Nの憂鬱20~反戦歌とフォークゲリラ

Kurino's Novel-20                    2023年9月26日
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Nの憂鬱20~反戦歌とフォークゲリラ
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◇顔写真を撮り無言の圧力を

 工学部に巣食う学内右翼による大学正門前の立て看板破壊、全共闘の学長室占
拠、右翼・防共挺身隊の早朝襲撃があり、その過程で器物損壊、中山学生課長に
対する暴行・傷害容疑等で数人が逮捕されるなど、夏休みが明けるとE大はの状
況は一変して騒々しくなった。
 逮捕者に対する接見、差し入れ、裁判支援闘争が従来の活動に加わってきたし、
10月21日の国際反戦デーに向けた取り組みもあったが、この頃になると各セクト
の活動は学園闘争より10.21や、その後の佐藤訪米阻止闘争をいかに闘うかとい
う政治的課題に対する闘争の方が高まると同時に学内闘争も先鋭化していった。

 この頃になるとデモはスクラムを組んでのジグザグデモが当たり前になり、そ
の周囲を「私服」が身分を隠すことなく付きまとい、これ見よがしに真っ正面か
らカメラを向けてバシャバシャッと撮っていった。お前の顔写真を撮っているぞ、
お前が過激デモに参加している証拠だ、と言わんばかりに警察権力による半ば恫
喝である。
 ここまで露骨に顔写真を撮られると、大手企業等への就職を考えている学生に
は効果てきめんで、学外デモへは参加せず、せいぜい学内で後方支援活動を行う
か、それもできない学生は全共闘活動に距離を置くノンポリ学生と化すか、少し
離れた所から見守り「機動隊導入ハンターイ」「不当逮捕に抗議するぞー」とシ
ュプレヒコールで声を挙げるのがせいぜいだ。

 (俺の面は完全に割れてるな)
 写真をバシャバシャと撮られながら、Nはそんなことを思っていた。今更、面
が割れる割れないではなかった。まだ少人数でデモを行っていた当時から写真を
撮られているから面はとっくに割れているし、N自身その自覚はあった。だが、
一般企業への就職試験を控えている連中は大変だろうな、と彼らがデモに参加し
ない気持ちが分からないでもなかったが、「お前ら、それで自分に恥ずかしくな
いのか」と蔑む気持ちもあったが、だからといって誰かをデモに誘ったりしたこ
とはなかった。

       (以下略)

 

全文はHP内の「Kurino's Novel Nの憂鬱」でお読み下さい。

 http://www.liaison-q.com/KurinoNovel/KurinoNovel-index.html

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 Nの憂鬱1:彼思う故に我存在す

 Nの憂鬱2:鳥になった日

 Nの憂鬱3:二階から落下する

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