だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

霧の中のブリッジ

2007-04-24 21:43:26 | 映画
この映画は、ドキュメンタリーです。つまり本物。人気のスターが出演しているわけではないし、有名な監督(まだ)の作品でもありません。上演時間93分の衝撃の真実を描いた映画です。まずは監督の紹介から。

彼の名は、エリック・スティール。アラン・パーカー監督の「アンジェラの灰」(99)や、ジョン・シングルトン監督、サミュエル・L・ジャクソンの「シャフト」(00)のプロデューサーです。監督の名前は知っていても、わりとプロデューサーって知らない場合が多いですよね。そのエリック・スティールが3本目にして製作・初監督した作品が、「ブリッジ」(06)です。

「ブリッジ」とは、サンフランシスコにかかる有名な“ゴールデンゲート・ブリッジ”のこと。日本では“金門橋”とも呼ばれていますね。サンフランシスコに行かれた方なら、見たこと、走ったこと、歩いたことがあるかもしれません。(私は見ただけ…)ちなみに南側(シスコ)から北側マリン郡に通じる、6車線の道路と歩道があります。

歩道は西側が歩行者用、東側が自転車用の道路とされています。車は有料ですが、歩道と自転車道は無料。そのせいか(?)この観光名所は、一方で自殺の名所になってしまっているのです。1933年建設開始、37年完成以来、1300人もの人たちが自殺しています。

監督がこの映画の発想を得たのは、雑誌ニューヨーカーに掲載された“ジャンパーズ”(飛び降りる人々)という記事を読んだことだそうです。プロデューサーとして活躍していた彼は、映画の製作を決意。2005年から始まった自殺防止柵の設置計画にも参加しています。

映画は、ゴールデンゲート・ブリッジに設置された固定カメラで撮影。期間は2004年から05年までの1年間。当然、自殺者の姿も映っています。また、自殺を思いとどまった人の姿も。また、残された家族や友人たちのコメントも。この映画の衝撃は、世界中に大論争をもたらしました。ここまでする意義は?

それは、この事実を広く知らしめること。命の大切さをもう一度考えてみては?ヒッチコックの「めまい」(58)を思い出しながら、橋を見上げましょうか。
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