栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

民主党代表選、演説から聞けば

2015-01-19 23:39:40 | 視点
 18日、民主党代表選の上位2者による決選投票の最終演説をラジオで生中継していた。

最初が細野氏、次いで岡田氏が演説したが、その演説を聞きながら、結果を予想してみた。

方法はあくまで最終演説だけでの判断とした。

演説のうまさは細野氏に軍配を挙げた。彼の演説には聴衆を引き込む魅力があった。

特に最後の段。「自分にないものが一つあります。それは経験です」

それを補うために」「皆さんの力をお借りしたい」と。

 彼の演説を聞いた時、まだ態度を決めかねている議員は細野氏に投票するだろうと思った。

それぐらい彼の演説はうまかった。

 ついで岡田氏の演説が始まった。

「まず長妻議員に感謝したい」

岡田氏はこう切り出した。

なにを感謝するのだ、と思ったら、長妻氏が「格差の是正と人への投資」を言ったことで、

改めてそのことの必要性を自分に気づかさせてくれた長妻氏に感謝したい、と述べたのだ。

もちろん、それは自分の主張でもあったが、と付け加えながら。

冒頭のこの下りを聞いて、岡田氏の老獪さを感じた。

彼はその後の演説でも自ら触れていたが「原理主義者」で「ブレない」男だ。

言い方を変えれば人付き合いがいい方ではないし、あまり人にすり寄るタイプではないはず。

ところが最終演説では長妻支持票を取りに行く戦術に出たのだ。

この点は岡田氏の性格にしては少し意外だった。

それと同時に、柔軟さを感じたというか、彼も政治の波の中で随分もまれたなと感じた。

真っ向から方針を訴えるのではなく、端から長妻支持票を取りに行ったのだから、

政治家としては成長したといえる。いい意味でも悪い意味でも。

個人的な好き嫌いは別にして、その程度の戦術も取れなければ政治家として大成はできない。

 結果は私の予想に反して、演説で引き込んだ細野氏ではなく、「野合はしない」と主張し

原理原則を貫いた岡田氏の勝利に終わった。

確かにその通りで、巨大与党に対するために野党が力を合わせることは必要だが、

原理原則がまるで違う野党同士が合併してもうまくいくはずはない。

個人的には、民主党再生の道は長妻氏が唱えるようにリベラル色をきちんと出すことではないかと思っているが。

 演説がうまかった細野氏が敗れたのはやはり軸足が一定しなかったことだろう。