栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

転換点迎えた鳥取・砂の美術館

2017-08-30 19:23:33 | 視点


 鳥取・砂の美術館で「アメリカ編 世界に誇る大自然と自由の国を訪ねて」(2017年4月15日~

2018年1月3日)が開催されている。

砂像の展示は今回で第10期。

 同館を訪れたのは今回で3回目だが、見終わった後、感動とは別の感情、

ある種の違和感と疑問が湧いてきた。

それは砂の美術館とは何なのか、今回で区切りをつけるのか、

それとも内容を少しずつ変えながら現在のコンセプトのまま継続していくのか、

あるいはコンセプトそのものを変えて新たに出直すかのいずれかしかないように見えたからだ。



 砂の美術館の基本コンセプトは「砂で世界旅行」である。

過去の展示はそのコンセプトに忠実であった。

第1回目のイタリア・ルネサンスから始まり世界遺産アジア編、オーストリア、アフリカ、イギリス

東南アジア、ロシア、ドイツ、南米編と続き、今回がアメリカ編である。

 因みに「砂で世界旅行」と冒頭に付けだしたのは3回目のオーストラリア編からだが、

ここまでは基本コンセプトに沿った形で展示制作が行われてきた。

ところがアメリカを持ってきたことから展示物の内容が変わってしまった。

 アメリカは歴史が新しい国だから他の地域や国々のように歴史的な建造物がほとんどない。

アメリカを象徴する建造物として人々が頭に思い浮かべるのはラシュモア山に彫られた

4人の大統領の顔と自由の女神像ぐらいではないだろうか。

後はウオール街に見るような高層ビル群だ。

 つまりアメリカには見るべき歴史的遺跡はないのだ。

にもかかわらず「砂で世界旅行」というコンセプトの下、アメリカを取り上げたものだから

それまでの流れが途絶え、線ではなく点で繋がる企画になってしまった。



 アメリカ編は「世界旅行」を「世界歴史旅行」にコンセプト替えしたようだ。

例えばアンクルトムなど小説に題材を取った「novel」や西部開拓史、

ゴールドラッシュに湧いた時代、リンカーンと南北戦争などは遺跡ではなく

歴史でしか見ることが巡りは出来ない。

その責任は砂像制作者ではなく、総合プロデューサーにあるのは言うまでもない。









 さて、11期以降の砂の美術館はどうなるのか、どうするのか。

砂像を造って展示すればいい、という形に開き直るのか。

それとも原点に立ち返り、「世界旅行」というコンセプトの下で砂像芸術を追求していくのか。

プロデューサーを変えて出直すのも一つだろう。

プロデューサーが変わればまた新たなものが出現するのはよくある話だ。

少なくとも今回の砂の美術館は観た後に砂を噛むような感覚が残ったのだけは事実だ。








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