報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「大宮旅情」

2017-01-27 21:08:10 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日21:34.天候:晴 東北新幹線“やまびこ”56号→JR大宮駅]

 夜の闇の中であっても、利根川のトラス橋を渡る様は何とか分かる。
 利根川を渡って埼玉県に入ると、すぐ左手にボウリングのピンのオブジェが乗っかった遊興施設が見える。
 ラウンドワン栗橋店である。
 それから列車は南下を続け、東北自動車道のオレンジ色の街灯がきれいに並ぶ上を通過する。
 少し経つと左手に上越新幹線(北陸新幹線)が合流してきて、更にその外側にニューシャトルが並行してくるようになると大宮駅は近い。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、大宮です。上越新幹線、長野新幹線、高崎線、京浜東北線、埼京線、川越線はお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕

 勇太:「マリアさん、そろそろですね」
 マリア:「うん」

 マリアはボーッと外を眺めていたが、勇太に促されて脱いでいたローブを羽織った。
 その間に車掌の乗換案内放送が流れる。
 そろそろ上越新幹線や北陸新幹線は、最終列車に注意しなくてはならないようだ。
 川越線はほぼ20分に1本しか無いのはセオリー。
 新幹線から見れば、宇都宮線や湘南新宿ライン、他の鉄道会社はオミットされている。
 列車は段階的に速度を落とす。
 ATCブレーキによる原則に任せているようだ。
 運転士が手動でブレーキハンドルを操作するのは、時速30キロ以下になってからだという。
 大栄橋が見えて来た辺りで席を立つと、だいたいちょうど良い。

〔ドアが開きます〕

 列車がホームに止まってドアが開くと、大宮駅での下車がそこそこ多いのが分かる。
 勇太達もゴロゴロとキャリーバッグを引いて、エスカレーターに乗った。
 改札口に向かうまでの間、新幹線ホームからは大宮駅唯一の発車ベルが聞こえてくる(在来線でも回送電車のみベルが短く鳴る)。

 宗一郎:「何だか久しぶりに帰って来た気がするねぇ……」
 佳子:「そうねぇ」
 宗一郎:「荷物も多いし、家までタクシーで帰るか」
 勇太:「異議なーし」
 マリア:「異議ナシ、デス」

[同日21:55.天候:晴 埼玉県さいたま市 稲生家]

 宗一郎:「ああ、ここでいい」
 運転手:「よろしいですか?」

 稲生家の前にタクシーが止まる。
 宗一郎が料金を払っている間、勇太達は先に降りて、トランクに積んだ荷物を降ろしていた。

 勇太:「今度はアンナの嫌がらせは無いみたいですね」
 マリア:「あったら私が文句言うから心配しないで」

 アナスタシア組の末席に在籍しているアンナだが、アナスタシア組には珍しく、呪術を得意とする(アナスタシア組は攻撃魔法を得意とする武闘派である)。
 ミステリアスな雰囲気はアナスタシアによく似ていて、同じロシア人ということもあってか、末席とはいえ、除け者にはされていない。
 人間時代のトラウマか、嘘を付かれたり、チャラ男が嫌い。
 勇太は見た目も中身もチャラ男ではないが、アンナにしてみれば見た目で判断するわけにはいかないと、勇太を試したことがある。
 過去に起きた男女の痴情のもつれによって発生した流血の惨の話を勇太に聞かせ、又聞きの追体験のはずなのに、あたかも本当に体験しているかのように話の内容を侵食させるという変わった呪術である。
 話の内容は分岐していて、聞き手にどの選択肢を選ぶか決めさせるのだが、もし勇太がチャラ男が選ぶような選択肢を決めていたら、そのまま殺していたという。
 話の最後は女が男をメッタ刺しにして殺すという結末で、本来なら又聞き者には何のダメージも無いはずなのだが、気がついてみれば、話の中の男と同じ運命を辿るのだという。
 そんなアンナの表の顔は占い師。
 依頼者に様々な質問をして選択肢を選ばせ、その答えの内容によって未来を占うという比較的なオーソドックスなもの。
 しかし裏の顔は、女をヤリ捨てる男に流血の惨を味わわせる魔女である。
 人間時代、恐らく自分がそうされたのだろう。
 とにかく、勇太がそんな粛清対象の男ではないということが分かったアンナはそれ以上何もしてきていない。

 勇太:「マリアさんの荷物も少し重くなりましたねぇ……」
 マリア:「ちょっと色々と買い過ぎたかな……。やっぱり、後でエレーナに送ってもらおう。直接頼むと高いから、宅配便経由で」
 勇太:「あ、なるほど」

 勇太はマリアの荷物も一緒に家の中に運び込んだ。
 家の中も異常は無い。
 そんな勇太の後ろ姿を追いながら、マリアはある懸念をしていた。
 実際、既にリリアンヌがやってしまったのだが、段々と勇太が魔女達にモテだしたこと。
 メンヘラの多い魔女達にモテだすということは、逆に命に関わるということだ。
 最初は憎悪の対象にされて襲われることが多かったが、今度は逆に気に入られ過ぎて殺されそうになるという……。
 もちろん、内部にもマリアが特定の彼女ということになっているので、表向き一線を越えてくる者はいない。
 リリアンヌも表向きには、未成年にも関わらず飲酒してしまったが故の暴走ということになっている。
 こういう時、『魔女』ではないエレーナが中立的に入ってくれると助かるのだが、そのエレーナまで勇太にちょっかい出してくる始末だ。
 もちろん、半分冗談だというのは分かっているのだが……。

 勇太:「荷物は客間に置いておきますね」
 マリア:「ああ、ありがとう」

 マリアが寝泊まりしている部屋は、かつて妖狐の威吹が寝泊まりしていた部屋だ。
 畳敷きの部屋にカーペットを敷いて、その上に折り畳み式ベッドを使用している。
 威吹がほぼ専有していた頃はそのベッドではなく、直接布団を敷いていた。

 勇太:「お風呂はどうします?」
 マリア:「うーん……もう温泉に入ったからなぁ……。あ、そうだ。2階のシャワー使わせて」
 勇太:「2階の、ですか?」
 マリア:「そう!」
 勇太:「い、いいですよ」

 勇太が困惑したのは、そのシャワールームは洗面台があったスペースを改築したものだ。
 何故そうなったのかは割愛するが、まあ、威吹が居候していた頃は、他の妖怪からの襲撃がちょくちょくあった。
 その対策の1つとして、そうなったのである。
 東京中央学園の魔界の穴対策を始めたのも、学校で勇太の霊力に目を付けた妖怪が家にまで付いてきたからだ。
 威吹が睨みを効かせて追い払ったものの、それでもそこや他の場所からのちょっかいは絶えなかった。
 そこで威吹としても妖狐の威光を復活させる為、勇太と協力して魔界の穴からやってくる妖怪達を排除することになったのである。
 稲生家で行った当時の妖怪対策の名残が、まだ一部に残っている。
 勇太の部屋の前にシャワールームがあるのだが、脱衣所は無い(すぐ隣はトイレ)。
 勇太が使用していた頃は、部屋からタオルだけ持って出入りしていた。

 マリア:「服はトイレで脱ぐからいいだろう?」
 稲生:「え、ええ」

 それでもトイレからシャワーまでの一瞬の間、真っ裸の状態になるのは避けられない。
 マリアは客間で持ってきたパジャマに着替えると、2階のシャワールームに向かった。

 佳子:「マリアちゃん」

 2階への階段を上がる時、勇太の母親の佳子に呼び止められる。

 佳子:「お風呂なら、向こうのを使ったら?」
 マリア:「Ah... 温泉ニ入ッタノデ、少シダケシャワーニシヨウカト……。勇太君モ、使ッテイイトイウコトデシタノデ……」
 佳子:「全く。あのコは何を考えてるのかしら。まあ、どっちでも好きな方使っていいわ。それより明日、洗濯機回すから、服とか洗濯したいものは出しておいて。もうしばらくここにいるんでしょ?」
 マリア:「4日ノ夜ニ出マス」
 佳子:「それなら明日、洗濯するから」
 マリア:「アリガトウゴザイマス」

 マリアは礼を言って、階段を上がった。

 マリア:(そういえば、替えの下着があと1着しか無かったんだっけ。助かった……)

 マリアはホッとして2階への階段を登った。
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“大魔道師の弟子” 「家族旅行の終わり」

2017-01-26 22:50:58 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日18:00.天候:晴 JR仙台駅3F・すし通り]

 稲生家とマリアは旅行最後の夕食に、仙台駅構内の寿司店に入っていた。
 寿司の他に、焼き物や揚げ物も出す店である。
 稲生家は寿司を頼んでいたが、マリアは主に天ぷらや焼き物を頼んでいた。
 人間時代に受けた暴行の1つに、冷たい川に投げ込まれたというものがある。
 その際に、泳いでいた魚が口の中に飛び込んで来たのがトラウマになっていた。
 尚、その後の復讐劇で川に投げ込んだ奴らは全員この世からその存在が抹消されている。
 怠惰の悪魔ベルフェゴールにとっては、良い金づる……もとい、魂づるであっただろう。
 同じ悪魔なのに、契約先が人間と魔道師とでは全然態度と立ち回り方が違う。

 マリア:「会計は自分で持てよ?勇太のダディに払わせるなよ?」

 マリアはカウンター席で、刺身盛り合わせと日本酒に舌鼓を売っているベルフェゴールにツッコミを入れた。
 勇太達の前では、映画俳優みたいな派手なスーツ姿に中折れ帽を深く被った状態で現れる。
 因みにベルフェゴールの隣には、色欲の悪魔アスモデウスも座っていた。
 それまでは如何にも色欲の悪魔らしく、ビッチな黒ギャルの姿をしていたのに、今は肌もだいぶ白くなっている。
 アスモデウスの目的は、偏に勇太との契約である。
 ダンテ一門ではその方針により、見習いはまだ悪魔との契約が許されていない。
 その弟子にどんな悪魔を契約させるかは直属の師匠が決めるのだが、たまにこうして悪魔の方から契約しに来ることがある。
 ……ま、こんなことやっていれば、そりゃ魔女狩り肯定派のキリスト教派に追い回されるのも当然と言えば当然か。

 ベルフェゴール:「もちろんですよ。あそこで酔い潰れている中年客のカードに被せておこう」
 マリア:「他人の金だと思って……」

 アスモデウスが黒ギャルから白ギャルに変わったのは、勇太の心境の変化かもしれない。
 実は悪魔の姿は、見る人間により姿が全く違って見えるという。
 怠惰の悪魔がどうしてスーツ姿のダンディな男に見えるのかは不明だが、アスモデウスが白くなったのは、好きなマリアが白人だからか?

 宗一郎:「ん?誰と話していたんだい?マリアさん
 マリア:「あ、すいません。ちょっと、占いのことで……
 宗一郎:「?」

 因みに宗一郎がカウンターを見ると、そこには誰もいなかった。
 綺麗に平らげられた皿と徳利とお猪口が置かれていただけだった。
 尚、後で店員から起こされた中年客が伝票を見てムンクの叫びを上げたかどうかは【お察しください】。

[同日20:00.天候:晴 JR仙台駅・東北新幹線ホーム]

 夕食を終えた勇太達は、新幹線のキップを手に新幹線乗り場に向かった。
 在来線改札口より大きい新幹線改札口を通過する。
 ただ、この時点ではまだ若干時間があったので、トイレに行ったりして時間を潰した。

 宗一郎:「仙台駅始発じゃないのか」
 勇太:「うん、盛岡始発。まあ、でもちゃんと席は取れたからね。夜の上りだから、空いてるんだと思うよ」
 宗一郎:「そうか」

 エスカレーターでホームに上がると、佇まいは大宮駅と似たものである。
 それでも寒風がホームの中を吹き抜けるところは、ここが高架であることを物語っている。

〔13番線に20時ちょうど発、“やまびこ”56号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野に止まります。まもなく13番線に、“やまびこ”56号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕

 ホームに接近放送が鳴り響く。
 仙台駅にはまだホームドア(安全柵)が無い。
 そこは東海道新幹線より遅れているが、運行車両が統一されていないからだろう。

〔「13番線、ご注意ください。20時ちょうど発、“やまびこ”56号、東京行きが参ります。10両編成での到着です。ホーム前寄りでお待ちください。黄色い線までお下がりください」〕

 下り方向から眩いヘッドライトが接近してくる。
 古参のE2系である為、最新車両の白いHIDランプではなく、黄色い通常のヘッドランプであった。

〔「ご乗車ありがとうございました。仙台、仙台です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。13番線に到着の電車は20時ちょうど発、“やまびこ”56号、東京行きです。次は、福島に止まります。……」〕

 前の車両の自由席も比較的空いていた。
 やはり、夜の上りは空いているらしい。
 グリーン車も似たような状況だった。
 それでもさすがに明日や明後日は混雑するだろう。
 勇太達は9号車のグリーン車に乗り込んだ。
 向かい合わせにすることはなく、両親の後ろの席に勇太とマリアが座る形を取った。

 2分の停車の後、ホームにオリジナルの発車メロディが流れる。
 『青葉城恋唄』をアレンジしたものである。

〔「13番線、発車致します。駆け込み乗車は、おやめください。ドアが閉まります」〕

 プー!という客終合図のブザーの音と共に、ドアが一斉に閉まる。
 そして、VVVFインバータの音を車内外に響かせて列車が走り出した。

 マリア:「昨日泊まったホテルだ」
 勇太:「そうですね。今度は列車内から見る側です」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北新幹線“やまびこ”号、東京行きです。次は、福島に止まります。……〕

 勇太:「イリーナ先生へのお土産も送ったし……」
 マリア:「エレーナが届けに来てくれるよ」
 勇太:「あいつも忙しいですね」
 マリア:「多分、ダンテ一門の中では働き者の部類だろう」

 多くの魔女は、あまり外に出ることはない。
 それは人間時代に受けた体や心の傷を背負ったままであるからだ。
 エレーナなどの一部の者はそこまでヒドい経験をしたことが無いので(貞操も無事)、魔道師になっても外を出歩いている。

 マリア:「エレーナにも送ったのか」
 勇太:「エレーナには“萩の月”でいいでしょう。あいつも甘い物が好きですから」
 マリア:「エレーナにはいいのに……」
 勇太:「大丈夫。僕達には僕達用のお土産があります。イリーナ先生への牛タンと一緒に届く予定です」
 マリア:「それを早く言ってくれ。びっくりしたなぁ、もう……」

 かつては敵対していたエレーナも、今では勇太達の味方である。
 勇太が纏めた魔道師名鑑でも、まだ名前も顔も知らない者に関しては黒いローブを羽織ってフードを深く被っている状態だが、名前も顔も知っている者に関してはそれを出している。
 但し、敵対している者に関しては険しい顔付きをしているが。
 最近ではアナスタシアもそうだったのだが、今では無表情になっている。

 勇太:「それにしても、まだ僕はダンテ一門の魔道師と全員会っていないんですね」
 マリア:「ヨーロッパを拠点に活動している組は、なかなか日本まで来ないよ。やっぱり遠いし」
 勇太:「なるほど……」

 列車は仙台市内を出るとグングン加速して行った。
 夜景を楽しむ間も無くトンネルが断続的に続く区間に入ると、町を出た証拠である。
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“大魔道師の弟子” 「再びの市街地へ」

2017-01-25 21:20:00 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日17:05.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 鶴巻バス停]

 宗一郎:「いやあ、だいぶゆっくりしたねぇ。でもおかげで、かなりリフレッシュできた。明後日からの仕事も、全力でできそうだねぇ」
 勇太:「そりゃ良かったね」

 産業道路と呼ばれる県道23号線は片側3車線の幹線道路である。
 その上には仙台東部道路という都市高速(?)も通っているのだが、バスの本数はお世辞にも多いとは言えない。
 バス駐車帯があるわけでもなく、そこでバスを待つのは稲生家とマリアだけだった。

 勇太:「おっ、やっと来た」

 日が短く、夕闇に包まれた幹線道路。
 年始とはいえ車の通行量は多く、多くのヘッドライトが流れて行く。
 そんな中、オレンジ色のLED行き先表示を掲げた市営バスが勇太達を見つけると、ゆっくりと速度を落として停車した。
 往路とは違い、首都圏では見かけなくなったツーステップバスである。
 地方とはいえ、ICカードは使える。
 首都圏のPasmoも使用可。
 バスに乗り込むと、後ろの2人席に座った。
 平日ならさすがに工場団地も通るバス路線のこと、それなりに乗客もいるのだろうが、年始は殆ど客がいない。
 大型車での運行が勿体無いくらいだ。
 勇太達を乗せるとバスは、ヘッドライトの川の流れに乗った。

〔このバスはR16系統、東部工場団地、若林体育館前経由、荒井駅行きです。次は賀茂皇(かもこう)神社前、賀茂皇神社前でございます。……〕

 仙台市営バスは市街地へ向かう方に対し、系統番号の頭にアルファベットを付ける。
 この場合のRとは、荒井駅に向かうという意味である(AAI Station)。

 宗一郎:「これで駅まで行って、コインロッカーから荷物を回収することの地下鉄乗り換えで仙台駅に向かうということでいいかな?」
 勇太:「異議なーし」
 マリア:「異議ナシ……デス」

 勇太が大きく頷くと、隣に座るマリアも頷いた。
 バスの2人席は狭いので、小柄な勇太とマリアであっても、体が密着する。
 恐らく、それを勇太は狙ったものと思われる。

[同日17:20.天候:晴 地下鉄荒井駅]

 

 恐らくバスは定刻通りに走ってはいまい。
 それでも、想定したよりは早目に着いた感じがした。
 それは年始で、まだ車も人も少なかったからだろうか。

 宗一郎:「大人4人分、これで」

 宗一郎はSuicaでバス運賃を払った。

 勇太:「だいぶ寒くなったな……」

 バスを降りると、寒風が勇太達を襲って来た。
 せっかく温泉で体を温めたのに、これでは元の木阿弥になってしまう。
 急いで駅構内に入った。

 

 宗一郎:「それにしても勇太、だいぶゲームセンターで取ったみたいだな」
 勇太:「う、うん……」
 マリア:「ヌイグルミ、取ッテモライマシタ。嬉シイデス」
 宗一郎:「う、うん。それはいいんだが、帰りの鞄の中に入るかね?」
 勇太:「何とか入るよ。こんなこともあろうかと、大きめのバッグを持ってきたからね」
 宗一郎:「向こうに戻る前に、そういうのは宅急便で送るようにした方がいいかもな」
 勇太:「魔女の宅急便、ね……」
 宗一郎:「何だ?」
 勇太:「別に」
 マリア:(何故か最後に私の屋敷に届けに来るのは、エレーナという……)

 エレーナは薬師系のポーリンの弟子であるから、本来はホウキで飛び回るというのは本質的ではない。
 それでも日銭稼ぎという意味で、大目には見られているようだ。
 そもそもダンテ一門の魔道師で、実はホウキで飛び回れる魔女はそんなに多くない。
 とても目立つ為、飛ぶ場所やタイミングを間違うと、反対者から魔女狩りの対象にされるからだ。
 そうでないマリアでさえ、魔女狩り肯定派のキリスト教派に捕まりそうになったことがある。
 勇太が所属している法華講青年部が近くで街頭折伏をしていた為、その青年部員達がクリスチャン達を取り囲んで折伏を行い、流血の惨を見ることは避けられた(当作品では未公表)。

 

 宗一郎に頼まれて3人分の乗車券を買ってきた勇太。
 因みに、まだ日本の乗車券販売機の使い方をよく知らないマリアは勇太の指の動きを見ていた。

 勇太:「別にバスや地下鉄の運賃ぐらい、自分で払うよ」
 宗一郎:「いいんだ。父さんが皆を連れて来たんだから」

 横幅の広い改札口を通過すると、エスカレーターでホームに降りる。
 ホームには電車がいなかったが、ゴロゴロと先頭車に向かってキャリーバッグを引いていると、電車の接近放送が聞こえて来た。

〔2番線に、八木山動物公園行き電車が到着します。……〕

 荒井駅は富沢駅や新木場駅のように、到着した電車がそのまま折り返しになることはなく、ここまでの乗客を全員降ろしてから引き上げ線に引き上げ、それから折り返しのホームに入線してくる方式だ。
 その為、乗車ホームに入線してきた電車には乗客が1人も乗っていない。

 

 

 今度は勇太やマリアもブルーのシートに腰掛ける。

〔お知らせします。この電車は、八木山動物公園行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕

 車内は暖房が効いて暖かい。
 因みに行き先の八木山動物公園なのだが、英語では『Yagiyama Zoological Park』と書く。
 英語圏育ちのマリアも、そちらの方が意味が分かるという。

 宗一郎:「あっ、そうか」

 宗一郎はポンと自分の頭を叩いた。

 宗一郎:「マリアさんは、動物園には行ったことがあるかい?
 マリア:「いえ、無いです
 宗一郎:「だよなぁ。うっかりしてた。だったら、むしろ行っておくべきだった」
 勇太:「今から行けば?」
 宗一郎:「ムチャ言うな。新幹線の時間もあるんだぞ」
 マリア:「勇太、また今度でいいから」

 マリアは勇太に耳打ちした。

 勇太:「すいませんね、気がつかなくて……」
 マリア:「いや、いいよ。こっちも楽しかったし」

 マリアは稲生がクレーンゲームで取ったテディベアを抱きしめた。
 もっとも、そのサイズを取るのにいくら使ったかは【お察しください】。
 まあ、勇太はクレーンゲームが得意なのだが、それでも【お察しください】。

[同日17:30.天候:晴 仙台市地下鉄東西線・西方面電車内]

〔2番線から、八木山動物公園行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 発車時間になり、短い発車メロディーの後で、ホームドアと車両のドアが閉まった。
 その後、一呼吸あってから電車が走り出す。

〔次は六丁の目、六丁の目、サンピア仙台前です〕
〔The next station is Rokuchonome station.〕
〔今日も仙台市地下鉄をご利用頂き、ありがとうございます。お客様に、お願い致します。……〕

 宗一郎:「ふむ。これで仙台駅まで行って、それから夕食を取れば効率がいいな。勇太、新幹線は時間通りに走ってるかな?」
 勇太:「東海道新幹線は雪で遅れてるけど、東北新幹線は大丈夫だよ」
 宗一郎:「うん。さすがは雪に強い新幹線だ」

 宗一郎は大きく頷いた。
 地上の電車が悪天候でストップしてしまっても、恐らくは元気に走れるであろう地下鉄は一先ず市街地に向かった。
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“大魔道師の弟子” 「いい湯だよ〜 大江戸温泉物語」

2017-01-24 19:17:02 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日11:30.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 大江戸温泉物語・仙台コロナの湯]

 宗一郎:「なに?お前はサウナが苦手だったのか?」
 勇太:「あの息が詰まるのが何ともねぇ……」
 宗一郎:「サウナ出たてのビールは、何とも格別なのに……」
 勇太:「悪かったね。僕は露天風呂にでも行くよ」

 勇太は露天風呂に出た。
 年始の真っ昼間ということもあってか、そんなにまだ利用客は多くない。
 露天風呂なのに、内湯との出入口の上にはテレビモニタが付いていて、正月特番を流していた。

 勇太:「1人用の壺炭酸風呂がある」

 そこに入るとザバーッと溜まっていたお湯が流れ落ちた。

 勇太:「こういう時、すぐ隣は女湯になっていて、声を掛ければ返答があるなんてなぁ……」
 ???:「クフフフフフ……。お望みなら、すぐ開通工事を致しますよ」

 勇太の頭の中に、下品な笑い声が聞こえてくる。

 勇太:「う……その声は……?」

 ザバーッと、空いている隣の壺風呂から横田が現れた。
 トレードマークの眼鏡(?)は掛けたままだった。

 横田:「クフフフフ……明けまして、おめでとうございます。読者の皆様」
 勇太:「どこに向かって言ってるんだよ。というか、ずっとお湯の中に潜んでたの?」
 横田:「これが我々、顕正会男子部調査室の本質です」
 勇太:「何がだ!ていうか、男子部調査室なんてまだあるのかよ!」

 そこで勇太、ハッとする。

 勇太:「まさか今、ここにケンショーレンジャーの面々が?」
 横田:「そうですと言いたいところですが、ご安心ください。私1人だけですよ」
 勇太:「あなたも顕正会の表舞台から姿を消したのに、こうやって現れて……」
 横田:「コミネ屋も離婚しましたので、いい気味です。クフフフフフ……」
 勇太:「あ、そう。とにかく、マリアさんには手出しをするなよ?」
 横田:「分かっております。私が魔女狩り&拷問を掛けるは、彼氏のいないフリー魔女のみ!これならOKですよね?」
 勇太:「あ、ああ……僕は知らないけどね。(いや、これ、いい訳無いよなぁ)」
 横田:「ところで稲生さん、早いとこ私にもお年玉を」
 勇太:「は?」
 横田:「イリーナ先生の生パンティを私に……!あのシルクの黒パンティがあれば……!ハァ……ハァ……!(*´Д`)」

 勇太は頭痛を感じて湯船から出た。

 横田:「嗚呼、稲生さん、何処へ!?」
 勇太:「頭痛くなってきたから上がる」
 横田:「のぼせましたか?」
 横田:「アンタのせいだよ。ついてこないでよ」

 勇太はそう言い捨てると、内風呂へ戻った。

 勇太:(全く。あんなんで顕正会と魔界共和党の理事が勤まるのかよ……)
 横田:「ああ、稲生さん。もし良かったら、マリアさんの下着でも全然構いませんよ?」

 ズコーッ!

 横田:「フム……。今すぐ調達できるのがそれであることを考えると、むしろその方が現実的かもしれませんねぇ……」
 勇太:「ワープでもできるのか、アンタわ!?」
 横田:「ワープでもテレポートでも、何でもできます。私にできないのは、女性を粗末に扱うことだけです」
 勇太:「っ……
 横田:「さあ、早いところマリアさんの綿混レースのブラショーツを私に……!(;゚∀゚)=3」
 勇太:「テレポートだけに……!」
 横田:「はい?」
 勇太:「東京テレポート駅までテレポートしやがれーっ!」

 勇太は何とバシルーラ(http://dic.pixiv.net/a/%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A9)を素で唱えた。

 横田:「あ〜れ〜!」

 因みに、タオルだけ巻いた状態でバシルーラされた横田は空中でタオルが取れ、ダイレクトに東京テレポート駅前に落下した時には【お察しください】。

[同日12:00.天候:晴 大江戸温泉物語・仙台コロナの湯]

 マリア:「なに?横田が?」
 勇太:「そうなんです。相変わらず、先生やマリアさんの下着を狙っている有り様で……」
 マリア:「あの変態理事め。で、ヤツはどこに?」
 勇太:「バシルーラで東京テレポートに飛ばしておきました。テレポートが大好きみたいなんで」
 マリア:「……よく聞こえなかった。もう1度」
 勇太:「だから、バシルーラで……あれ?」

 勇太が自分でも何を言ってるのか分からなくなってくると、マリアはブルーの瞳を目一杯に見開いて言った。

 マリア:「ヴァ・スィ・ル・ゥラは、ミドル・マスター(Middle Master 経験もそこそこに積んだ中堅)以降に習得する魔法だぞ!?どうしてまだインターン(Intern 見習い)の勇太が使えたの!?」

 因みにマリアでさえ、まだロー・マスター(Low Master 1人前に成り立て)である。

 勇太:「えっ……えっと……?何ででしょう……?」
 マリア:「とにかく、見習いなんだからCクラスの魔法しか使えないはずだ。後で師匠に怒られるようなことはしないでよ」
 勇太:「わ、分かりました。気をつけます」
 宗一郎:「あー、いい湯だった。早速お昼にしよう」

 宗一郎も後から出て来た。

 勇太:「父さん!」
 宗一郎:「何だ?」
 勇太:「あ、いや、何でもない」
 宗一郎:「ちょうどここに食事処があるからな。ビールが美味そうだ」

 勇太達は座敷の上に上がった。

 宗一郎:「まずは飲み物を……。よし、父さんはビールだ」
 佳子:「私はウーロンハイでいいわ」
 勇太:「じゃあ、僕はグレープフルーツサワー」
 マリア:「ハイボール、イイデスカ?」

 飲み物を注文した後で宗一郎が言った。

 宗一郎:「そう言えばさっき、男湯が騒がしかったが、何かあったのか?」
 勇太:「……下着泥棒が女湯に忍び込もうとしたんで、追い出されたんだよ」
 宗一郎:「そうだったのか。サウナは密閉されてるから、騒ぎに気付かなかった」
 勇太:(横田は僕に用があったみたいだから、サウナにいたらいたで、そっちに現れたんだろうなぁ……)

 飲み物が運ばれて来て、それで乾杯すると今度は適当に食べ物を注文した。

 宗一郎:「夜の新幹線だから、しばらくここで過ごしてもいいな。夕食はまた仙台駅のどこかにしよう。牛タン通りの他に、すし通りだっけ?あそこでもいいな。それとも、肉系がいいか?」
 勇太:「父さんに任せるよ」

 勇太はそう言って、サワーを口に運んだ。
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“大魔道師の弟子” 「事件の真相」

2017-01-24 12:28:35 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日11:00.天候:雪 長野県北部某所 マリアの屋敷]

 ダンテ:「フーム……。今時こんな悪霊がねぇ……」

 ダンテはペンション“ビッグフォレスト”であった悪霊事件を精査していた。
 リビングルームにあるテレビには、まるでビデオのようにその時のもようが映し出されている。

 イリーナ:「あのコ達がもう少し機敏に動いてくれれば、あんなことにはならなかったのですが……」
 ダンテ:「確かに合格点はあげられないが、しかし追試や補習を受けてもらう必要もない」
 イリーナ:「そうですか?」
 ダンテ:「ああ。あのコ達が戦った、あの学校での出来事が大きな功績だ」

 今度はテレビに、旧校舎での戦いが映る。

 ダンテ:「まずは、こういった霊を取りこぼした霊界側に大きな責任がある。これを私の名前で指弾の対象にしよう。次のペンションの事件も含めてだ」
 イリーナ:「はい」
 ダンテ:「この通り、証拠は映像として記録されている。向こうさんも、言い訳を考えるのに涙目になるだろう。いや、言い訳を考えることすらできんか」
 イリーナ:「では……」
 ダンテ:「証拠を押さえてくれたことを持って、『合格ではないが、不合格でもない』という判定にしよう。引き続き、あの2人には頑張ってもらってくれ」
 イリーナ:「了解しました。(それってつまり、結局は『後で再試験をやる』ってことだよね?)」
 ダンテ:「他に何か気になる点はあるかね?」
 イリーナ:「ええ。その旧校舎での戦いなんですけど、大ボスとして登場した死神……あれは、本物の死神ではありませんね。人間が思い描いている“ベタな死神の法則”をただ単に具象化しただけの産物」
 ダンテ:「その通りだ。本物の死神は、今やああいう姿はしておらんよ。あのコらも会っているはずだ。冥界鉄道公社の乗務員や、その汽船の船長とかな。船長にあっては、魔道師の資格も持つ兼任者のようだが」
 イリーナ:「そうですね。では、どこの誰があの不格好な死神を具象化したのか?ということですが……」
 ダンテ:「答えを得る手段はただ1つ。あのコらの旅の最中に出会った、とある人物が大きなカギだ。その当人に聞いてみよう」

 ダンテがパチンと指を鳴らすと、メイド人形の1人が洋風ではあるが、古風の固定電話機を持ってきた。
 ダンテはその受話器を取る。
 その電話機には受話器がもう1つ付いていて、イリーナはそれを取った。

 ダンテ:「準備はいいかね?」
 イリーナ:「はい」

 ダンテはダイヤルを回した。
 そして、どこかに繋がる。
 着信音が聞こえてきた。
 何回か鳴って、向こうが電話を取った。

 大森:「はい、ペンション“ビッグフォレスト”です」
 ダンテ:「あー、宿泊の予約を入れたいんだが、大人2人空いてるかね?」
 イリーナ:「は!?何ですか、これ!?だって、あのペンションは……オーナーは……ええっ!?」

 イリーナはそれまで目を糸のように細くしたり、眠たげに半開きにしていたりしていたが、さすがに今は両目を大きく開けている。

 ダンテ:「東アジア魔道団の中で何が起きたのかは知らんが、内ゲバに私のかわいい孫弟子達を巻き込まないで頂きたいね」
 大森:「これはこれは……。ダンテ門流の創始者様より、直々のクレームを頂戴するとは、ある意味光栄ですな」
 ダンテ:「何か、こちら側にクレームがあるのなら、セントールを通して出して頂くよう申し入れをしていたはずだが、それすらままならぬほどだったのかね?」
 大森:「いやいや、たまたま偶然ですよ」
 ダンテ:「これはしたり。我々魔道師に、偶然という言葉はとても不自然ということはあなた方も1番よく知っているはず」
 大森:「ですが、教祖にはなれても神にはなれない存在でもあります。魔道師の更にずっと上を行く神が、我々も予知できぬ偶然を作ることは可能です」
 ダンテ:「で、どのように言い訳するつもりかね?」
 大森:「私が、かつて会社勤めをしていたのは事実です。そして、たまたまその当時の仲間が私の経営するペンションを訪ねて来たのも偶然であり、けして不自然なことはではない。内ゲバという言葉にはいささか不快感を覚えますが、他門から見ればそのように見受けられてしまうのは致し方無いというのは認めましょう。しかしそこに、遠く離れて住んでいるはずの息子とその姉弟子が共に訪れるというのを予知できるのは、もはや神しかおりますまい」
 ダンテ:「いや、そんなことは無いがね。だが、まあ良い。予知能力など、魔道師によって千差万別だ。今更そんなこと言ったってしょうがない。では、今回の件は、けしてダンテ門流の弟子達と知って巻き込んだわけではないということでよろしいかね?」
 大森:「そのつもりです。粛清決行日の変更はできませんので、結果的にああなってしまったのです」
 ダンテ:「うむ、分かった」
 大森:「ですが、ダンテ先生。私、大森が東アジア魔道団の日本支部長として申し上げます」
 ダンテ:「何かね?」
 大森:「あなた方が協定を破り、逸材である日本人を弟子入りさせてしまった遺恨は、未だに残っておりますぞ」

 稲生勇太のことである。
 ダンテ門流にそれまで日本人が1人もいなかったのは、他門との協定による。

 ダンテ:「その詫びは既に済んでいることだ。あれでも足りないというのなら、団長自ら私の元へ来るように伝えてくれたまえ」

 ダンテはそう言って電話を切った。
 黙って聞いていたイリーナも電話を切る。

 イリーナ:「先生、これは……?」
 ダンテ:「これではっきりした。あのペンションが本設なのか仮設なのかは知らんが、東アジア魔道団の日本支部だったということ。そして、破門者の粛清の決行日にあのコ達を呼んだことがな。偶然などではないよ。稲生君の御両親は、招待状を受けて向かったのだからな。ま、そこは目を瞑っておいてやるさ」
 イリーナ:「はい」
 ダンテ:「あのコ達は、いつ帰ってくるのかね?」
 イリーナ:「4日の夜行バスで帰って来るので、5日の朝にはここに着くかと」
 ダンテ:「ふむ……」

 ダンテは数秒だけ瞑想した。

 ダンテ:「特に何のトラブルも無く、ここに戻れそうだな。よろしい。これにてイリーナ組の巡察は終了とする。今後も弛まず、精進しなさい」
 イリーナ:「はい」

 ダンテの体が光り出すと、煙のように消えた。

 イリーナ:「これ……。あのコ達に何て説明しよう……?」

 1人残されたイリーナは、しばらくの間、呆然としていたという。
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