だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

なぜ、退却なのか?

2007-04-20 21:40:20 | 演劇
春3月に見た、加藤健一事務所の「特急二十世紀」。舞台が列車のコンパートメントで(横にスライドするの)、そこで繰り広げられるてんやわんやが面白かったぁ~。やっぱりカトケンは、コメディよね~と思っていたら、次回作はかなりシリアスなドラマらしい…。

タイトルは「モスクワからの退却」。題名に込められた意味は、ナポレオンのモスクワ撤退を表しています。1812年9月14日モスクワに入場したナポレンは、その夜の“モスクワの大火”により一旦は郊外に避難。しかしその後の和平交渉は進まず、10月19日とうとう撤退を開始。有名な“冬将軍”に負けたというあの話。

しかし、舞台はそんな話ではなく、3人の家族の物語。原作の戯曲を書いたのは、ウィリアム・ニコルソン。映画の方でも活躍していてその作品には、「サラフィナ!」(92)「永遠(とわ)の愛に生きて」(93)「ネル」(94)「トゥルーナイト」(95)「ファイアーライト」(97・監督も)「グラディエーター」(00)などがあります。うむ。

ロンドンとNYで絶賛された「モスクワからの退却」を、カトケンが次回作に選んだのも、出演者3人の濃密なセリフ劇だということ。なにせ加藤さんは1人舞台「審判」をこなす役者。“挑戦”の二文字が浮びますね。今回の出演者は、加藤さんの他、久野綾希子さん、山本芳樹さん(スタジオライフ)。

なんでも3人は舞台から退場することがなく、自分の場面が終わると照明が外れるだけで、ずっ~と舞台にいるそうな。つまり3人はいつも舞台にいて、物語と同時進行を味わうわけです。観客の私たちと、舞台が常に一緒。これぞ、芝居の醍醐味ですね。ちなみに演出は鵜山仁さん。翻訳はおなじみ、小田島恒志さん。

いつも思うのですが、加藤さんの舞台は作り手の芝居に対する“情熱”や“楽しさ”が、観客にダイレクトに伝わる稀な事務所(劇団でもなく、集団でもなく、たった1人の事務所)だと高く評価しています。というか、ファンです。おっと、この作品がなぜ「モスクワからの退却」なのかは、舞台を見てのお楽しみとか。楽しみ~♪
コメント
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