声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

夢を追いかけて

2012-11-24 22:55:42 | ナレーション ボイストレーニング
かれこれ7~8年前になるでしょうか…。
女子高生ミュージカルに出演する女の子達が私の事務所によく通って来ていました。
その中の1人に、とても表情の豊かな
小さくて可愛らしい女の子がいました。
主役のアイーダを射止めた"UBU"
と、みんなから呼ばれている子でした。

M女子高校音楽部のミュージカル公演
は、群馬県民会館を毎回満席にするほどの盛況ぶりです。

2000人の満席の中で、UBUちゃんは
ステージの中央に立って歌い始めました。
曲は「ローブのダンス」です。

歌い始めた直後、アクシデントが起り
ました。
アイーダ役のUBUちゃんのピンマイクがOFFになっていたのです。

でも、それに気づいたのは関係者と数人の観客だけだったはずです。

なぜなら、UBUちゃんは堂々と生の声
で「ローブのダンス」を歌い切ったの
です。
(この子はタダモノではない…。)
とうのが、その時の印象です。

150cmに満たない小さなUBUちゃんの
身体が、あれほど大きく見えた事は
ありません。

その後、大学生になった彼女はアマチュア劇団の一員として数々のステージに立ちましたが、私の眼から見ると、
充分に実力を出し切れていないようでした。

その彼女から「四季を受けたい」と
相談されたのは2年前の10月の事です。
その瞬間、
「いよいよ本気になったんだね。」

と答えた私の気持ちの中にも、何とも
言いようのない高揚感が湧いてきて彼女のオーディションに全面的に協力する事を約束しました。

四季のオーディションは、大変厳しいものです。
事務所で夫と二人で作った彼女の
オーディションテープは、歌もセリフも一次審査に受かるためには充分な
インパクトを備えた出来栄えでした。

一次審査の合格から二次審査までのごく僅かな時間に次の課題が与えられます。
短期集中レッスンで送り出した
後は、まるで合格発表を待つ母親の
心境で、吉報をソワソワしながら待ちました。
二次審査の後は翌日が最終審査という
ハードスケジュールです。
出た課題を即席で消化しなくてはなりません。
深夜に電話でレッスンをして翌日の審査に備えました。
その最終審査の出来栄えは決して満足の行くものではなかったようで
結果待ちの間に
「歌詞を間違えちゃいました。(T_T)」
と、泣き顔の絵文字が入ったメールが届きました。

でも、私は全く心配していませんでした。「受かる」と確信していたからです。

アイーダをマイク無しで歌い切った瞬間に予感していた事です。

あのオーディションから2年、
昨年9月のストレートプレイ
「思い出を売る男」での花売り娘役デビュー、そしてファミリーミュージカル「桃次郎の冒険」でのお地蔵さん役、それに、今回の
「ウェストサイドストーリー」
ロザリア役と、UBUちゃんは、着実に歩み始めています。

大変な世界だと知りつつも人一倍
努力を積み重ねて、自分の手で掴んだ
チャンスです。

どうかUBUちゃんが、これからも末長く舞台で活躍できますように!
そして、いつかこの故郷、群馬で
凱旋公演ができますように!

そう、祈り続けているのです。








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