栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

患者志向と思わせながら、その実、儲け志向の歯科医に注意。

2014-07-23 10:04:25 | 視点
「うちは本気で治療したいと思う方の歯科で、取り敢えず治療してくれと言う方のための歯科ではありません。
そういう方はどうぞ他に行って下さい、ということです。そういう歯科はその辺に一杯いますから」
 治療が終わった後、院長からそう言われたと憤慨する患者。

 この歯科医院(福岡市南区井尻)、以前から予防治療に力を入れていることでよく知られているが、
この数年、ますます予防歯科に力を入れ出し、「治療に急を要する歯があれば、応急処置をします。
そうでなければ、お口の精密検査を優先」すると記されたパンフレットを最近制作している。

 精密検査とはレントゲン検査、口の写真撮影、唾液検査等である。
もちろん、それらは余分な金がかかる。
因みに治療唾液検査は3,500円。

 生涯にわたって歯を大事にするためには虫歯にならないようにすることが大事です。
この一見理にかなった理論で予防治療を患者に勧めているわけだが、その背景にあるのは少子化と供給過多の歯科医。
現在、流行っていても、将来患者数が減るのは火を見るよりも明らかで、いまのうちに手を打たなければと考えているわけだ。

さらに言うなら、保険診療では儲からない。自由診療を増やした方がいい。
「歯科業界は医療業界のなかでも、特に薄利多売の商売です。なぜなら歯科医は報酬が低いから。
日本の保険制度での歯科医の診療報酬は、米国と比較すると20分の1程度。
つまり、日本の歯科医は先進国のなかでも稀に見るほど報酬が低いため、
ほかの医者よりも頻繁に定期健診を患者に押し付けざるを得ないんですよ」
 と内情を暴露する声もある。(http://yukan-news.ameba.jp/20140722-7504/

 最近、どこの歯科でもインプラントを勧めるのは自由診療で、治療費を自由に決められるからだ。
そのため本来、従来技術で対応できるものでもインプラントにさせたがる。

 前出の患者はこの歯科医院に5年ほど前から通っている「顧客」。
3年前に一度中断し、久し振りの再診で言われたのが冒頭の言葉だ。
それまでは定期的に歯の健康チェックにも通っていたというから、医院にとってはいい顧客だったはず。

 熱心に通っていたのに、途中から行かなくなったのは、次から次に悪いところが出てくるからだ。
マッチポンプという言葉があるが、それではないかとさえ疑ったようだ。
歯科医に限らず、こうした話はよく聞く。
医者にかかるとかえって病気になる、と。
患者にしてみれば最低限必要な治療だけして欲しいのに、少し問題がありそうな部分まで
投薬をしたり治療しようとするからだ。
投薬にしろ診療するにしろ、何らかの病名を付ける必要がある。
でなければ健康食品を飲んでいればいいようなものだから。
病名を付けられるから病気になったような気がする。
そして、そのうち本当に病気になっていく。
病は気からと言われるのも、こうしたことも関係しているかも。

 その歯科医院に行かなくなったもう一つの理由は営業活動が嫌になったからだと言う。
治療しながらしきりにインプラントを勧められたらしい。
医師と患者は対等のように見えてそうではない。
医師は専門知識を交えて話すし、担当医に嫌われたら治療をうまくしてもらえないのではないか、
という不安感が患者側にある。

 治療中に話すというのは、そういう関係を上手に利用する、いわばずるいやり方である。
歯科の場合、患者はほとんど口を開けているわけだから、その状態で色々言うことはできない。
ほとんど頷くぐらいしかできない。

 後に冷静に考えれば、本当にいまその治療が必要なのか、そこまでする必要があるのか、
他の治療法はないのかなど種々疑問も湧いてくると思うが、治療中にそうしたことを口に
することはできないだろう。

 なにより他の選択肢を示さないこと、インプラント治療のリスクを言わないのがよくない。
そのことで不信感を持ち、以後その歯科医院に行くのを止めた、と言う。

 それまでは物腰の柔らかい院長の態度や、やさしそうな歯科衛生士の態度から、
その歯科医院に好感さえ持っていた、とも言う。

 ところが、それらはすべて患者を通わせる営業用スマイルだったわけだ。
通院を止めてから3年、歯はどこも悪くなく、なんら問題は起きなかった。
だが、あのまま通院していたら、きっとどこか治療の必要が出てきていたのではないだろうか。

 さて、3年後になぜその歯科医院に再度行き始めたのか。
それは以前そこで治療した歯の隣が少し欠けたからだったようだ。
その時点で別の歯科に行くかどうか随分迷ったらしいが、欠けた歯の治療だし、
以前その歯科医院で治療した歯の隣の歯だから、いままでかかってきたところの方が
いいだろうという思いと、新たに別の歯科医院を探すのが面倒なこともあったようだ。

 だが、すぐ後悔した。
やはり他の所を探せばよかった、と後悔したようだ。
次回の診療まで2週間以上と間が空きすぎることと、
「次回は唾液検査をしますから、3,500円用意しておいてください」
と、いきなり歯科衛生士から言われたからだ。

 なんだ唾液検査って?
そんなことに時間を取るより、先に治療をしてくれ。
それでなくても治療の間が空くのだから。
絶対必要がないことは後でいいではないか。
今回はこちらに時間的余裕がなく、治療を急いでいるのだから、と思い、
唾液検査は拒否した。

 すると豹変。
それまでのフレンドリーな態度が一変し、歯科衛生士も院長も態度が非常によそよそしくなったのだから驚き。
そして冒頭の対応になったのだ。

 院長の見せかけの仮面が取れ、まさに本性が現れたということだろう。
こんな歯科医にかかってはいけない、という見本みたいなものだが、
そのことに気づかず通っている人もいるに違いない。






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巧妙なフィッシング詐欺に注意

2014-07-22 10:00:01 | 視点
 天災は忘れた頃にやってくる、という言葉があるが、最近は忘れる間もなく全国各地で自然災害が起きている。
しかも年々、規模は拡大、被害の深刻度は増し、日本全国安全な箇所はないといっていいほどだ。
 油断できないのはネット社会も同じで、個人情報の流出、不正、詐欺はとどまるところを知らない。
一方、利用者の危機意識はというと、逆に薄まっている感じがする。

 数の増大と危機意識は反比例する、というのはあらゆる分野で通用する言葉だが、ネット社会では特にそうだ。
利用者が増えれば増えるほど一人ひとりの危機意識、リスク管理は薄まっていく。
 ウイルス対策は必要と過去何度も言われているから、パソコン(以下PC)にセキュリティソフトを
入れずに使っている人はいないだろうが、それでもセキュリティソフトの更新期限が切れたまま使っていたり、
全PCに入れてなかったり、入れてはいるものの定期的にウイルススキャンをしてなかったりという人もいるかもしれない。

 さらに怖いのがスマートフォン(以下スマホ)やタブレット。
PCにはセキュリティソフトを入れているが、スマホやタブレットは買ってそのまま使っているという人は
案外多いのではないだろうか。

 そこに持ってきて巧妙化しているのがネット詐欺の方法。
以前から繰り返されていたが、このところ再び急増しているので注意が必要だ。

 例えばいま頻繁に送られてくるのが銀行名によるメール。
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行を名乗る詐欺メールだが、両銀行と取り引きがあればついクリックしてしまいかねない。

 では、どんな文面のメールが届くのか。
いかに一例を紹介しておく。

  --------------------------------------------------
 差出人:三菱東京UFJ銀行
 件 名:【三菱東京UFJ銀行】本人認証サービス
 本 文:
  こんにちは!

 (平成26年7月12日更新)「三菱東京UFJ銀行」のシステムが安全性の更新がされたため、お客様はアカウントが凍結?
休眠されないように、直ちにアカウントをご認証ください。

  本人認証サービス
  --------------------------------------------------

 上記の「本人認証サービス」と書かれた所をクリックすると、某サイトに飛ぶようになっている。

 このメール本文を冷静に読めば、少しおかしな日本語だと気付くはずだが、取引銀行から送られてきた
メールだと思い込んでいると、指示に従って「本人認証サービス」の箇所をクリックしかねないので要注意。

 おかしな箇所は他にもある。
差出人欄に表示されている「三菱東京UFJ銀行」の箇所をよく見ると「三菱東京UFJ銀行」の後ろに
「****@yahoo.co.jp」とアカウントが表示されているのに気付くはずだ。

 銀行が自行名アカウントではなくyahooアカウントから顧客にメールを送ることはありえない。
 すでにここからしておかしいが、人は最初に銀行からのメールだと思い込んでしまうと、後は見過ごしてしまいがちになる。

 三菱東京UFJ銀行を語る詐欺メールの内容は他にも様々な内容パターンがあるが、
基本は上記内容と似たようなもので、偽サイトに誘導させるもの。
 ただ、偽サイトの画面や内容、日本語は非常に精度が高くなりつつあるので、よほど注意しないと気付かなくなる。

 次は「三井住友銀行」を語る詐欺メールの例

  --------------------------------------------------
 差出人:三井住友銀行
 件 名:「三井住友銀行」本人認証サービス
 本 文:
  お使いのメールアドレスを確認してください


  本人認証サービス

  --------------------------------------------------

 こちらはいたってシンプル。
だがシンプルだけについクリックしてしまいそうになるので要注意。


目的はどこにある?


対策はどうすればいいか



  (以 下 略)



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地方に移住、介護ビジネス起業~ローカルビジネスこそ次世代ビジネス(4)

2014-07-17 10:46:03 | 視点
 地方に多くて都会に少ないものは高齢者。

というのは冗談だが、人口比率からすれば地方に高齢者が多いのは事実である。

では、この高齢者が消費の主体になれば地方でビジネスは十分成り立つということになる。

 だが、既存ビジネスでは高齢者は消費の脇役ではあっても主役にはなれない。

例えば食は若者と比べて1/3近くにまで消費が落ちているし、会社勤めを離れれば衣類も以前ほど買わなくなる。

代わりに金を使うのが趣味や旅行の分野。

そう、この分野では中高年層は消費の主役である。

 といっても、それは足腰が丈夫で動ける人。

それ以上の高齢者となるとどうか。

しかし、いま、さらに今後最も増えていくのがこの層。

ここをターゲットにできれば地方でも十分事業が成り立つことになる。

 4年前、人口7,000人程度の町で起業した女性がいる。

そんな過疎地でどんなビジネス? いま流行りのIT系か1人起業、と考えるのが一般的だろうが、

従業員6-7人雇っているから、地域の雇用にも貢献している。

しかも、少しずつだが年々売り上げも人も増えているからバカにできない


       (以 下 略)



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ローカルビジネスこそ次世代ビジネス(3)~「お弁当のつるや」成功の秘訣は

2014-07-16 09:36:10 | 視点
 「つるや」の項目を書きながら(株)マキオ(鹿児島県阿久根市)が展開している

スーパーセンター「AZ」のことが頭を過った。

同社は日本で初めて24時間営業のスーパーセンターを当時、人口わずか2万7000人の阿久根市にオープンした。
(「栗野的視点:日本初の24時間営業大型店を鹿児島県で開業 」参照 )

 当時の常識からすれば(いまでもそうだが)「あり得ない」話だ。

地方で巨大な売り場面積を持ち、しかも24時間営業など成り立つはずがない。

それが常識的な見方である。

 ところが結果はどうか。

見事に成り立っているではないか。

それも1店舗のみでなくすでに3店舗もオープンしている。

 ただし、「同社あるいは後継者が他店舗展開を図りだすと失敗する」と、

約10年前に流通関係の講演をした時に予測しておいた。

 同じことは「つるや」に対しても言える。

人は成功するとつい欲が出る。

県北で成功したからと県南に出店しだすと、途端に収益が悪化してくる。

 過去、何度も警鐘を鳴らしてきたように、中小企業・ベンチャー企業が失敗するのは奢りと過信である。

 それはさておくとして、「つるや」成功の秘訣は



       (以 下 略)



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過疎地に出店する「つるや」~ローカルビジネスこそ次世代ビジネス(2)

2014-07-13 19:49:05 | 視点
過疎地に出店する「つるや」

 経済成長時代の企業戦略は拡大路線でよかったが、高齢化社会になると市場はいやが上にも縮小していく。

それでも拡大路線を取り続けるためには、市場を国外、なかでも成長著しい新興国に求めるほかない。

そして多くの企業がその方向に舵を切っている。

「地産地消」「二酸化炭素排出削減」という言葉はすでに葬り去られているような感さえあるが。

 そうした動きの中で、あえて地方、それも限られた地域にしか出店していない企業がある。

株式会社つるやが展開する「おべんとうのつるや」だ。

 最初に「つるや」の店舗を目にしたのは岡山県北東部の田舎町だった。

表の看板で「おべんとうのつるや」と弁当を謳っていたので弁当中心の店かと思ったが、

中に入ってみると、弁当屋というより食品中心のコンビニのようだった。

店舗面積は平均的なコンビニより少し狭い。

 過疎の田舎町では早晩閉店するに違いない。

初めて同店を目にした時そう感じた。

だが、予想は外れ、結構続いている


       (以 下 略)



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ローカルビジネスこそ次世代ビジネス

2014-07-09 09:42:07 | 視点
 ビジネスの基本は消費者がたくさんいる場所でサービスなり商品を提供することである。この基本に従えば過疎地ではビジネスは成り立たないことになる。
 ところが、あえて過疎地に出店する企業もある。彼らに共通しているのは地元密着の非拡大路線。そこが旧来型ビジネスと大きく異る。

「農村が都市を包囲する」戦略

 古くはイオンやヤマダ電機も地方から全国制覇を成し遂げた企業であり、彼らに共通しているのは「ルーラル出店」。ルーラルとは田園とか農村という意味で、アーバンの対義語である。
 それまでの立地はアーバン戦略で、人が多く集まる都心部に出店するのが常識で、いかにいい立地を押さえるかで勝敗が決まった。
 当時、この戦略で売り上げを伸ばしていたのがダイエーやベスト電器だったが、いまはともに見る影もない。ダイエーはかつては相手にさえしていなかったイオンの子会社になり、ベスト電器もヤマダ電機の軍門に降り、いまや細々と生きている感じだ。両社ともに市場から社名が消えるのはそう遠くない先だろう。

 逆に出店コストが嵩むアーバンを避け、ルーラルに出店して行ったのがイオンやヤマダ電機(ルーラルとアーバンの中間ぐらいか)で、ともにいまの勝ち組である。ルーラル戦略といえば聞こえはいいが、要は「農村が都市を包囲する」ゲリラ戦略である。
 しかし、この「農村」戦略をバカにしてはいけない。それどころか過去の歴史を紐解けば覇者は常に地方出身者である。天下統一を果たした織田信長は「尾張の田舎者」と揶揄されていたし、明治政府の立役者は皆地方の田舎侍達だった。
 流通業に至っては栄枯盛衰は世の常で、一定サイクルでトップが入れ替わっている。しかも、そのサイクルは年々短くなっており、現在、勝ち組と言われているイオン、ヤマダ電機はすでに凋落の傾向さえ見て取れる。セブン&アイ・ホールディングスが一人勝ちになるのか、それとも同じ轍を踏むのかはもう少し見なければ分からない。

 イオン、ヤマダ電機の転換点はトップに立った瞬間であり、彼らはその頃から戦略を「農村」から「都市」へと変えている。ゲリラ戦から正規戦への転換である。そういえばファーストリテイリングもそうだった。
 軍隊も企業も、およそ組織と名が付くものはベンチャー、ゲリラの場合は既成観念にとらわれず変幻自在だが、ひと度正規軍になると組織は肥大化し、既成観念にとらわれ、融通が利かなくなって自滅への道を歩み始める。
 正規軍になった組織が目指すのは拡大への道。他を倒し自らが生き残るためにひたすら拡大戦略を突き進むしかなくなる。
 そういえば日本もジャパン・アズ・ ナンバーワンと言われた途端に転がり落ちた。組織に最も勢いがあるのはトップを伺う立場にいる時で、頂点に立った時が衰退の始まりとはなんとも皮肉な話だ。

 ・こちらも一読を。
  「栗野的視点(No.356):勝利の方程式~”農村”戦略で伸びる企業・コメリ」

中堅グループの合併・資本提携が加速







同じ謝罪でも、こんなウィットに富んだ謝罪を見習いたい。

2014-07-06 18:11:04 | 視点
 号泣議員の見苦しい言い訳がメディア、ネットで取り上げられ話題になっているが、

同じ言い訳、謝罪をするにしても、そのやり方一つで火に油を注ぐ結果にもなるし、

逆に相手をファンにすることもできる。

 例えばこの値上げ通知(写真)。

店の前に張り出されてあったので思わず読んでクスリと笑ってしまった。

普段ならメニューを張り出している場所だと思うが、そこには次のように記されていた。

大変情けない話ですが、4月1日より値上げさせて頂きます。

 普通なら「諸事情のため」とか「昨今の環境変化のため」などと書くところだろう。

それを、「大変情けない話」と、自らの努力不足をまず詫びている。

その姿勢は顧客に好意的に受け取られるはずだ。

というのは、次に続く「4月1日より」という言葉で明らかなように、消費税値上げを意味している。

それは店のメニュー価格が消費税分アップするといういうことだけではなく、仕入れ価格も消費税分

アップするので、本来なら値上げはしたくないが、小さな店では消費税アップ分を吸収することは

出来ないので、申し訳ありませんが値上げさせて下さい、という気持ちが行間に滲んでいる。

そして、その気持ちは顧客にも必ず伝わるはずである。

 さらに続けて

これからは腹九分でお楽しみ下さい。

と書かれてある。

この一文が特にいい。

これを読むと誰もが思わずクスリとするはずだ。

本当はいままで通りに腹一杯食べて欲しいところだが、それぞれに腹(懐)具合もあるでしょうから

腹一杯とはいかないかもしれないが、せめて腹九分で楽しんで下さい、と言う。

こんなウィットに富んだ言い訳をする店は応援したくなる。

 この頃、頭を下げている人はこれぐらいのウィットを少しは見習って欲しいものだ。