい。よくそんな演技でやってられるな」と文句を言いたくなる。

 バイプレーヤー(脇役)も脇の時はいい演技をしていたのが売れ出して主役、

準主役級になると途端に演技も役柄も一本調子になっていく。

 そんなのを見ていると脇に置いてた方がよかったのでないかと思ってしまうし、

舞台でいい演技をしていた役者がTVにどんどん出だすと、どれを見ても同じ役柄で

同じような演技になるのは本人が悪いのか、それともそういう設定の役を要求する制作側の責任か。

 まあ、俳優の立場になれば分からないことはない。

気取っていても飯は食えないから、来る仕事を選ばず、何でも適当にこなせば

制作側の受けがよくなり仕事も実入りも増えるというものだ。

 「所さん、大変ですよ」と言い、訳の分からないCMにでも出まくっていれば

視聴者にも顔を覚えられ、俳優以外の仕事も舞い込む。

だが、いつの時代も、どの分野でも「大量生産」は質を落とす。

 かくして、いいバイプレーヤーが次々にダメになっていく。

それでも地方局では需要があるから、「都落ち」をすればまだまだ稼げるが。

 石橋蓮司は変わらずいい役者だが、國村隼は当初いい役者だなと思っていたが、

出まくりだしてから演技が一本調子になった。

最低だったのはTVの「日本沈没」。

学者を演じていたが、学者は常に物静かだと考えているところが大間違い。

 元々世間知らずの連中だけに、有名になればなる程、自分の学説を否定されれば

ヒステリックに怒り出す人間が多い。

それなのに相変わらず腕の組み方も喋り方もいつもの國村隼。

少しは役柄に合わせて演技しろ、と言いたくなる。

歳を取る程にうまくなるクリント

 逆に上手いなと思うのは中井貴一。

NHKの「サラメシ」の甲高いナレーションには驚いたが、どんな役でもこなすし、

その役に合った顔を見せる。

こういうのを「役者」と言うのだろう。

中でもNHKの時代劇で演じた「雲隠れ霧左右衛門」役はよかった。

ちょっと軽い役から雲霧のような重厚な役まで演じ分けられる貴重な存在だ。

 まあ、そんな風でTVに観るべきものがないからアマゾンプライムビデオに逃げ込んだ。

録画したものを観る感覚で、当初、それほど期待はしてなかったが、

洋画やWOWOWの過去放映分が見られたりし、

へえー、こんな映画や放送があってたんだと興味が湧いてきた。

なんといっても、もうというかまだ「好奇」高齢者。

いくつになっても新しいことを発見したり、出合うのは楽しい。

 クリント・イーストウッドの監督・主演映画をアマゾンプライムビデオで見つけた時はうれしかった。

たしか彼はもう役者はやらないと言っていたから、久方ぶりの出演作。

題名は「運び屋」で日本では2019年に上映されていたみたいだが、映画館に

ほとんど足を運ばないから知らなかった。

映画館で年間400本前後観ている友人がいるが、彼なら知っていたと思うが。

 背が少し曲がり、腕も皺くちゃの姿を晒しながら、イーストウッド扮する老人が

カネのために麻薬の運び屋になっている。

当人は荷物が麻薬とは知らずにただ指定された場所までドライブするだけで

カネになるいい仕事と思っている。

 この映画、実話をヒントに製作されたみたいだが、「マディソン郡の橋」にしろ

イーストウッドは老体を隠すことなく晒している。

その歳にならないと演じられないものがあるし、それを演じるイーストウッドには

感動さえ覚える。歳を取ることは悪いことではない、と。

俳優に遠慮すると駄作になる

 逆にバカらしかったのが邦画の「デンデラ」。

当初、「楢山節考」の監督、今村昌平の息子が監督というテロップを見て期待して観たが、

期待通りだったのは山に捨てられに行く最初のシーンと冬山の景色。

雪景色の撮り方は実に上手で、まるで絵を観ているような感動を覚えた。

 ストーリーは70歳になると村の掟で山に捨てられに行く老女達が、

そこで生き残り「デンデラ」という老女だけの国を作り、自分達を捨てた村の男達に

復讐しようとするもので、ストーリーが面白いわけではない。

老人達が戦うという設定だけを見れば「吉里吉里人」とどこか重なるが、

「デンデラ」の映画を見た限りでは及ばない。

 錚々たる女優陣が出演しているにもかかわらず、この映画が三流になっているのは

脚本もさることながら俳優の演技が光らないからだ。

草笛光子や田根楽子、角替和枝はよかった。特に草笛光子のメーキャップは。

 メーキャップで期待したのは浅丘ルリ子。

何に出てもアイライン、目の縁取りをくっきり入れることに拘っている彼女が

お馴染みのスタイルを捨てて役になり切るのかどうか。

「やすらぎの郷」の時でさえ化粧ばっちりで通した女優だからね。

 最初のシーンだけは目元薄目のノー化粧風だったが、途中から相変わらずの

アイラインが目立ち興ざめ。

倍賞美津子に至ってはまるで片目の海賊風。

全員70歳以上という設定のはずなのに倍賞美津子は顔肌も若すぎる。

今の70歳ならまだしも分からないでもないが、時代設定を考えれば今の80代後半。

もう少し年寄り感を出さないと嘘っぽい。

 結局、監督より俳優の方が上で、錚々たる女優陣に監督がああしてくれ、

こうして欲しいと注文を付けられなかったということだろう。

だから三流映画になってしまった。

映画館で観ていたら「カネ返せ」と言いたくなる。アマゾンプライムビデオとはいえ損した気分。