栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

通信コストを大幅にダウンする方法

2005-10-12 17:14:26 | 視点
ボールペン1本節約より
ファーストフード方式を導入


 会社経営の要は儲ける(利益を出す)ことである。
儲けるためには売り上げを増やすか、経費を削減するかしかない。一番いいのは売り上げを増やしながら、経費を削減することである。
 この自明の理が案外理解されてない。というのは、多くの人が売り上げを増やすことには熱心だが、経費を削減することにはあまり熱心に見えないからである。
 こういうと、「そんなバカなことはない。どんな企業でもこれ以上できないほど経費を削減している」という反論が即座に飛んで来そうだが、果たしてそうだろうか。

 経費の削減という場合2つある。1つはとにかくコスト削減、コスト削減で、「ボールペン1本、クリップ1つムダにするな」と言うやり方である。ひどいのになるとボールペン1本買うのに稟議書を出せというところもある。これでは窮屈すぎて会社が面白くなくなる。
 たしかに社員数1,000人以上の企業ともなれば、1人がボールペン1本ムダにするだけで結構な数字になるかもしれない。また机の引き出しに1人でボールペンを何本もしまい込んでいる社員もいるにはいる。そういう社員への意識改革として「ボールペン1本、クリップ1つ」への注意を促すのはいい。しかし、その効果は総じて知れている。大体、節約する人間は言われなくてもするし、無頓着な人間はいくら言われても意識が変わることはない。

 電気代の節約にしてもそうだ。
昼休みにムダな電気を消すぐらいならいいが、会社を訪問すると室内がやたら薄暗いところがある。そういうところに限って、出てきた社員の応対も明るくテキパキとはほど遠く、動きも遅く喋り方まで暗い。これでは訪問したこちらの気分まで暗くなる。
 第一、暗い室内にいると、発想まで暗く後ろ向きになる。これでは逆効果だ。不要な箇所の電気は消した方がいいが、一律に電気を消して必要なところまで暗くする必要はないだろう。

 そんなみみっちいことをするよりもっと効果的な経費節減方法がある。「ファーストフード方式」である。
 ファーストフードでコーヒーを頼むと砂糖は要るか、ミルクは要るかと必ず聞かれる。最近はブラックで飲む人が増えているが、一々客に聞くのは客のダイエットに協力しているわけではない。彼らがコストダウンするために聞いているのだ。
 というのはコーヒー1杯分の原価より砂糖、ミルク1個の原価の方が高いからだ。砂糖もミルクも要らないと答えてくれた客はそうと意識せずに店の利益に貢献しているわけである。聞かれた方は不快な気持ちがするどころか、逆に店のサービス精神の表れだと思うから、まさに一石二鳥。

 この「ファーストフード方式」を会社の経費節約にも導入すべきだと思う。そうすれば社員は強制的に経費節約に協力されているとは感じず、その実大いにコストダウンを実行することになる。
そんな妙手があるわけないと思われるかもしれないが、以下の方法を実行すれば確実に会社(家庭にも通用する)のコストを大幅に削減することができる。

   記事全文


Skype(スカイプ)用ハンディホン

地方の企業・商店はどうすれば生き残れるか。

2005-10-06 17:11:25 | 視点
 いま、地方の企業や商店はかつてないほどの危機に直面しています。
地方の崩壊が始まったのはすでに10年以上、あるいはそれ以上前からですが、小泉政権の下でこの傾向はさらに加速していくと思われます。
 しかし、その認識が当事者である「地方」に薄いような気がするのは私の単なる思い過ごしでしょうか。
それならいいのですが、現実問題として地方の製造業は中国を初めとしたアジア諸国に取って代わられていますし、地方の風景はどんどん都会化し、コミュニティさえも崩壊しつつあります。
 そうさせたのは我々日本人自身であるとともに、地方に基盤を置く人達の視野の狭さ、努力不足にもあると思います。

 マーケットを意識せずにモノを作っている、自分達の製品がどのような使われ方をしているのかも知らないし、知ろうとさえしない、ライバル商品や相手のことを勉強もしない、技術を研鑽しない・・・。
 こんなことでは生き残れないのは当然かもしれません。
しかし、すべての企業がそうではありません。
地方にいながら目は世界に向け、世界を股に活動している企業もありますし、地産地消で安全・安心な商品を提供している企業や商店もあります。
高い技術力を武器に大手に互して頑張っている企業もあれば、マーケットを世界に求めている企業もあります。
でも、残念ながらそんな企業が少ないのも事実です。

 そこで今回は例会の場を地方に求め、徹底的にディスカッションをする試みを計画してみました。
             --記--

基調講演:「地方は生き残れない?」
       ジャーナリスト&コーディネーター 栗野 良

~バトルディスカッション IN 大川~
 『地方の企業・商店はどうすれば生き残れるか』

 パネラー:カグロックス(株)代表取締役社長 鐘ヶ江 洋一氏
        (株)添島勲商店 代表取締役社長 佐々木 徹氏
         (株)トイップエシマ 代表取締役社長 江島 廣典氏
        マツノデザイン店舗建築(株)代表取締役 松野國一氏
       司 会 :栗野 良

       主催/リエゾン九州      共催/NPO法人大川未来塾

 パネルディスカッションではなく「バトルディスカッション」で行います。
パネラーが順番に判で押したように自己紹介をし、それぞれの会社のことを自慢げに喋り、あとは1、2の提言みたいなものをして終わりというやり方ではなく、落とし所も結論もなし。発言順番もなし。
 パネラーの人達も全員が成功者とは限りません。会場の皆さんと一緒に考えていく、そのためのきっかけをつくるために便宜上パネラーになっているだけです。
会場からの発言も途中でOK。
 どうすれば地方の企業・商店は生き残れるのか、生き残れないのか。
シビアな意見も飛び出すと思いますが、建前は止めて本音で話し合いませんか。

日 時:10月22日(土) 13:30 ~ 17:00
    受付開始は13:00~
会 場:ヴィラ・ベルディ 2Fホール
福岡県大川市大字榎津325-2
TEL(0944)87-6952

★申込先:itou@liaison-q.com   kurino@liaison-q.com

CASジャパン(長崎オランダ村跡)が自己破産。

2005-10-04 16:14:40 | 雑感
 CASジャパンと聞いてもあまりピンとこないが、旧長崎オランダ村跡地に開業したCASビレッジといえば少しは分かるだろうか。
 実のところ私も長崎オランダ村跡地を利用してどこかの企業が料理学校を開校するにあたり、生徒を募集している新聞広告を見たことがあるぐらいだ。

 CASジャパンは和風創作料理チェーン「庵」などを全国に展開する小林事務所(本社兵庫県川西市)の小林敬社長が設立した会社で、「地産地消」を掲げた和洋中のレストランやウェディングレストランなどをオープンさせ、来年には料理学校もオープンする計画だったようだ。

 しかし10月3日、突然自己破産した。オープンからたったの半年。負債総額は約22億円。本人はオープン前に「『地域』『地産地消』『フリーター問題』『観光都市長崎の使命』『(アジア圏に向かって)国際都市長崎の使命』『教育・道徳』『日本の外食産業の将来』『産学共同事業』等々・・・・・・・・・・・・・・
これらのキーワード(点の集まり)をCASをコアにして『線』にしていきます。100%実現可能な事業プランと信じています」などと書いていたが、計画ばかり大きくて、きちんとマーケティングをしたのかと疑いたくなる。
 それにしても22億円の負債を抱えて自己破産。小林氏は行方しれず。本業への影響はどうなるか。

 驚いたのは同社の自己破産ではなく、オープン前に同社の計画を結構持ち上げた人達がいたということの方だ。しかも、大西某というマーケティングを標榜する男などがやたらと持ち上げていたことだ。
 地方の現状、長崎オランダ村が位置する地理的現状、対岸のハウステンボスがなぜ破綻したのかをきっちり分析していれば、CASジャパンの計画があまりにも大雑把すぎ、とてもまともに考えたものではないことぐらいはすぐ分かるはず。
 長崎オランダ村を創り、ハウステンボスを創った神近氏に比べれば理念はなく、計画も人物もあまりに小粒すぎた。そんな人間に地域の再生などできはしないということを実証したということだろう。

 ついでにマーケティングに関連して少し触れておくと、首都圏で一時的に成功した人間が地方に進出する時に同じような失敗をするケースが多い。
 理由は激戦地で成功しているのだから、強敵もいない、コストも安い地方で事業をするのだから成功しないはずがないという思い込みから来る奢りである。

 同じ現象は中国に進出する企業の多くにも当てはまる。
現地のマーケティングを軽視し、相手国の文化や習慣を軽視して、自分流のやり方を押し付けようとするから失敗する。
 中国で成功している企業の多くは事前に多方面から情報を入手し、分析し、パートナーとなる相手をきちんと調べ、互いに平等でフィフティフィフティな関係を築くことを心がけている。
 一方的に相手をバカにしたり、ただ単に安い人件費やコストの安さだけを求めて進出した企業は皆失敗するということは国内外を問わず当てはまる。



ゲオのスマートフォン買取サイト「Smarket(スマーケット)」