栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

第一施設工業の非接触搬送装置開発物語

2006-07-31 18:56:57 | 視点
クリーンルーム内で稼働するリフターのシェア90%
半導体製造を陰で支えるナンバー1企業



半導体の大家も思わずうなった
第一施設工業の非接触搬送技術


 「こういう方法があったのか。これは気付かなかった」
 東北大学工学部・大見忠弘教授は第一施設工業の非接触搬送装置を目の当たりにして思わずうなった。
 東北大学の大見忠弘といえば日本の、いや世界の半導体業界でも知らぬ人がいないくらいの有名人である。大学教授でありながら700件を超える特許を出願しているし、東北大学のスーパークリーンルーム建設委員長を務めたこともある。というより、「インテルを立ち直らせた男」としての方が知られているだろう。
 87年に大見が発表したスーパークリーンルームに関する論文を見たインテルが、指導を受けたいと大見本人を本社に招待し、レクチャーを受けたのは有名な話だ。
 当時、アメリカの半導体製造は不良率が高く、歩留まり20~30%というのが一般的だった。ところが大見の指導の下、クリーンルームを建設し直したインテルの半導体は歩留まり率が85%に改善されたのだ。もし、この時大見のレクチャーを受けなかったら、恐らく現在のインテルはなかったに違いない。
 そこまで半導体製造に関することを知り尽くした大見が、第一施設工業の非接触搬送装置を見て感心したのである。
 実は、大見は以前、同社社長の篠原統から相談を受けたことがあった。
「非接触? あれはダメだ。やめておけ」
 大見は「非接触」と聞いて、即座にそう答えたのだ。
「自分も非接触はやってみたがダメだ。あれは使い物にならない」
 半導体の大家からそう言われれば普通は諦めるところである。しかし、逆に篠原はその一言にファイトを燃やしたのだった。

       続きは「九州の技術」に

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下請けの悲哀を脱し、メーカーを目指した男(1)

2006-07-28 19:22:14 | 視点
 「天才とは99%の努力と1%のひらめきである」と言ったのはエジソンだが、
「天才」という言葉を「成功」に置き換えても同じことが言えるだろう。
つまり成功する人間と失敗する人間の違いは努力をするかしないかの違いといえる。
 とはいえ、闇雲に努力すればいいというものでもない。
努力の方向性を間違えばそれは単なる徒労である。
では、方向性とは何か。
それを与えてくれるのが「ひらめき」である。

 しかし、それだけでは十分といえない。
努力というエンジンに点火するスターターが必要である。
それはしばしば激しい反発心(コンプレックス)だったりするが、このコンプレック
スをバネに成功した人間は過去多い。

 今回、紹介する篠原統もそんな一人だろう。
彼が第一施設工業を設立したのは1967年。当時はエレベーターの据え付け・保守工事
を行う下請け企業だった。
それがあることをきっかけに脱メーカーを目指したのだ。
篠原にその決心をさせた「事件」とは一体何だったのか。
半導体の大家、大見忠広をさえうならせた、同社の技術「非接触搬送装置」はどのよ
うにして生まれたのか。

 以下、数回に分けて画期的な技術の開発物語を紹介していくが、その前に同社の基
礎資料を提示しておこう。

社 名:第一施設工業㈱
代表者:篠原 統
所在地:福岡県粕屋郡新宮町大字上府776-17
電 話:092-941-7602
設 立:1967年
資本金:7,650万円
社員数:70人
事業内容:超高速垂直搬送機「ハイリフター」・非接触搬送装置「MAGIC MOVE」・大
型ガラス基板洗浄機・クリーンルーム向垂直搬送機「クリフター」その他省力機器の
設計、製作、販売並びに取り付け工事及びメンテナンス。
URL http://www.daiichi-shisetsu.co.jp


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いつまで許すイスラエルの横暴

2006-07-27 15:30:45 | 視点
イスラエル、国連10施設を146回攻撃 (朝日新聞) - goo ニュース
 イスラエルの横暴には目を覆うものがあるが、なぜか国際世論はイスラエルに対しては寛容さを示している。
今回のイスラエル軍のレバノン侵攻目的は人質になったイスラエル兵士2人の解放である。
これが名目なのは誰の目にも明らかだろう。
空爆は所かまわず行っているし、その上地上軍の侵攻である。
これを侵略と言わずに何を言うのだろう。
しかも、国連施設を146回も攻撃するに及んでは誤爆なんてものではなく、国連施設を狙ってのこととしか思えない。
言語道断の行為だ。

 かつて第2次世界大戦の時に国を持たず各地を転々と追われたユダヤ民族の歴史を考えれば、とてもいまイスラエルがやっているようなことは行えないと思うのだが。
中東停戦のキーはヒズボラよりはイスラエルの態度にあると思うのだが。


オシャレなレストラン

2006-07-23 18:00:52 | 雑感
 福岡市小笹4丁目の住宅街の一角にユニークな洋食レストランがある。
店名は「RESTYLE(リスタイル)」。
やれフランス料理だ、イタリア料理だとかに拘らず、おいしい料理をフォークでも箸でも自由に使って楽しく食べて欲しいという意味で付けたのか、清潔でオシャレな空間とゆったりとしたスペースが食事の時間を楽しく演出してくれそうだった。

 たまたま見つけて入ったのが日曜日の夕方5時。
通りに面したカウンターに腰掛け、外を眺めながらコーヒーを飲む。
贅沢なひととき・・・。

 ところが、根が好奇心旺盛なものだから、2階に通じる階段を見つけ上ってみた。
迎えてくれたのは感じのいい女性。
棚のアロマ類や料理用鍋類などはすべて自分達で気に入ったものを見つけてきて置いているとのこと。
3階では電磁調理器を使った料理教室のようなものも開催しているらしい。
さらに2階の奥にはなにやら打ち合わせ室みたいなものまである。
1階のレストランと2階の空間はどういう関係?

 実はこのビル、(株)日進という材木問屋の関連グループで、リフォーム事業を中心に扱っている。
リフォーム→リスタイルというわけだ。
なるほど。
オシャレな空間を演出し、それとなくリフォームを考えてもらおうということか。
いや、まずお客さんとの間にコミュニケーションを作ろうということなのだろう。
 2階で断り室内の写真を撮っていたら、1階レストランの女性が飛んできたが、この際それは愛嬌と受け止めておこう。



「九州の技術」がきっかけで「ガイアの夜明けに」

2006-07-18 11:58:08 | 視点
 「若松の片山です」
電話先で相手はそう名乗った。
「あなたの記事のお陰で、今度『ガイアの夜明け』に取り上げられることになりました(8月29日放送予定)。それでお礼をと思って電話を・・・」
 相手はそう続けた。
「あなたがうちのことを『九州の技術』に書かれていることを知らなくて、『ガイアの夜明け』の取材に来た人に『どこでうちのことをお知りになりましたか』と聞くと、あなたの『九州の技術』に書かれた記事を見せられたのです」

 「九州の技術」とは私のホームページの中の1項目のことである。
元々私がHPを作った目的は九州の技術系中小企業の活性化・技術交流のために技術データベースを作る必要があると感じたからである。
そういう意味では、今回は目論見通りにことが運んだことになる。
 もちろんいままでも似たような話はちょくちょく寄せられていた。
数年前まではラジオでもベンチャー情報を話していたので、そこでの話がきっかけでNHKが取材に来たとか、商品が売れたというお礼の電話をもらったことはある。
ただ多くの場合、そのことを私に言ってくれるのはずっと後になってからで、今回のようにすぐお礼の電話をくれる人は少ないばかりか、お礼を言わない人が最近は増えている。

 九州の技術データベースを作りたい、そういう私の思いとは別に実際の作業は中々捗っていない。
というのも、個人のHPで技術を取材し、それを原稿にしてHPに載せるには時間的にも金銭的にもかなりのコストがかかるからである。
 しかし、今年になって再度九州の技術データベースづくりに力を入れようと思っている。

 上記「(株)かたやま」の記事は<魚肉・畜類肉の高度利用を可能にし、人類に貢献するフードイノベーション「スーペルバ処理法」を開発>と題してHPの「九州の技術」に収録。


開発に3カ月以上かかるものは作らない。

2006-07-14 16:27:48 | 視点
IBM、カシオも舌を巻いたIT技術(2)

開発は常に3カ月以内。
それ以上かかるものは作らない。

 --さて「CS Microserver」開発のいきさつですが、北米NO1の電子部品商社の日本支社から話があったということですが、社名を含めもう少し具体的に教えてください。
 平田 ブラックボックスという会社で、そこに友人がいまして、「平田に頼むとできるかもしれませんよ」と言ったので、私に話があったんです。
 世界中探してもなかったので、できると言ってるし、とりあえず試してみるかというぐらいの気持ちだったのでしょうね。
 --まさかできるとは思ってなかった?
 平田 そう。通常こうした場合、版権は向こうが持つのですが、「安く作ってくれるなら版権から著作権から全部あげる」と言われましたから。

 --具体的にはどのようなソフトを作ってくれと言われたのですか。

     記事全文はこちら

IBM、カシオも舌を巻いた㈱レセプターのIT技術(1)

2006-07-11 00:54:06 | 視点
 ベンチャーとは会社の規模や大きさ、ましてや入居しているビルを誇るのではなく、大企業とも対等に取り引きできる高い技術力を持った小集団組織のことであり、文字通りのアドベンチャー(冒険者)である。最近はマネービジネスを得意とする企業ばかりがベンチャーと持てはやされているが、㈱レセプター(福岡市博多区博多駅東1-10-4 MASビル6F、平田教光社長)はまさに正統ベンチャー企業である。
 同社を特徴づけているのは大企業にも負けない高い技術力である。そしてそれらの技術には常に世界初という言葉が付いて回る。

         記事全文はこちら

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リエゾン九州7月例会でレセプターの平田社長が「CS Microserver」の発表を行いま
す。

        --案 内--

●日 時:7月15日(土) 13:30 ~ 17:00

●場 所:ibb fukuoka6F会議室
      警固神社の向かい。ビックカメラ2号館の隣で、ファミリーマートが
      入っているビルの6F。1F入り口に居酒屋。

●内 容:
1.発表企業
  「誰でも簡単に操作できる株価予想ソフト」について
  発表者:㈱エバーリンク・アセット・パートナーズ・石塚博社長

2.発表企業
  「間違いだらけの情報セキュリティ対策」について
  発表者:㈱レセプター・平田教光社長(インターネット専門エンジニア)



男は女々しく、女は凛々しく・・・。

2006-07-09 23:57:51 | 雑感
 男と女の違いは肉体的、精神的に色々あるが、肉体的な違いを除けば理性的か感情的かという1点に尽きると思われる。
 好きとか嫌いという感情は誰しもあるが、そういう感情を超えて理性的に考えられるのが男であり、「頭では分かるけど心が・・・」というのが女なのである。
 だから洋の東西を問わず、古今、女が政(まつりごと)や戦いの最前線に立ってこなかったのは、理性的な思考ができないからに他ならない。

 ところが、最近、女性的な男が増えてきた。
理性ではなく感情で物事を判断する男が増えているのだ。
一言でいえば女々しい男が多くなっている。

 というか、物事を理性的、大局的に判断できない人達が増えているのだと思う。
原因は色んな所に求めることが出来るだろう。
すでに60年代後半から大学生や社会人がマンガを読む姿を見るのはごく当たり前の光景になっているし、コンピューターの普及により思考が0か1かという単純割り切り型になっていることも関係あるだろう。
さらに最近はインターネットの普及で、ウェブ上で検索すればすぐに答えが求められるよになっている。

 つまり自分の頭で思考しなくても、道具を操作しさえすれば答えが求められる「便利な」世の中になっている。
だから、ますます頭を使わなくなっている。
使わないと退化するのは当たり前で、頭の中の思考回路も実に単純化されて来ているようだ。

 そういえば、経営者でも昔のように趣味は囲碁という人が極端に少なくなっている。
囲碁と将棋の大きな違いは、将棋が王将を取られると終わるのに対し、囲碁は盤上の陣取り合戦だという点である。
つまり囲碁は局地戦ではなく、全体の様子を見ながら、この局面では負けてもこちらの局面で勝てばいいというか、あえて全体の勝利のために捨てる石もある。
非常に高度な駆け引き、戦いを展開するわけで、常に全体を眺め、手を打っていかなければならない。

 趣味の分野とはいえ、往年の経営者はこうした趣味を通して思考を鍛えていたのだ。それが最近は手っ取り早い方法ばかりが流行るものだから、物事を理性的、大局的に考えられない男ばかりが増えてきた。
それにしても周辺を見回しても、ちょっと気に入らないから辞める、みたいな男ばかりが多い。

 一方、女はというと、高校、大学を通じて学校の成績は男より上になり、会社に入っても以前のように「お茶汲み」ということはなく、能力に応じてどんどん登用される社会になっている。
そうすれば必然的に戦略的な発想、理性的な思考が求められるようになり、そうした訓練も受けるから、男と女が逆転し、女はどんどん凛々しくなっている。
 世の中ちょっとおかしい。

流通実践講座2:消費者はモノ語りで買う。

2006-07-06 19:26:24 | 視点
 最初に断っておくが、私はあだち珈琲の「モッ香ブレンド」を愛飲している。
このコーヒーは同店の代表的なコーヒーというだけあり、ファンも多いし、売れているのだ。なににもまして店主の安達さんが一生懸命頑張っているのがいい。
だから応援の意味も込めて、私は同店からコーヒーを買っている。

 店主の安達さんは研究熱心だし、少しでもおいしいコーヒーを皆さんに飲んでもらいたいと、自家焙煎用の釜も新しいのを追加し、焙煎の仕方にも工夫を怠らない。

 しかし、モノづくりに従事している人達には「独りよがりの思い込み」が多い。
自分の商品には自信を持っているし、こだわってもいる。
だが、その気持ちが消費者に伝わらないもどかしさも一方で抱えている。
どうすれば、その思いを伝えることが出来るのか。

 以下はその方法、考え方、視点の実践的アドバイスである。

思いの伝え方に工夫を

 さて、ここからが実践講座だ。

    記事全文はこちら

流通実践講座1:モノ語りをしよう。

2006-07-03 18:53:11 | 視点
 私は商店街や地域の活性化、中小企業の活性化などのテーマで講演する時、必ずいう言葉がある。
それは

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」

という孫子の言葉である。

 この言葉自体はほとんどの人が知っている(聞いたことがある)はずだ。
ところが、その意味する内容についてはほとんどの人があまり考えてないように思える。
とりわけ近年は「思考停止状態」の人が多く、物事を掘り下げて考えたり、じっくり考えようとしない傾向が強いからなおのことである。

 繁盛している店、儲かっている会社と、そうでない店・会社の違いは、
実は考える(思考する)かどうかの違いに他ならないのだ。

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