声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

将校になりなさい

2012-11-28 21:03:54 | 自衛官時代の想い出
伊丹駐屯地にある中部方面音楽隊を
初めて訪れたのは、大学4年の夏休み
が終わった直後だったかと思います。

大学の管楽器の教官で、自衛隊音楽隊を指導しているK先生から
「どうや?ユミ、自衛隊を受けてみいへんか?」と訊かれたのがきっかけです。
最初は単なる好奇心でした。

「見学に行こう」と言われて、じゃ、とりあえず…という軽い気持ちで出かけたところ、
歌とピアノを部隊で聴いてもらうから伴奏者を同伴するように言われたのです。

総勢78名が集う合奏場で歌ったのは、何の曲だったか…
恐らく、チャイコフスキー歌曲
「ただ憧れを知るもののみが」

ピアノはショパンのワルツ集から
3番、あたりではなかったかと思います。

後になって思えば、これが自衛隊音楽隊に入るための実技試験だったようです。

その後あれよあれよという間に、私の入隊の話は進んで行き、
大阪防衛協会の理事であった著名な指揮者のA先生に挨拶に行った時には、
「君は将校になりなさい」
と、励まされるまで大袈裟になってしまっていたのです。

もう後には引けません。

とはいえ、最初から音楽隊に入るルートはありません。K先生が言うには
まずは、一般の婦人自衛官試験を受けて欲しい、との事でした。

そして、満面の笑みを浮かべた
K先生は私に言ったのです

「音楽隊はええぞ、一日中、音楽だけ
やってられるんやからな!!」

と…。






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認められない存在

2012-11-28 01:04:54 | 自衛官時代の想い出
「白鳥の湖」のピアノソロのイントロを間違えずに弾く…当面の課題は、
それをどうやって練習するか、でした。

当時の私は音楽の練習だけしていればいい男性隊員とは異なり、
雑用(かっこよく言えば庶務)の仕事もしていました。

当然、長時間ピアノ室にこもって練習する事は許して貰えませんでした。
それでも休憩時間を惜しんで時間さえ
あれば練習しました。

東京の中央音楽隊に国立音大卒の女性隊員Hさんが入隊したと知ったのが、
ちょうど、その頃です。

『中央音楽隊所属、初の婦人自衛官』
と自衛隊広報誌だけでなく週刊誌にも
取り上げられていました。

実は、朝霞駐屯地で教育を受けていた
三ヶ月の間に当時の中央音楽隊長だったT三等陸佐から
「どうだ、うちに来ないか?」と
誘われた事がありました。

春の駐屯地祭りの折りでした。
中央音楽隊の練習場に何度か顔を出す機会があり、私の存在を隊員から聞いていたようです。

その前後に一度、「音大卒の珍しい女性隊員」として、マスコミから取材を受けた事もありましたが、
一谷伸江さんがインタビューしてくださった私の記事は全てボツになりました。

何故なら私は、その時点では防衛庁が公に認めていない音楽隊要員だったからです。

T中央音楽隊長の誘いを受ければ、Hさんではなく私が防衛庁が認めた女性の
音楽隊員「第一号」になったはずでした。

なぜ断ったのか...。
それには、私が入隊前に交わされた
中部方面音楽隊との暗黙の了解があったからです。



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